ネットで毎日のようにいろいろなものを漁っていると、かなり前の物も見つかる。 
今回見つけたのは1993年のDonmar Warehouseのプロダクション「Cabaret=キャバレー」だ。何故かはよく覚えていないけれど、これは観ていない。 そうか、ちょうど今も続けている仕事の国家資格試験の年で、結婚もした年だ。資格取るまでの三年間ってほとんど芝居も行かなかったからなあ〜〜、、、今になってこれを見つけるとは!! (Youtubeはこちら
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この「キャバレー」はその後97年にブロードウェイに渡り、メンデス氏とロブ•マーシャルの共同演出で再制作され、ここでもエムシーを演じたカミング氏始め4つのトニー賞を取っている。なんと!この時のサリーがナターシャ•リチャードソンだったんだ〜〜!!ちょっとイメージ違う気もするけれど、彼女もこれでトニー賞を取っている。若くして事故で亡くなってしまったのは惜しかった、、、、

キャバレーの舞台といえば、86年か87年のロンドンリバイバル版を観た。劇場も演出ももちろん違って、この時のは映画で知っていたキャバレーのイメージに近かったように記憶している。 

このメンデス氏のキャバレーはミュージカルというより芝居の要素が強い。歌のシーンでも「どんな心情でこの歌を歌っているのか」という演技が重視されているように思う。 ジェイン•ホロックスはこの前に「リトルヴォイス=The rise and fall of Little Voice」で絶妙な歌唱力と幅の広い声質を披露しており、その歌唱力は誰もが知るところ(映画版の「リトルヴォイス」でも堪能できる)。でもこのキャバレーでは「巧く歌おう」とはしていない。それはアラン•カミングも同様だ。もちろんみなさん歌唱力は素晴らしいのだけれど、それ以上に小さな小屋だからこそ、綺麗に歌い上げるよりも役者から迸る感情がダイレクトに伝わってくる。

不穏な空気が世間に漂い始めた第二次大戦直前のベルリン。この先どうなるかわからない運命の中にそれぞれがどの生き方を選択していくのか。この後に起こったベルリンの様子を今の時代だからこそ知っている私たちに、最後は重くのしかかる。ちなみにラストシーンでMCが着ている強制収容所の格子服には3つのマークがついている、ユダヤ人の黄色、政治犯の赤、そしてゲイのピンク。それらがぜーんぶ詰まったKitKat clubの煙くさい空気が漂う舞台だ。これは実際に舞台を観たかったなあ〜〜

Donmarでの芸術監督以降、ロンドン、ブロードウェイ、さらには映画でも大活躍のメンデス氏。私は彼の映画の作り方も好きだ。メンデス氏の映画は好きなものが多い。

芝居とミュージカルの違いを私の中であげるとすれば、基本的に同じ芝居は何度も観ない。(違うプロダクションは別)でもミュージカルは同じものを何度も観るという事がある。映像になっていれば尚更だ。ロンドンに来て、4−5回同じ劇場に行って観たのが、La Cage Aux Follesだった。午後にフラっとレスタースクエアーの半額チケットのブースに行って、安く良い席を買っては観に行ったっけ。
Cabaretも何度も観やすい作品だ。こんな匂いのする芝居が好きだなあ〜〜

今気がついたけれど、2月に観たベケットのEndgameではカミング氏とジェイン•ホロックスの共演だったんだね。またフラっと観たいから、Youtubeから消えないといいな。