見つけもの @ そこかしこ

ちょっと見つけて嬉しい事、そこら辺にあって感動したもの、大好きなもの、沢山あるよね。

タグ:ロンドン公演


バービカンでの「ムサシ」を観に行って来た
Musashi-006
(写真はThe Guardian紙より)

水曜日から土曜日までの限定公演という事で、金曜と楽日の土曜日を避けた。ちなみに初日のプレスナイトでのレビューは主立った新聞では揃って星4つ。蜷川さんの舞台では星4つというのは結構定番なので、今回も成功だ。(追記→The Independent紙は星5付けてる!

ちなみにこっちでのレビューの星数というのは、期待はずれが1つ、もう一息欲しいというあたりで2つ、評価として良ければ3つ、高い評価でお薦め級が星4つ。5つというのはもう文句無しの大絶賛で、ソールドアウト=ロングラン間違い無しという感じだ。だから星4つというのはかなり良いレビューなのだ。でもいつもの蜷川さんのカラフルで見栄えのする舞台とはちょっと違って派手さのない、悪く言えば地味な作り。前の「天保十二年のシェイクスピア」があまりに奇抜で華やかだったせだろうか。

実は去年の「ムサシ」のDVDを送ってもらっていたのだけれど、この舞台までわざと観ないでいた。だから全く余計な知識も先入観も無い状態で観られた。ちなみに私は宮本武蔵の事なんて知らない。かろうじて知っているのは、巌流島(船島)での佐々木小次郎との決闘にわざと遅れて行き、小次郎が「遅いぞ武蔵!」と言って刀の鞘を投げ捨てたのを見て、武蔵は「小次郎、破れたり!」というなりそのまま決闘に勝ってしまった、という事。それだけしか知らない。(恥ずかしながら・・・)

耳にしていた「復讐の連鎖を断ち切る」というメッセージは実はあまり響いて来なかった。それよりも「生きていてこそ」「命ある今を」という声のほうが届いて来た。そうだよね、井上さん自身、やり残した事を悔いながら亡くなったに違いないのだから・・・

そもそも9/11事件以降のテロに関しての「復讐の連鎖」という感覚は、なんだか日本だけで空回りしているような気がする。自分達の主張のためには戦うという事を第一に考える諸外国の人達に、「復讐を忘れて平和を、、」という日本独特の考えは通じない。いや、日本ではなくてこれは仏教的考えか

井上ひさしさんが最期まで病床で台本の手直しをされていたという。そのせいだろうか、思っていたよりシンプルで暖かいものを感じた。一場からの舞台転換は素晴らしい! 今回は転換は最初と最期にしかなかったからここは視覚的な見せ場。初演版から30分削ったという事だったけれど、これからDVDを見てみますかね。

圧倒的に台詞の多い勝地涼君は頑張っていた。彼もキャリア的にはベテランなんだよね。実は幕が開いて最初の彼の台詞がちゃんと聞き取れなくて「えっっ!!?」という出だしだったからおばさんは心配したのだけれど、緊張してたのかな、後は声も通ってたし。藤原竜也君はやっぱり舞台での立ち姿にオーラがある。台詞がなくても無言で殺気を出せるのは演技力じゃないんだよね。ただ、彼の持つ輝きが無かった感が否めない。オーラもちょっとくすみがちというか、、、 後で友人と電話で話していて「風邪ひいてるんじゃない?」の一言、う〜ん、そうかも・・・?

そうだなあ〜、、、竜也君は声がもっと響くといいんだけどな〜。ちゃんと聞こえるし、潰してるわけじゃないんだろうけど、低い声になると声が鳴らない。共鳴腔の使い方かな〜。いろんな声がもっと身体内で響く音だと台詞にメリハリと太さが出るだろうな、、、

鈴木杏ちゃんがとっても舞台向きの役者になったなあ〜とちょっと見ほれる。良い意味で小顔じゃないし、目も大きいから表情がとても豊かだ。声も艶のある通る声で綺麗に聞こえた。 ベテラン勢はもう安心してお任せしておける。チームとしてとても良いカンパニーだ。皆が個性的でそれでいて無駄もなくしっかり繋がってる。

きっと日本だともっと笑うんだろうね。でも英語字幕が台詞の約3分の一くらいしか入らないから仕方ないか。「タコ」の場面で私は爆笑したかったんだけど、回りが笑っていいのかためらってる空気だった。白石さんを観てるともう吹き出す寸前なのに、「この一生懸命やってる場面で笑っていいのだろうか」というどっちだろう?の戸惑い・・・そのせいか(なかなか笑いが来なかったせいか)、あの場面はどんどんエスカレートしてしまって、ちょっとヤリ過ぎな感じもした

でも井上さんの本だから当然笑って良いのだ五人六脚以降はさすがに笑いが止まず、それからはちょっとした台詞にも笑いが起きた。英字幕も短い中にもツボは押さえていて、なかなか巧く伝えている。最期の展開は予想外だった。ああいうオチになるとは・・・

カーテンコールではスタディングオベーションだったね。芝居そのものとしては立ち上がるほどの衝動は起きなかったけれど、でも観終わってなんだか不思議と暖かい気持ちを送りたくなった。これは不思議な感覚。称賛するというより、こちらの気持ちを拍手で送りたくなった。全員がとても丁寧に大切に演じているのが伝わったきたから。

DSC00462スタンディングになったのは日本のお客さんが多かったせいもあるかも・・・(日本の観客はスタンディングするのが好きらしい)多かったよねえ〜日本人のお客さん、って当たり前か。でも2度目のカーテンコールでは蜷川さんも竜也君に引っ張られて拍手を受けていた。私も今回は井上ひさしさんとこのカンパニーに敬意を表して立って拍手してきた。そうそう、今回のプログラム(英語版)が充実していて嬉しかった。

休みもあと今日一日。あっという間だねえ〜〜。昨日の帰りは、本来ならバービカンから2つ目の駅Liverpool Streetからうちまで電車1本で簡単なのに、なんと!夜10時半以降はエンジニアワークということで、バスの代行運送になっていた。延々とバスに揺られて家に着いたら12時15分。やれやれでしたわ・・・


昨日観た「コリオレイナス」は、舞台中継で観た「ひばり」とはうって変わって蜷川さんらしい「観る芝居」だった。最初に正面の鏡に客席が映ると、皆さん居住まいを正したり、髪に手をやって整える人がいっぱいで、思わず人間の心理に笑ってしまった。
階段舞台とは、合理的!
舞台全体が立体的になるし、空間に無駄がなくて、絵としてとてもバランスが良い。 16段の階段を平地のごとく動き回る(上がり下りする)役者達にはかなり身体的にきついと思うけど、観る舞台として最適。最上段の奥に襖絵のような背景を何枚も使っての場面転換は、スピードもあるし見事に生きてる。  ロンドン入りしてからのスタッフさん達の苦労が見えるようです。

「コリオレイナス」を観たのは初めてだったけど、こんなに面白いストーリーだったんだ〜。 やっぱりシェイクスピアは長いけど退屈しなかった。最後まで、コリオレイナスがどうなるのかと思いながら観ていられた。
残念だったのが、唐沢さんの声が半分無くなっていた事。 潰れるとまではいってないけど、かなり掠れている。出だしの民衆のシーンの最中に登場だったので、声量の無さは明白だ。 唐沢さんは滑舌と台詞回しは上手いので、かすれがちな声を上手くコントロールして騙しながら使っている。そうすると声が細くなる・・・・ 吉田鋼太郎さんの声もちょっと怪しくなりかけで、1幕の序盤からはらはらしてしまった。それに対して、勝村さんの声がビンビン響いていた! 

実は「天保12年のシェイクスピア」で私は勝村さんを初めて舞台で観て、テレビで見るより数倍も魅力的だったので驚いた。 密かに「発見!!」と思っていたので、今回のコリオレイナスで来ると聞いて楽しみにしていた。 あの役は、御本人もプログラムの中で仰っていたけど、敵になったり味方になったり理解しにくい。でもそのあたりを自分の中でちゃんと埋めていたのが解ったし、かすれがちな声があちこちから出てる中で、凛とした声を響かせてくれたのは、救いだった。

とはいっても、芝居自体はどの役者さんも良かった。 最後にはいつの間にが唐沢さんのコリオレイナスを好きになっていて、オーフィディアスにまで裏切られた時には、「ああ〜、なんでまた・・・!」と悲しくなった。 白石さんの母は、説得力があると共にその個性的な声も相まって、こちらでの評価はかなり良い。小峰さんの衣装、装置の色、色彩的に「観ずにはいられない」舞台になっていた。

金曜日だったせいかほぼ満員。 蜷川さんの芝居にしても、日本人がこんなに大勢来ている公演も初めてだった。私はいつもは平日の夜にひっそりと芝居を観るので、こんなに劇場で日本人に遭遇した事は無い・・・・ちょっといたたまれない様な気分で緊張してしまった・・・・

さて、明日の朝には日本行きだ〜〜! もう荷造りもして、オンラインでチェックインも済ませたし、日本円も空港で受け取る手配ができてる。両替えレートはこの20年で一番良い! 1ポンドで232円ももらえるなんて!! 去年初めてオンラインでチェックインした時は緊張したけど、今ではボーディングパスも自分でプリントアウトできる。全くなんて時代だろう・・・!

次のブログ更新は初めて日本から、という事になります。お天気が良いといいなあ〜〜!!

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