何か・・・すごいんだよね、、

Piaf」観てきた。その名の通り、エディット・ピアフの話。去年映画のLa vie en roseが大好評でピアフ役のMarion Cotillardがオスカーを取ったけれど、こっちの舞台版のピアフも凄かった・・・

本は元々30年前に書かれたものだけれど、今回の再演ではかなり大幅に圧縮している。10年程前にエレイン・ペイジで再演した時には、2時間半出ずっぱりというステージは彼女にとって負担が大きく、1年間の契約だったのが早めに打ち切られた。今回は休憩無しの1時間40分に凝縮されて、まさにダ〜〜!と人生を突っ走る感じでどんどん進んで行く

演出意図なのだろう、曲が終わっても観客に拍手をさせない。普通ミュージカルだと、曲の後に半秒位の間(ま)で拍手が起こり、役者も拍手の波が引き始めたタイミングで次の台詞に移る。でもこの舞台ではその一瞬の呼吸のを与えずに瞬時に場面が飛ぶ。だから観ているほうは手をたたきたい衝動を拒否されて、そのままそのエネルギーを次のシーンに乗せていくしかない

1時間40分の内に30年が詰まっているので、一瞬の場面転換で何年もの時間が経っている。これは演出的にはギリギリの所じゃないだろうか。ピアフ以外は数人の役者が何役も兼ねていて、次の場面には何年後かの話に違う人物として同じ役者が出てくるので、モタモタ観ているとついていけないだろう。観る方も舞台のスピードについていけないと、人物像が混乱するリスクギリギリで成り立ってる

エディット・ピアフの事を全く知らないとちょっと苦しいかもしれない。本当に去年の映画の成功が利いている。主演のエレナ・ロジャーがアルゼンチン出身の女優さんだとは知らなかった。彼女は2年前にEvitaの再演が決まった時に主役に抜擢され、ローレンス・オリビエ賞にノミネートされた。私はこのEvitaは観なかったので、普通にイギリス人だと思っていた

このピアフはフランス人という事で、訛りのある英語で台詞をしゃべる。それが本来彼女がネイティヴのイングリッシュじゃ無い事を効果的に利用した演出になっていて面白い。訛りはあるけれど台詞はもちろんちゃんと解る。かなり蓮っ葉で下品な物言いですが・・・そして歌はすべて言語のフランス語だ。これはもうエディット・ピアフにしか聞こえない・・!!

出ずっぱりで歌いまくり・・・すごい。観ているうちに、巧いとか面白いとか泣けるとかそういう感想を飛び越えてどんどん「すごい・・!」としか言えなくなっていく。歌詞の解らないフランス語の歌に涙が出てくる、、、そのすごい!という圧倒的な思いを観客が表す術なく走り続けた芝居の最期の曲、Non je ne rigrette rienが終わった瞬間、今度こそ間髪入れずに割れるような拍手が湧いた。この時の間(ま)が、それまで拍手を拒んで一瞬で切り替わっていた芝居の転換のと同じだった。観客が舞台と同じスピードで手を叩きたい衝動を引っ張ってきた証拠だ

ピアフは142cmしかなかったそうだけど、エレナも150ちょっとじゃないだろうか、、?小さい。その小さな身体で虚勢を張り、怯え、笑い、沢山の恋をし、嘆き、歌う・・・ 自我を捨ててエディット・ピアフを生きている、、、すごいこんな女優は日本にはいないよな〜、と思いながら観ていた

この間のサンセット・ブールヴァードといい、女優陣の凄さが光ってる。今回の公演は100回限定のこれまたlimited Seasonなのだけれど、あれでロングランしたら役者がぼろぼろになっちゃうよね
ピアフ流に言うと、まさにFucking Brilliant!!だった。


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