昨日観た「コリオレイナス」は、舞台中継で観た「ひばり」とはうって変わって蜷川さんらしい「観る芝居」だった。最初に正面の鏡に客席が映ると、皆さん居住まいを正したり、髪に手をやって整える人がいっぱいで、思わず人間の心理に笑ってしまった。
階段舞台とは、合理的!
舞台全体が立体的になるし、空間に無駄がなくて、絵としてとてもバランスが良い。 16段の階段を平地のごとく動き回る(上がり下りする)役者達にはかなり身体的にきついと思うけど、観る舞台として最適。最上段の奥に襖絵のような背景を何枚も使っての場面転換は、スピードもあるし見事に生きてる。  ロンドン入りしてからのスタッフさん達の苦労が見えるようです。

「コリオレイナス」を観たのは初めてだったけど、こんなに面白いストーリーだったんだ〜。 やっぱりシェイクスピアは長いけど退屈しなかった。最後まで、コリオレイナスがどうなるのかと思いながら観ていられた。
残念だったのが、唐沢さんの声が半分無くなっていた事。 潰れるとまではいってないけど、かなり掠れている。出だしの民衆のシーンの最中に登場だったので、声量の無さは明白だ。 唐沢さんは滑舌と台詞回しは上手いので、かすれがちな声を上手くコントロールして騙しながら使っている。そうすると声が細くなる・・・・ 吉田鋼太郎さんの声もちょっと怪しくなりかけで、1幕の序盤からはらはらしてしまった。それに対して、勝村さんの声がビンビン響いていた! 

実は「天保12年のシェイクスピア」で私は勝村さんを初めて舞台で観て、テレビで見るより数倍も魅力的だったので驚いた。 密かに「発見!!」と思っていたので、今回のコリオレイナスで来ると聞いて楽しみにしていた。 あの役は、御本人もプログラムの中で仰っていたけど、敵になったり味方になったり理解しにくい。でもそのあたりを自分の中でちゃんと埋めていたのが解ったし、かすれがちな声があちこちから出てる中で、凛とした声を響かせてくれたのは、救いだった。

とはいっても、芝居自体はどの役者さんも良かった。 最後にはいつの間にが唐沢さんのコリオレイナスを好きになっていて、オーフィディアスにまで裏切られた時には、「ああ〜、なんでまた・・・!」と悲しくなった。 白石さんの母は、説得力があると共にその個性的な声も相まって、こちらでの評価はかなり良い。小峰さんの衣装、装置の色、色彩的に「観ずにはいられない」舞台になっていた。

金曜日だったせいかほぼ満員。 蜷川さんの芝居にしても、日本人がこんなに大勢来ている公演も初めてだった。私はいつもは平日の夜にひっそりと芝居を観るので、こんなに劇場で日本人に遭遇した事は無い・・・・ちょっといたたまれない様な気分で緊張してしまった・・・・

さて、明日の朝には日本行きだ〜〜! もう荷造りもして、オンラインでチェックインも済ませたし、日本円も空港で受け取る手配ができてる。両替えレートはこの20年で一番良い! 1ポンドで232円ももらえるなんて!! 去年初めてオンラインでチェックインした時は緊張したけど、今ではボーディングパスも自分でプリントアウトできる。全くなんて時代だろう・・・!

次のブログ更新は初めて日本から、という事になります。お天気が良いといいなあ〜〜!!

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