先週から始まったウィンブルドン。イギリス期待のワールドNo3、アンディー・マリーが快調に前半を飛ばして今日から後半戦に突入。さすがに昨夜のマッチは手に汗握ってしまった
今までにもそこそこに良い選手はいた。グレッグ・ラセドスキーやティム・ヘンマンが出てきた頃も、久しぶりに期待できるイギリス人テニス選手という事でずいぶん話題になったし期待された。でもどうしても世界ランキングのトップ3の壁は破れなかった。現在22歳のアンディーが、2年前の11位からトップ10に入って、去年から今年にかけてあちこちでタイトルを取り、ランキングを駆け上るまさにの活躍。5月にイギリス男子選手で初めてトップ3の壁を破ったのは大きい

今年のウィンブルドンはちょっと違う。センターコートに屋根ができた。これは3年前から準備されていてやっと完成したもので、高さ16メートルの位置に半透明の白いカーテンのようなカンジで蛇腹式に開閉する。今まではウィンブルドンといえば雨と精神力の戦いとも言われてきたけれど、その伝統もこれで無くなってしまう。もちろんセンターコートだけの話ですけど、雨が降り出す度に芝のコートを布で覆いに走るスタッフの姿はもう見られない、、、、 中断する度に流れが変わる試合にハラハラするあのカンジ、、、途中で中断されるうちに夜になってしまって、ゲームが途中で翌日に持ち越されてしまうあの緊張感・・・(今回ワイルドカードもらった伊達公子さんの最期のグラフ選手との準決勝も、最終セットが翌日に持ち越されたっけ

そんな予測できないドラマがウィンブルドンを「一味違う=特別」とすべての選手に言わせてきたのだけれど、、、少なくとも今年からはセンターコートに雨は降らない。おまけに真昼と変わらない自然光の照明が付けられて、ゲームが長引いても続けられる。なんと昨日のAndy Murray VS Stanislas Wawrinka の試合が終わったのは驚きの夜10時40分!! これはもちろんウィンブルドン史上最も遅い時刻だ。昔は日本でウィンブルドンの決勝を観ていると夜中の1−2時になってしまう事もあったけれど、昨日は日本時間の朝6時40分・・・!でもライヴ中継を観ていると場内の照明は本当に昼間みたいで、時間の感覚が無くなってしまう。BBCのカメラがゲームの休憩中に画面をパンして、ウィンブルドンの外の風景を映していたけれど、これがなかなか神秘的。森が多いウィンブルドンの周辺は既に真っ暗な影になった中で、白くそこだけ違う宇宙のように浮かび上がるセンターコートの楕円形・・・良い絵でした

もう一つ新しいのは、Hawk-Eye=ホークアイと呼ばれる自動ライン判定のCG機器を利用する「チャレンジシステム」だ。今までウィンブルドンのセンターコートには、サーヴの際にフォルトを判定するブザーがあったので、ラインズマンの「Fau~~lt!」という声と同時にビ〜!となるあの音が、今回は無い事に気付いた人もいるでしょう。その代わりがホークアイ。選手がコールにチャレンジすると、大画面にその場で球筋とボールの落下地点が示され、IN/OUTの判定がされる。チャレンジは何度でもできるが、選手側の間違ったチャレンジは1セットに3回まで。3度チャレンジに失敗すると次のセットまでチャレンジできない

このホークアイもまた、主審に食い下がる選手の様子や(マッケンロー選手のYou can't be serious!! はあまりに有名)ラインズマンのコールを主審が覆したりといったテニスゲームの伝統を無くしてしまう・・・ でも21世紀のプロスポーツには必要な進化なのかも。実際これはかなり盛り上がる。昨夜のマッチでもアンディー・マリーはチャレンジしまくっていた。両者とも、ベースラインでのラリーの応酬で戦っていたので、ギリギリのボールがゲームの鍵を握る。観客はチャレンジの度にスクリーンに映ったボールの軌跡を興奮して見守り、判定が覆されると場内は沸きに沸いた

屋根が閉まったコートでプレイしたのは昨日が初めて。試合後にアンディーは「直前まで屋根を閉めて始めると聞いてなかった。閉まった状態でのコンディションが判らなくて慣れるのに時間がかかった」とコメントしていた。芝のコートは湿気を吸い易いので、「すごく重かった」とも・・・ 昨日もそうだけど、今週のロンドンは真夏日が予想されていて、連日の最高気温は30度にもなっている。ただでさえタフな後半戦、気温と湿気に強い選手が優勝への道を手にするような気もするなあ〜〜。

第一シードのフェデラー選手とアンディーとの対戦成績は8戦中6勝2敗とアンディーがリードしている。以外と思った人も多いかもしれないけれど、実は彼のほうが勝ってるのだ。ただし、、!

セミファイナルで対戦した時は常にアンディー・マリーが勝っているけれど、フェデラーが勝った2戦はどちらも決勝なのだ・・・!ここが大切、、、? 

もし、もしも、、アンディーがウィンブルドンで優勝すると、男子の地元イギリス選手の優勝は70年以上振りという事になる。これはやっぱり期待がかかっちゃうよね、、、それも現実として可能性のある期待だからこそ余計に。22歳のスコッツマンに、新しいセンターコートは味方するのだろうか、、?? 


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