もったいなくて、わざとちびちび読んでいた本をやっと読み終えた
タイトル はずばり
Count Hans Axel von Fersen=ハンス・アクセル・フォン・フェルセン伯爵
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何 故もったいないかというと、とってもとっても考えた末に思い切って手に入れた本だから。今までのどん な本よりも貴重な本。
払った値段は送料込みだと日本円で約4万円。(£275-00)

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バッカじゃないの、この女!?

と いう声も聞こえてきそうですよね。私だってホントに何日も考えた。この金額で何が 出来るか、何が買えるか、本なんて読んでみなきゃ詳しい内容は解らないのだから、読んでみてあまり価値のない内容だったら・・・・??

遠 い昔の小学生の頃に読んだ「ベルサイユのばら」ではじめて名前を知ったこの人の事を、どうして今になってこんなに知りたいと思ってしまったかは、以前に書 いた。→(こ ちらの最初の2つ

ところがフェルセン自身のちゃんとした本はほとんどない。どれもこれも フランス王妃マリー・アントワネットとの関係をファンタジーたっぷりに脚色したものや、彼女の為にと国王一家の逃亡に奔走した話ばかりが中心だ。彼自身の政 治的考え方や母国スウェーデンにおいての位置づけ、貴族の高官として、軍人として、政治家の息子として生まれ、教育された彼が王政や民主制をどう考えてい たのか、他のヨーロッパ各国が彼の存在をどう解釈したか、というような事はトンとはしょられている

ア クセル自身の日記でさえ、翻訳出版されているのは、主にフランス宮廷との関わりがあった時代の部分だけで、革命後の20年間近い部分は載っていない。彼は 1770年から1808年まで書き続けていたというのに・・・

彼の事が知りた い!と 思って探したものの、それらしいちゃんとしたフェルセンの伝記はスウェーデンのジャーナリストが書いたもの(スウェーデン語/フィンランド語)とフランス の歴史家の人が書いた本(フランス語)しか現在手に入りそうなものは見当たらない。残念ながらどちらも私には読む術がない・・・

そ れでも何かないか?!と根気よく探した所、英語で書かれている本が一つだけ見つかった。書いたのはアメリ カのスウェーデン/スカンジナビア研究家で大学教授でもある人。本人もスウェーデン系の子孫という事で、スウェーデン系アメリカ人としてスカンジナビア研 究に尽力し、スウェーデン国王からOrder of the Polar Star(ナイト爵位、イギリスのサー=sirに値する)を受けている。フェ ルセン自身が学長をしていたウプサラ大学から名誉博士号ももらっている

研 究者の書いたものならヘンにロマンチックな小説じゃなさそうだ、と思って入手すべく探したけれど、これがどこにも見当たらない。去年の11月 から数カ月、根気よく世界中を網羅したネットで探して、出てきたのは3回だけ。しかも法外なお値段=£750~£900が付いている!! いくらなんでも£700以上も一冊の本にかけるわけにはいかない・・・とその度にあきらめた。

最近の私は本はほとんど中古をネット(アマ ゾン)で買う事が多い。本はとにかく読めれば良いのだから、そこそこ装丁がちゃんとしていれば一向にかまわな い。でも今回は、この中古というのがきわめてレアな絶版本だったのだ

図 書館で見つかったのはブリティッシュライブラリーと、ロンドン大学図書館。でも借り出しはできないので、とても通ってまで読みに行く事はできない。ページ 数500以上の本だし・・・・

そ して数カ月経って、いつものように中古/絶版書を扱う本屋さんを検索していると、£260で出ていた、、、真っ先に思ったのは 「お 安い!」・・・・だっ てそれまでが700だの900だのっていう数字だったのだから、、、錯覚ってコワイ。もち ろんそれでも考えた、何日も。

でも、でも、260ポンドという金額は一度の買い物としては手が届かない金額ではない・・・ もちろん安くは無い。本一冊には普通じゃ考えない値段だ。でも、本はすでに絶版、ポピュラーな小説の類いではなく、レアな研究本として出版されたものなの で、中古でポンポン出回る事はなさそうだ

こ の値段で何ができるか、芝居なら5ー6本はいける。靴だって5足はかるい。パリへユーロスターで2泊っていうところか。カナリー諸島の格安ホリデーだった ら1週間いけちゃう。それを、本一冊・・・

で もこの本を手にして最初の作者の前書きを読んだ時、後悔しなくてすみそうだと思った。目次を通して見て さらに確信。フランス革命との関わりは最初の3分の一までで、それ以降の20年間に3分の2が費やされている。さらに驚いたのは、本自体は512ページあ るのに、本文は407ページまで。つまり100ページ以上は参考/引用文献の羅列なのだ。こんなに膨 大な量の参考資料を載せた本は見た事がない、、!!

手 に入れてよかった。知りたいと思って いた事がほぼ期待した通りに書かれている。小説ではないので、文章は堅い。でもほとんどの出所がアクセル・フェルセン本人の日記/手紙や、彼の回りの人達 が書き残したもので、一見矛盾しているような事が、実は時と状況の中で自然に変化して行った様子が理解できる

55 年の生涯で、3つの革命に実際に携わったフェルセン。アメリカの独立、フランス革命、そして母国スウェーデンでの革命、18世紀から19世紀への変換の時 代に4人の国王に仕えた彼は、典型的な大貴族の高官だ。
一見冷たい仮面の下に燃え盛る魂と、繊細でなにより正直な心を持っている」 と友人に評されている

£260 で読む人生かあ、、、 こんな秘蔵本を手にする事なんてこれからもほとんど無いだろうから、大事に大事に読み返すかな。最初は「面白くなかったら倍の£500で売れるか も・・・」とさえ考えたけど、どうしてどうして、これは本当に貴重な本を手に入れましたよ

私の価値観では悔いはありませ ん!!