誕生日だった・・・

今年はなあ〜んにもしない、何にもない誕生日。まあ、夫の失業中に喜べる心境じゃありませんわ・・・なのに彼はのんきに「プレゼント何がいい?」とか「バースデーディナーは何を作って欲しい?」とか聞いてくる。なんにもいらないから早く仕事見つけてえ〜〜! というのが本音なのよ。それでもあんまりしつこく聞いてくるから、「夕食はコテージパイがいい」と言ったら本当にイギリス家庭料理らしいコテージパイを作ってくれた。

日本では、私の誕生日前日は雛祭り。娘3人の我家では昔から母が2月の末には2階の床の間に雛壇を飾ってくれた。何段だったかな、、、思い出せないけど、三人官女や五人囃子がいて、左大臣に右大臣。ぼんぼりには明かりもついて菱餅や雛あられ・・・毎年ひな祭りと私の誕生日は合同で祝われたのだった

お雛
これは今年姉が送ってくれたミニお雛。お盆ごと手の平に乗るサイズ

あの雛壇って、赤い布を敷くのよね。それでもって、日本人形の顔って白くて目が切れ長で、ちょっとコワイ・・・おまけにぼんぼりに明かりがついてると、床の間全体が白〜く浮かび上がってそこだけ別世界のような空間だった。夜の雛壇は子供だった私にとって結構不気味だったのだ

ある時父が言った。「お雛様は夜中に皆が寝静まると起き出すんだよ。五人囃子が演奏して官女達が踊るんだ。それをお内裏様とお雛様がにこにこして見てるんだよ。まや達は寝てて知らないだろうけど、パパは夜中に起きてみた事があるんだ」ーーーお父様ったら、子供に向かってなんて作り話を・・!! これを聞いて私はとてつもなく怖くなってしまった。だって、夜中に人形が動き出して「ピ〜〜ヒョロロ・・・」なんて怖すぎる!!

寝ようとしても床の間から衣擦れの音がしてくるような気がして、反対を向いていても気が気じゃない。「動いたか・・?」と思って闇に目を凝らしてみると、人形達の顔は白いままで、かすかに笑っているような感じがする。こうなるともう私にとってはホラー以外の何ものでもなかった。おまけに私は子供の頃よくコワイ夢を見た。しょっちゅう怖い夢をみては夜中に目を覚まし、母に「またコワイ夢見たよ〜〜」と泣きついたものだ。実は中には予知夢もあったりして、ちょっと霊感入ってたのかもしれない。10-11歳くらいで止まったけど・・・

ある夜、母が寝る前に私達をチェックしに部屋を覗いてみたら、いつもとちょっと様子が違っていた。「何かが違う、、」はじめは暗くてよく解らなかったそうだけど、ちゃんと見回してみて気が付いた。なんと、

お雛様達が全員後ろを向いていたのだ。

はじめはびっくりして何が起こったのかといぶかった母。でもすぐに、父の話に怖くなった私が人形を全部後ろ向きにしてしまったのだと気づいて、二人で大笑いしたそうだ笑ってんじゃないわよ、全く!! こっちは薄気味悪くてしょうがなかったのよ!!

大きくなってもよく両親に言われた「子供時代の私」のエピソードの一つだ。あのお雛様は今も実家にあると思うけど、さすがにもう飾ってはいないだろうなあ〜〜。もう古くなってるよね。でもお雛様も官女達も歳を取らず、か。

え??歳とってたら本気で怖いよ〜〜〜!