見つけもの @ そこかしこ

ちょっと見つけて嬉しい事、そこら辺にあって感動したもの、大好きなもの、沢山あるよね。

タグ:ラスト


どうしても少しネタバレしてます。なるべく話の筋書きはしませんが・・・






今日は更新はパスのつもりだったんだけど、やっぱりちょっと追記・・・昨日の感想は 観てすぐ書いたもので、ちゃんと整理されてなかった様な気がする。長い映画だし、もうちょっと私なりの解釈をしてみた。あらためてトニーさん演じるYeeという男の側から考えてみると、やっぱり彼は彼女が反逆分子である事を知ってはいなくても、頭のどこかで常に警鐘が鳴っていたんじゃないかなと思ったもので。

トニーさんの目を思い出せば出す程、いつも彼女に執着しながらも警戒していた。 だから、最期に指輪を前に「今すぐ行って!」と言われた時に、すべてを理解して脱兎のごとく飛び出していく・・・・(ここのトニーさんの演技、すごく良い!

香港での夏が第一部だとすると、この時点でのWang達の行動はちょっと稚拙でまさにNaiveだ。 彼女がちょっと女優気分でYeeを誘惑していた感じがしたのも、あの学生達が若さゆえの思い込みに突っ走っている様子からだ。 本当の現実をまだ知らないゲーム・・・・だから、残虐な現実を目の当たりにした時、彼女は後も振り返らずにその場から駆け去るのだ。それが、後半の上海編になると、ゲームや冗談ではない現実になっていく。組織のコマとしての、命がけの使命だ。

Yeeがとても寂しい男だという事も、映画の随所で表現されてる。 奥さんとは当たり障りのない部分で夫婦でいるけれど、心が通じ合っている間柄ではない。彼が仕事で毎日誰かを処刑している間に、妻はマージャンとショッピングに毎日の退屈を紛らせている。(この妻もまた、寂しい人間なのだと解る)感情を失くして非情でいる事が日常のこの男は、実はそんな自分を爆発させる事のできる相手を心の隅で必死に求めていたんじゃないだろうか。 だから最初にWangをレイプした時に、振り返って自分を見返した彼女に手応えを感じたはずだ。この一瞬のトニーさんの表情のカットがいやに印象に残ってる。そして頭の中で警鐘を聞きながら、もっとのめり込んで行こうとする・・・・

Wangのほうは、もと動物的な部分でYeeとの交わりにのめり込んで行く。 それは愛とは違うけれど、知れば知る程にもっと求めてしまう本能だ。 彼女は初めから、無垢で純真な少女ではない。彼女もまた寂しい人間だ。お父さんに置いていかれ、その父は遠くで再婚し、自分の居場所が無い事を感じていたのだろう。演劇クループに加わって、初めて自分の居場所だと思ったのかもしれない。 Yeeには強く惹かれていたけれど、決して純粋な気持ちではなかった。そして贈られた指輪の純真な輝きに、初めてYeeを死なせたくないという事に気付く・・・。

2人の最期の決断は本当に寂しくて空しい。 彼は毎日仕事でそうするように、処刑執行の書類にサインをして、今までの激情は無かった事にしようとする。邪気のない指輪の輝きを見ながら・・・ そして彼女は、自分の最期の運命を、自分に居場所をくれた仲間達と共に死ぬ事を選ぶのだ。 愛し合う男女には決してなれなかった2人の寂しい結末だ。

昨日は、何度も見たい映画じゃないなあ、と思ったけど、もう一度見直してみると、また違った解釈が出て来るかもしれない。 日本語の予告編をみたけど、やっぱり訳で印象が違ったりするから、なおさらいろんな解釈があるかも・・・・とりあえずそれまで、この話はこれで切ります。


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昨夜は久しぶりのバーティーに行ってきた! 5つ星デラックスのフォーシーズンズ(Four Seasons Hotel)のNew Year Party・・・ やっぱりカメラ持って行きたかった〜〜! でも前述のように、私のデジカメがおかしくなってしまっていて、あきらめたのでした。今年のパーティーのお題は「Mid summer night's dream=夏の夜の夢」、、とはいっても、飾り付けやテーブルのデコレーションがそれっぽいっていうだけで、別に後は意味ないんですけどね。久しぶりに美味しいコースディナーとカジノやバーで遊んで、終電ギリギリまで踊ったのでした。

さすがに遅く帰って寝たのが3時過ぎだったから、本当は今日は寝坊したかったけど、行ける時がないかも、、、と思ったので無理矢理起きて映画を観てきた。 「色・戒ーLust Caution」。去年のベネチア映画祭で賞を取り、2007年度の中国・アジア圏の映画賞を総なめにしたアン・リー監督の映画だ。アン・リー監督といえば、Brokeback Mountainでベネチア映画際→ゴールデングローブ→アカデミー監督賞というコースで受賞したけれど、今回もあちこちでノミネートされている。 数日前に発表されたBAFTAの外国語映画のノミネートにも入ってる。ただ、ロンドン映画祭での上映の際、レビューが賛否両論だったので、どんなものか気になっていた。

日本での公開はまだみたいなので、ネタバレはなるべく押さえます。
長い・・・
2時間40分近くあるので、ゆったりした姿勢で観られる席をお薦めします。 あとは、日本語だと解らないけど、中国語映画の英字幕はどうしてもすごいスピードで変わってしまう。スクリーンに近過ぎる席だと、字幕を読む間、画面が目に入らなくなっちゃう・・・金城武映画でかなり訓練したんですけどね、「さあ、くるぞ〜」と構えていても、時にはあっという間に字幕が変わってしまうので、気が抜けない。そのうち速読の名人になれるかも・・・?

う〜〜ん、、とってもインテリジェントに創られている映画だ。 あちこちのシーンに結構心情の変化や疑い、とまどいといった心理描写の伏線があるので、ぼお〜〜っと観ていると見逃すかも。 2時間40分の全てのカットに意味がある。まずトニー・レオン演じるMr Yeeは比較的台詞が少ない。トニーさんはいつもは広東語の俳優だから、今回は北京語という事で大変だったとは聞いているけれど、少ない台詞の役だからこそ、1カットの絵が重要な意味を持つ。 役の上でも無表情なので、常に彼のが何を思っているかを考えながら観てしまう。やっぱりよく言われるように、トニー・レオンさんは目で演技するのが上手い。あちこちの国でカットになったり短くなったりしているベッドシーンだけど、これもMr Yeeという人物を描く重要なシーンだ。

自分の立場上どんな残忍な決断も下さなければならないこの男は、人を信用せず異常なほど警戒心が強い。 その彼がタン・ウェイ演じるWongに自分を少しずつ見せていくようになるのは、2人の最初のレイプ同然のベッドシーンからだ。 ハイソに見せているWongが、実は本性はそれほど洗練されているわけではない(not smart enough)事に彼は最初から気付いている。 そしてこの乱暴なレイプの時でさえ、彼女が嫌悪したり脅えたりする女では無い事を行為の最中に知る。彼女が振り返って目を見返すのだ。 この時から2人の中で何かが弾け出したんだと思う。

シーンとしては、ベッドシーンは3回しかない。あちこちの批評で、「カーマスートラに新しい数ページ」なんて書かれているけれど、激しく、でもとても美しく撮っているので違和感はなかった。(でも真似したら骨折するかも・・?)むしろそのシーンでのトニーさんの目がとても意味を持っているように思った。とにかくWongの顔を見続けるのだ。深く深く相手の中に入り込むような目で。それが後でWongが組織の仲間に打ち明けるように、彼女の心を揺さぶっていくのだ。

Wongを演じるタン・ウェイは新人とは思えないスケールの芝居をしている。 というより、私はこのWongという少女は、女優気分で自分の使命を演じていたのではないかと思った。学生演劇から反体制派という図は戦時中にはどこにでもあったものだ。まだ若くエネルギーにあふれた学生達はYee暗殺という大きなプロットに熱くなる。 でもWongは本当に愛国心や政治的信条からこの計画に参加したのではなく、はじめての舞台で大勢の観客からの反応に驚喜したのと同じような気持ちで、Yeeを誘惑して自分のほうに引き寄せていく喜びを楽しんでいたんじゃないだろうか。

これは恋愛映画じゃない。2人の間に愛は無い。あるのはLustとCaution。この映画に限っていえば、良い英題を付けたものだと感心する。ちなみに中国語では指輪の事を指戒と書いて、誓いの意味があるそうだ。指輪はこの映画の中で唯一イノセントな物として出て来る。WongがYeeを愛しているわけじゃない事は、映画の冒頭で観客は皆解っている。だからこそ、この2時間半を超える長い映画の流れの中で、主役2人の心の探り合いを楽しむ事ができる。

Yeeが途中で彼女の正体に気付くのかと思って観ていたけれど、かなり用心深く彼女を観察しているようなカットはいくつもあったけれど、最終的には彼は「全く知らなかった」のだと解釈した。 にも関わらず、ほとんど躊躇もせずに残忍な態度で処刑の書類にサインをしてしまう所が、このYeeという男の悲しい性質なのだ。 ちなみにトニーさん、さすがにアップになるとちょっと歳とったなあ〜・・・と思わざるを得ないけど、身体は綺麗に絞ってあった、、、すごく減量したとか。

何度も見返す感動作とは思わなかった。でも良作か駄作かと聞かれたら、私は「かなりの良作」と答える。 。他の学生仲間達も皆良い。特にグループリーダー役のワン・リーホンの演技は、使命感の下で感情を押さえている若者の微妙な心理がよく見えた。イギリスでの批評にはかなり手厳しいものもあったけれど、監督はかなり細かい部分も意図して創っているのがよく解っただからこそ、ぼ〜〜っと観ていると、見逃してしまう映画だ。伏線を見逃さないキーポイントは、

 初めから女は男を殺そうとしているという事。
* 男が女に引かれていくのは、彼女がハイソな女だからではなく、女から得体の知れない野性動物のような匂いを嗅ぎ取ったからだという事。
 戦時中で、あっちもこっちもイギリスやら日本やらに支配されている抑圧された中国での話だという事。

去年はアジア圏で賞を取りまくった映画ですが、イギリスでは18指定でマイナーな公開です。(そのかわりカットは無いようでした)日本での評価はどうなるでしょうね・・・・

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