見つけもの @ そこかしこ

ちょっと見つけて嬉しい事、そこら辺にあって感動したもの、大好きなもの、沢山あるよね。

カテゴリ: 映画の話

最近はめっきりテレビを観る事も少なくなった。こちらのテレビで面白いドラマに巡り会える事はとても少ない。まず、日本のテレビ番組のように、時間枠で決まっていないからだ。いつ放映なのかを把握するのが難しくて、気付いたら見逃してしまったといった具合・・・

だからもっぱらDiscoveryとかNational Geographicとか、History Channnelを観る事が多くなってしまう。あ、あとFood Channnelもね。「事実は小説よりも奇なり」というのは本当で、犯罪の検証とか飛行機事故の原因解明とかといった番組が面白い

ただ、そのドキュメンタリーと呼ばれる番組の信憑性はどう判断すれば良いのだろうか、、?知らなかった事を知るというのは楽しいしエキサイティングだ。でも知らなかった事がどこまで正しく真実なのかは、元々知らなかった側としては知る由もない

何故こんな事を考えたかというと、先日テレビ放映された「The Cove」を観たからだ。The cove=入り江において秘密裏にイルカの大量殺戮が行われているという日本の小さな町を取り上げた去年のアカデミー賞受賞作だ。日本ではアカデミー授賞式のテレビ中継からドキュメンタリー部門がカットされ、インタビューされた科学者は「聞いていた趣旨と違う」と出演シーンのカットを要求し、何度が予定された映画公開は次々と延期/キャンセルになり、ようやく今月から順次に公開されはじめているらしい。(それでも全国一斉ロードショー!とはほど遠いとか)

この映画の内容の賛否両論を言い始めたらきりがない。こっちの普通とあっちの普通の違いは簡単には埋まらないからだ。年間に2万3千頭ものイルカが太地で殺されている、、、彼等がスパイ大作戦よろしく撮影したものだから、これは事実なのだろう。そしてその事をほとんどの日本人が知らないというのも事実。ただこの映画、そこから先が無いのだ。

のっけから「これがバレたら俺たちはマジで殺される」と言いながら大きなマスクと帽子で顔を隠して車で移動している極秘撮影隊。映画の作りが「秘密暴き」に傾いていて、深い問いかけが見えて来ない。「可愛い可愛いイルカ達をこんなに残酷に殺している」という事をやたら同情的に見せている。水銀の含有量の多いイルカ肉を食品として売っている、というのを水俣病と合わせて紹介しているけれど、同じ水銀でもイルカ肉と工場廃棄物ではなんだか比較するのがちぐはぐだ。

この事実をどこにどうぶつけて、どう対処しろと言いたいのかがはっきりしない映画で、正直期待していたよりも映画としても面白く無かった。「日本政府はこの事実を隠蔽している、日本国民も騙されている」と言いたいのか、だとしたら誰にそれを言いたいのか?日本の人に事実を知って欲しいというなら、日本で上映がされないような映画じゃ意味が無い。それとも世界で公開して話題にする事で、捕鯨業と合わせて「日本叩き」のプロパガンダにしたかったのか、、、?

そして日本側の対応もはっきりしない。真正面から映画を見せて、「これは違う!」と討論する構えがない。フタをして公開を先延ばし/限定にすればいいというわけじゃない。警察ぐるみで撮影隊を追い出そうとするシーンがサスペンスタッチで描かれていたけれど、太地町/日本側として理にかなう言い分があるならきちんと映画に対して抗議するべきだ。「臭い物にはフタをする」という日本御得意の逃げなのか・・・?

「こんなに残酷な事をして、その事実を隠蔽しているなんて酷すぎる、、可愛いイルカ達が可哀想、、、、」と涙して、胸を痛める人もいるのだろう。でも私はそれすらも感じなかった。確かに現実にカメラに収められた映像は衝撃的で一瞬言葉を無くす。でも次に思ったのは、映画制作側/日本側両方に対しての「だから、、何?」だった。いったいどうしろって言いたいの?

イルカを殺すのを止めろと言われたら、日本側(というよりこの場合は太地町のみなんだけどね、他の日本人は知らないんだから)は何故イルカを殺さなければならないのかを、きちんと納得出来るように説明できなければいけない。できないなら、殺さなくて良い方法を提示して理解を求めるべきだ。本当に人体に害が出る程の水銀入りの肉が市場に出回っているのか、消費者団体は徹底的に調査して、この映画の裏付けを取るべきだ。もしそれが誇張ならばきちんと反論して映画を訴えればいい

「なんだかここから何処へも向かって行かないような作りの映画だなあ〜」というのが正直な感想。これがアカデミーだけでなくいろんな映画祭で賞を獲ったというのもなんだか腑に落ちない。他にドキュメンタリー映画は創られなかったのか、、? 

しっくりしない映画。日本公開での反応はいかかでしょう??


朝いつものようにMacをオンにすると、ネットのホームページにしてあるGoogleにアジア人らしきおじさんが・・・ 映画を撮ってるらしい絵になっていた

手塚治虫さんに似てるな」とちらっと思っただけで、単に映画をモチーフにしたdoodleだと気にも止めなかった。ちなみに私のブラウザのホームページはGoogle ukで、日本のページではない。だからDoodleに日本人が描かれているとは思いもしなかった

今日は休み、彼は相変わらずバスルームで作業をしているので、私は私で洗濯したり休みの日に大量のカレーをまとめて作り置きしておこうと準備をする。そのうち、彼が作業しながらつけていたラジオから「・・・アキラ・クロサワ・・・Seven Samurai・・・Ran(乱)・・・」等々聞こえて来た。あれ、、?もしかして映画監督の黒澤明さんの事・・??

何だろうと思ったら、今日は黒沢監督が生きていれば100歳の誕生日だったのだそうだ。それにちなんで、いろんな新聞でも黒沢監督の事がちょっと記事になっている。へえ〜〜、100回目の誕生日にちなんでDoodleを監督のイラストにしてくれたんだあ〜〜!

単に世界的に有名というだけでなく、世界映画界に影響を与えた監督として海外からの評価を受けているというのは本当に凄い事だ。私が黒沢監督の映画を観たのなんて本当に最期の方の時期で、(「」以降)7人の侍羅生門もずっと後になってから観たのだけれど、今でも世界映画界から忘れられずに認識されているというのは大きな功績だ

まあ考えてみれば、どんな国にも歴史的の名を残す人というのは必ずいるわけで、日本人でそういう人がいたっておかしくはない。でもやっぱり数としては少数だからねえ〜。ただ有名になったというだけでなく、新境地を開拓した存在として世界から尊敬されているというのは素晴らしい事だ。

」を初めて観たのはイギリスに来てからだった。かなりの入りでいかにも映画好きといった人達が集まったシネマで「リア王」をアレンジしたこの映画を観た時は、リア王(シェイクスピア)の本家イギリスでどう受け入れられるのかと思ったら、なんと、映画が終わってエンディングクレジットになると場内から大きな拍手が起こった

映画館で拍手が沸いたというのは私には全く初めての出来事だったので、びっくりしたものだ。実際映画館で拍手を聞いたのは、この時を含めて2ー3回しかない。確か黒沢監督は亡くなる前にアカデミー賞のLifetime Achievementを受賞したはずだ。今でも、黒沢監督に影響を受けたと語るハリウッドの映画監督も大勢いる。 今更ながら世界のクロサワを再認識した

昨日観て来たジェレミー・アイアンズ主演のThe Gods weep、レビューでは本について厳しい批評もあったけれど、私としては面白かった。「リア王」をモチーフにした本で、構成としてはやはりシェイクスピアを意識している。裏切りと復讐、そして崩壊、赦し、、、3時間だけど飽きなかったし台詞のユーモアにも笑えた

Jeremy Ironsはすごく細身の人だけれど、映画では見えないオーラがある。やっぱり巧いね。役者はやっぱり愛嬌だね。愛嬌のある役者の演技は愛すべきものがある。それにしてもこの劇場はスタジオスペースなので、最前列にいた私の30cmの所に役者が立っている。一歩よろけたら足を踏まれそうな感じだった。そんな距離にアカデミー賞受賞俳優が立っているというのもなんだか不思議な気がした

かなりバイオレントなシーンもあったし、途中で出て行った人達もいたようだけど、私的には面白かったと言える。RSCはカンパニーだからチームワークの良さがあるんだよね。役者の力量は細部にわたって素晴らしかった

明日にはバスルームが終わりますように・・・キッチンのライティングは来週に持ち越しになりそうだあ〜〜〜!





あれよあれよという間にもう一月も終盤、、、!! 日が照らない日が多いと、なんの記憶も残らないままに1ヶ月が過ぎてしまう。あ、、記憶あるよ、、雪降ったね〜!! (これだけ、、?)

クリスマス前から借りっ放しだったDVDをやっと返したら、早速次が送られて来た。私の利用しているオンラインレンタルは、£7-96でDVD4枚まで借りられる。(一度に1枚)このクレジットは3ヶ月有効で、4枚分使った時点で、あるいは全然借りてなくても3ヶ月でまた同じ値段が更新される。まあ3ヶ月で4枚というのは他のどのレンタルサイトよりもゆったりしていて無理がない。他は最低でも1ヶ月に2枚とかだったり、安く借りようとすると月に8枚くらい借りないといけなかったりで、私はそれほどヒマではない・・・!

で、今回送られて来たのが「Love And Honour」というタイトル・・・覚えが無い、、!! DVDは本体だけが送られてくるのでパッケージがない。借りたいリストに載せたのをちゃんと覚えていないというのはよくある。で、セットしてみると、、、「武士の一分」だった。あれ〜〜、、、ホントに覚えてないよ〜リストに載せたの・・・

木村拓哉さんが主演で結構日本では評判になった山田洋次監督の映画だ。これがこっちでLove and HonourなんてタイトルでDVDになってた事も知らなかったのに、、、?? でも多分以前にレンタルサイトでリストを再チェックした時にたまたま見つけて載せておいたのだろう。

このレンタルのリストっていうのも、自分がその時に何に目がいっているかのバロメーターになる。何かでちょっと気になった俳優とか監督を見つけると、とにかく観たくなってリストに載せる。でも時が経つうちに今度は他のものに目がいって、そっちが観たくなる、、、で、リストを一掃するのだ

以前「バベル」を映画館で観て、ブラッド・ピットが観たくなって何本かリストに載せた。そのうちある時急にイザベル・アジャーニを観たくなり、そういえば、、とルキノ・ヴィスコンティ監督の作品が無償に観たくなったり、フランス映画ばっかり並べたり、、、、 たまに「日本の映画はどんなのがあるんだろう?」と検索してみたりして、「ピストル・オペラ」とか「不夜城」も観たなあ〜。「武士の一分」も日本映画を検索していてリストに入れたんだと思う

DVDは1つ返却すると,すぐに次のがリストからピックアップされて送られてくる。観たい順は完全にはつけられないけれど、3段階に分けられるので、「次に観たい」ものをに入れて他を全部にしておくとDVDが空いてる限りはその順でくる。1の中にいくつか入れておくとその中から適当に選ばれる。そういえばリストの整理を最近していなかった

ちょっとチェックしてみると、次に送られてくるのは、「The Last of England」今は亡きデレク・ジャーマン監督のもう20年以上前の作品だ。これを私はエジンバラ・フェスティバルで観た。デレク・ジャーマンティルダ・スウィントンもこれで初めて知った。ティルダの両性的/中性的な魅力に惹かれて、彼女が男/女を演じた一人芝居の舞台を観に行った。殆ど忘れかけてたこの作品、何故かまたちゃんと観たくてチェックしたんだっけ。

ちなみに私の中ではベルサイユのばらでオスカルを演じられるのは、彼女=ティルダ・スウィントンしかいない。中性的なだけでなく、179cmの長身で、冷たい/氷のような気高さと女としての温かい表情、上流家庭の出でありながらリベラルで奔放な生き方、なにより本当にスコットランド王の血を引くノーブルな気品はただの女優では到底出せない

その他はジョニー・デップヘルムート・バーガー(ルキノ・ヴィスコンティ)坂本龍一教授が音楽を手がけたLove is the Devil、ハリー・ポッターの4作目なんかが並んでる。私が映画を選ぶ目安にしているのは年齢指定だ。こちらでの指定で15歳以上のものが9割を占める。この映倫の指定でだいたいの見当がつくからだ。たいてい15か18のものしか観ない。ちなみに日本では問題ない映画でも暴力的なシーンがあったりするとこちらでは即18扱いになってしまう。「バトル・ロワイヤル」もそうだった

ちなみに「武士の一分」、可もなし不可もなしといったところか、、、山田監督の映画なので「たそがれ清兵衛」と似た匂いがする。地味な映画だけれど、温かい。木村拓哉さんは役者ではないので、演技的にはこれまた可も無し不可も無しだけれど、剣のシーンは身体が綺麗に決まっていた。・・と思ったらキムタクさんは剣道をやっていたのね。どうりで、、、説得力あったよ。嬉しいオドロキだったのが、緒方拳さんが出ていた事。これは知らなかったので、思わず「拳さんだ〜!」とテレビに向かってつぶやいてしまった

今年はちょっと金銭的に芝居を観に行くのも月一がやっとかなあ〜〜 映画はそれこそDVD待ちになりそう。クリスマスに公開された「Nine」が気になる。キャストもそうだし映画としても。今年に入ってまだ何も観てない。芝居のほうは今月末の「ゴドーを待ちながら」(イアン・マッケルン)が今年初のシアターだ。3月にはジェレミー・アイアンズが20年振りにRSCの作品に出るし、5月には「ムサシ」も来るし、またチケットチェックしなくては・・・

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3連休なんてあっという間。でもこのあいだに観たかったのが今月封切られた新しい「Dorian Gray」。オスカー・ワイルドの「ドリアン・グレイの肖像」の映画版だ。今までにも映画やドラマ化されているこの作品、今回のドリアン役はナルニア国物語のカスピアン王子に抜擢されたベン・バーンズ(Ben Barnes)君だ。ドリアンに快楽主義を教え込むヘンリー卿にコリン・ファース(Colin Firth),ドリアンの肖像を描く画家のバジル役にはベン・チャップリン(Ben Chaplin)という配役

これはやっぱり原作が良く知られているので、映画の中で特に目新しい事が出て来るわけじゃない。でも今回は話を20年後までひっぱっていて、ヘンリー卿の娘とドリアンの新しい関係という図も入っている。気になったのは肖像画のCG、、、せっかくヴィクトリアン調の色で話が進んでいったのに、ちょっと最期はやり過ぎかなあ〜〜・・・?

私としては、このテの堕落した快楽主義エロティシズムの匂いがする映画は好きだ。だけど何かが出し切れてない感じ・・・?それなりに仕上がってるし観ていて面白いんだけど・・・一応R15指定でかなりエロティックなベン君が良い顔をしてるんだけど、ドリアンの心の葛藤がうまく見えて来ない。前半のロンドンに出てきたばかりの無垢でナイーヴなドリアンは凄く良い。

ベン・バーンズ君はBeautifulという顔立ちとはちょっと違うんだけど、初々しくてハンサムだ。そして品がある。それとは反対にまたに落ちた顔というのが良い。これは前から思っていた。悪魔的表情が「良い顔」なんじゃないかなって。ただ、この映画の中ではすごく良い顔をしている時とすごく平凡にしか見えない時がばらついてる。絵として決まる時と抜けてる時があるって言えば良いのかな・・・そういう意味ではこれからもっと自分を見せていけるようになっていくと期待したい。まだ固まってない部分があるっていうのは悪い事じゃないよね

イギリスの役者は、いわゆる上流階級を演じられる俳優というのはある枠があって、英語の話し方/発音、立ち居振る舞い等で或る種のものが求められる。クラシックな映画に常に顔を出す役者がある程度固まってるのはその為だ。これは演技力という事ではなくて、今でもイギリスに歴然と存在している階級の問題。貴族を演じる役者はそれなりに見えなくちゃいけない。それは労働階級出身の貧乏役者には醸し出せないものなのだ。上流階級常連の役者達、例えばこの映画でヘンリー卿を演じたコリン・ファース、他にもナイジェル・ヘイヴァース、クリスティン・スコット=トーマス、ヘレナ・ボーナム=カーター、彼等は皆それなりの家庭/教育のバックグラウンドがある中流以上の出の役者達だ。ベン君もこの映画の前にEasy Virtueで上流家庭の息子を演じたし、(両親役はコリン・ファースとクリスティン・スコット=トーマス)これ以降もクラシック俳優の仲間入りをしていくんだろうな

この映画で光ってるのはヘンリー卿のコリン・ファースと画家バジル役のベン・チャップリンだ。この2人とドリアンの絡みがなので、これは外してない。特にコリン・ファースは最近の作品で一番良いかもしれない。「またいつもの感じかなあ〜、、」と思っていたのだけれど存在感抜群だ。最初の恋人、シビル役のレイチェル・ハード=ウッド(Rachel Hurd-Wood)の透明感も凄い。彼女は「ピーター・パン」のウェンディー役でデビューしてまだ10代だ。彼女のクラシカルな女優の仲間入り間違い無しかな。オフィーリアとかもやれそうだけど、、、、

役者達は手堅かったけど、やっぱり肖像画の使い方がイマイチだった感が否めない。屋根裏部屋の絵っていうのはもっと不気味なものを醸し出せるはずなのに、ヘンにCGで大袈裟にし過ぎた感じがする。無理しないでクラシックな作りでよかったのに・・・・

もう一度ちゃんと本で読んでみようかな。英語では読んでないな、、、
そういえば、ブログに書くのはとばしたけど、先週舞台版のThe Shawshank Redemption(ショウシャンクの空に)を観てまた映画をちゃんと観たくなった。良い舞台だったし、役者達は隅々まで力のある人達で固めてあって見ごたえあった。でもやっぱり映画以上の発見がなかったのが残念かな。これは春に観た「レインマン」もそうだった。ドラマとして良い話だし、役者達も良いんだけど、舞台を見終わった途端に映画で観たくなったんだよね
「Dorian Gray」は原作本が読みたくなったよ・・・・


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うわ〜、、、なんて言えばいいんだろ?
この、、、突っ走ったかんじ、、? 激しさと躍動感と疾走感、、? まさにむきだしだ。なんだかざわざわと揺さぶられる

愛のむきだし」というタイトルだけですごく気になっていた映画。それでなんと4時間の大作でベルリン映画祭で賞をとったという事を聞いて是非観たいと思ってた。実はイギリスでは配給が決まってて10月末だかに上映されると聞いていたので、日本ではもうDVDになってるのは知ってたけど待つつもりだった。でも一足早く観る事ができた

母亡き後、カソリックの神父になった父=テツと静かに暮らしていたユウだが、その父に一方的に恋心をぶつけてくる女、カオリの出現で歯車が狂い始める。父は教会に隠れてカオリと過ごすが3ヶ月で捨てられる。傷心のあまり心を閉ざしたテツはそれから毎日ユウに懺悔を強要する。「何か必ず罪があるはずだ」と毎日責められる事に困ったユウはわざと悪事をして懺悔のネタを作る。そしてデジカメを使って密かに女の子のスカート下からパンチラ写真を盗撮する日々を送るようになる。そして出会ったのが男を全く信じていないヨーコ。ユウは一目で恋をする。ところが彼女は父と復縁したカオリの連れ子だった・・・親子4人として暮らし始めたユウ達の前に謎の新興宗教団体が現れ、幹部のコイケは巧みにユウに近づいて一家を教団に洗脳入信させようとしていた・・・妹になったヨーコを自分の只一人のマリアと信じて愛を貫ぬくユウは、彼女を教団から無理矢理連れ戻そうと戦い始める。

映画って予告編だけで大抵予想がつく。ストーリーや結末の予想じゃなくて、私がこの映画を好きかどうかという予想。予告編を観て私の映画(タイプ)だと確信があった。ただ主演の若い俳優達は私は全く知らなかったので,どこまで説得力のある演技になっているかが未知だった。でも、ユウ役の西島隆弘君もヨーコ役の満島ひかりさんも凄く良い。特に満島さんのクールで可愛くてそれでいて激しくてむきだしの演技にはびっくりした。揺さぶるものがある

タイトルがむきだしの愛じゃなくて、愛のむきだしっていうのがほんと、そうじゃなくちゃいけないタイトルだと納得。4時間が全然長く無い。無駄もないし。カソリック=信仰、罪の認識、パンチラ盗撮、たった一人のマリアとの出会い、レズビアン、新興宗教、洗脳、奪回、心の崩壊、、、 盛り沢山のようでいて実は一つの糸にちゃんと繋がってる=純愛だ。どんなパンチラ写真にも性欲が沸かない主人公が、唯一ヨーコを観ると身体が反応してしまう、というところに監督の純愛へのこだわりが感じられる。そのたった一つの愛を手に入れるまでのストーリーだ

こんなに胸にざわめきを感じる映画は久しぶりだ。深作監督の「バトル・ロワイヤル」以来かも・・・前半はわりとポップな感じですいすいと進んで行く。始まってからかなり経って(1時間近く)ヨーコ登場の後にいきなりタイトルの愛のむきだしという字が画面に踊り、そういえばまだ出てなかった事に初めて気付く。アクションがなかなかカッコ良い!そして後半はどんどんいろんな物がはがれて文字通りむきだしになっていく。 ユウ、ヨーコ、コイケ、そしてテツとカオリ、各々のキャラクターをちゃんと時間をかけて見せていたので、各々がむきだしになっていく様だけで5通りのストーリーになっている。

海辺で「愛」についてヨーコがまくしたてる、聖書から引用の長ゼリフのシーンは圧巻だ。ユウに馬乗りになって、本当の愛は何か、愛がなければどんな慈善も無意味だと延々と叫ぶように語る。このシーンでは新興宗教に洗脳されているという設定なので、そのちょっとズレた勢いがよけいに迫力がある。バックに流てるのがベートーベンの7番っていうのがまたすごい選択。私も新訳聖書のコリント人への手紙の章にあるこの愛のくだりは学校時代に何度も何度も読んだ。(私の通っていた学校はキリスト教校)

愛は寛容であり、愛は情け深い、またねたむ事をしない・・・で始まり、愛はいつまでも絶える事が無い までのこの一説は、中/高生の頃にはまるで不可能な事としか思えなかったり、どうにかしてその真意を理解しようと躍起になってみたり、完全な理想論のように読み過ごしてみたりしていた。この映画での愛は理想論ではなく、たとえ失っても戦って力ずくで奪い返すもの、すべてをむき出しにして手に入れるもの

途中で、最期はどうにもならない、という結末になるんじゃないかと不安になったけれど、監督はちゃんと最期は赦しを与えていたのでホッとした。それにしても新興宗教とカソリック、罪を作るためにわざと変態になろうとするユウと、自分の罪はむき出しに出来ない代わりに息子に毎日懺悔をさせて赦しを与える父親、という対照的な宗教観がの価値観を変えているのが巧妙だ。パンチラ写真に全く興奮できないユウと、自分はレズビアンだと錯覚してコイケと絡み合うヨーコの純愛/変態ぶりがあるがままの正直さで描かれてる。う〜ん、むきだしとはホント良く付けたタイトルだ

映画の中でも何度か出て来る空洞というキーワードを使った主題歌「空洞です」とラベルのボレロが繰り返し使われているけどこれもすごく効果的。盗撮王子のシーンでのポップな感じと話がヘビーになるにつれての重厚な音のリズムがバランス良くて長さを感じない。海辺でのシーンと最期でも使われたベートーベンといい、ホント監督のセンス良いわ!!

なんだかうまくスラスラっと言葉が出て来ない感じ。でも久しぶりに揺さぶられる映画だった。満島ひかりさん、良いね! 実際に10代なのかと思ったらもう23なんだ・・・ああいう演技を一度しちゃうとこれからがきついだろうな〜と思うくらい持ち札を全部さらけ出してる感じだ。2度目はできなかったかもしれない一瞬の演技を撮れるところが映画の凄い所だよね。海外受けする映画だと思う。私の予感通り、すごいものを観た感じ

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ホントは今日はRED CLIFFを映画館で観て来ようかな、と思っていたのだ、、、 ところが朝からほぼ2時間毎に猛烈な雷雨がやってきては去り、また来ては去り、の繰り返し。休みの日にウェストエンドまで出ると一日潰れてしまう、おまけに今日は他に都心でなきゃ出来ない用事もないから、時間と電車代を考えるともったいない。

で、代わりというか、6月にDVDが発売になったはずの「K−20怪人二十面相・伝」がネットに上がっていたので今日はこれにしよ!っと決めた。北村想さんの原作は去年読んだけれど、映画は別物のオリジナルに近いというのは予想していた。金城武、松たか子、仲村トオルというお三方の組み合わせはとても楽しみだった。

痛快だねえ〜〜! 私は基本的に娯楽映画ってあまり観ない。007だって映画館で観たのは1本だけだ。でもこれは映画館で観たかったなあ〜。使い過ぎじゃないCG加減が丁度良い。全体がすごく昭和っぽい匂いがしてるあたりは、さすがに「Always,,,」のスタッフチームか・・・ この画面の色のトーンが絶妙。原作が持っていた時代の空気を壊さずにそれでいて映画独自のストーリー展開。脚本も単純な中に伏線もあって面白い。

私は途中で小林少年がなんだか変だなと思ったのだけれど、まさか明智の二役だったとは! 仲村さ〜ん、また犯人だったのね・・・ それにしても鹿賀丈史さんの二十面相は全くのミスリード、、?まあ「鹿賀さんじゃ走れないでしょ〜,,アクション無理でしょ〜、、」とは思ったのですけどね。大人の遊び心が随所にあって単純に楽しめる映画だ。金城さんのアクション映画も久しぶりだけど、ほんとに違和感なく決まってる。ヘリからの縄梯子にぶら下がって高笑い(無理矢理)してカッコ良く決まる人って他にいないよね。やっぱり金城武さんには独特のスケールがあるなあ〜。

原作を読んで面白かったのが「泥棒修行」だったのだけれど、このシーンもワクワクした。どんな障害物があろうとも一直線に走るっていうのは映像にすると実は結構スケールが大きい。実は私は子供の頃に「忍者修行」というのをやろうとした事がある。多分小学生の4年生位の時だ。何かは忘れたけど、忍者ごっこが流行ってたんだと思う。雑誌の夏休み特集で「忍者修行」というのがあって、毎日のノルマが載っていた。塀の上を歩くとか、足音を立てずに畳を走るとか、まあ子供向けのそんな修行プランが載っていたのだ。成長の早い葦の草地を毎日飛び越えると4週間程で軽々と塀まで飛べるという事らしい、、、??確か3−4日で挫折した

松たか子さんの葉子はなんとなく想像してたとおりのキャラだ。こういう、世間知らずなのだけれどしっかり者のお嬢さんというのは松さんのハマり役じゃないだろうか。ちょうど「金城さんと松さんのコンビも観てみたいかも」と思っていた所にK−20の話を聞いてびっくりしたっけ。衣装もウェディングドレスや黒のドレス他コスプレみたいにくるくる変わって可愛い。明らかにズレてる明智との関係もよく観ていれば種明かしのヒントだったかもね。仲村さんの明智がちょっとニヒルで嫌みっぽいのは原作のイメージ通り。そこが盲点だったんだけど、ラストを判らせない用に上手く生かされてる。

衣装やセットの色や明るさがすごく効果的に使われている。音楽もいつの間にか耳について覚えてしまってるカンジ。娯楽映画の楽しさってこういうものだよね。観ていて爽快感が味わえる。そういえば原作でもラストは明智、怪人共に二代目になる。そこに上手く結びつけたあたりも上手い。金城さんのポニーテール(というよりちょんちょこりん)良いわ〜〜 好きだなあ〜,男の人が髪を結んでるのって。あれ?前にそんな話しブログに書いたっけ・・?(そうだ、ここです)

これはやっぱりDVD買っちゃおうかな。日本版で3000円ちょっと。香港版だとこっちでは英字字幕入りで安いけど、あるサイトでチェックしたら香港版のDVDは本編107分ってなってたよ、、?日本版は137分なんだけど・・・

Red Cliffは来週までやってるだろうか? アジア諸国と違ってこっちでは言われていたとおり、1本2時間半に圧縮しての公開だ。どんなもんかと思ってレビューをチェックしてみるとこれがかなり良い。どこもほとんどが星4つ。ややこしい歴史的筋書きよりも、少数が大軍に立ち向かう頭脳戦、そしてジョン・ウー監督得意のスペクタクルな戦闘シーンをメインにしてうまくまとめてあるようだ。金城さんとトニーさんの演技も高く評価されてる。来週までやってたら行ってこよう。

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apocalypto-1   apoclpto-2

10日程前、寝酒のワインをグラスに注いで、ワインを飲む間のつもりでテレビをつけた。画面に出てきたのはジャングルの中、一人の男が走っている。いわゆる原住民という感じで、腰巻き以外は裸、何故か身体を青く塗っている。その男は明らかに逃げている。そして森の中で彼を追いかけている7−8人の部族の首領一味といった感じの男達。逃げている男が身一つで必死なのに対し、こちらの男達は耳飾りや入れ墨模様が身分ありげで、槍やナイフを携えて逃げる男を追っている

男はひたすら走る。走って走って木に登り、薮を飛び越え、怪我した脇腹を押さえながらとにかく逃げ続けている。その様子に目が釘付けになってしまって、「何だ、、これは・・・?」と思いながら観てしまった。台詞は殆ど無い。たまに追っている男達が話す言葉は原住民語で、英語字幕がでる。(後でマヤ語と判明)訳が分からないまま逃げる男から目が離せなくなってしまった

男の表情から次々とわき出す、焦り、決意、集中、危機感、披露、苦痛、必死、怒り・・・すれすれに飛んでくる槍、突然出くわして襲ってくる黒豹、しなやかな身体が軽々とジャングルを駆け抜ける疾走感。台詞が無くても、いや、無いからこそフレームの中の男の表情がよくわかる。しばらく見入ってしまって気が付くともう1時になってしまっていた。仕事があるので最期まで観るのはあきらめて番組をチェックすると、「Mel Gibson' s Apocalypto」とあった

そういえば、この映画のタイトルはしばらく前に聞いた事がある。アポカリプト。メル・ギブソンの映画なのか、、、という事が解ったので、さっそくDVDオンラインレンタルにリストアップしておいた。そして届いたDVDでやっと全編観る事ができた

アフリカ原住民かと思ったのは、マヤだった。映画は南米の奥地から始まる。ジャングルの中で男達は狩りをし、女達は子供を育て、部落全部が一つの家族のようになって生きている。その村が突然襲われ、多くの部落民が殺され、捕えられた者達はマヤ文明真っ盛りの都に連れて行かれる。そこでは金持ちが華やかに暮らし、奴隷達が石工となって働かされている。都では最近の凶作を神の怒りのためと判断し、密林の奥地から捕えてきた部落民達を生け贄にする儀式が行われている

生け贄儀式の最中に 日食が起こり、人々が混乱する中、再び現れた太陽を利用して「神の怒りは解けた」と仰々しく宣言する司祭。生け贄にされるはずの男達は残酷なサバイバルゲームに放り込まれる。この生き残ってはいけないゲームに生き残ったジャガー・パウ(逃げていた男)が逃げる所から私はこの前観たのだった

この映画はメル・ギブソンのこれまでの映画の中で一番良い。カメラワークがとにかく美しい。森の中でのシーンは色合いや光と影の具合がすごく良い効果を出している。走っているだけの中で、スピード、スローモーション、息づかい等躍動感ああふれるカメラワークだ。そしてなんといってもジャガー・パウ役のRudy Youngblood. 彼の表情、そして身体の動きが本当にとても奇麗だ。素人とはとても思えない。

この映画の役者達はほとんどが演技者としては素人だそうだ。実際名の知れた人はいない。ルディーはダンサー/アーティストという事で、今回メルが主役に抜擢したそうだけれど、表情と身体を使っての表現力が素晴らしい。ダンサーの持つ表現力というのはまた役者とはちょっと違ったものがあって、体全体から溢れるオーラの用な物がある。しなやかな身体で、たたずまいも走る姿も観ていて美しい。アメリカ原住民の地を引くという彼は、顔立ちも奇麗で、大きな目が無数の台詞を語っている。安堵から一転して焦り、驚愕から恐怖へ、苦痛と疲労、そして怒り、何よりもDeterminationFocus。そして透明感を失わない。観ていて全く飽きない。彼だけを2時間見続けていられる。

マヤ文明がどうのという映画ではない。たしかに都の場面では当時の文明下での生活のようなものが垣間見られるけれど、この映画の持つ魅力はもっと別の所にある。前半での密林での暮らしは、とても自然に人間が狩りをし、火を炊き、歌い踊る。男は狩りをして獲物を捕り、父から息子へと知恵と技が受け継がれていく。女は子供を産み、育て、守っていく。そんな暮らしの原点が突然残酷に破壊されて行く現実・・・この村を襲うシーンや都での生け贄のシーンはかなり生々しく残酷で、このおかげで世界各国でR15からR18指定を受けてしまったそうだ

残酷で血みどろといえば、メル・ギブソンのThe Passion of the Christのほうが凄かった・・・なんでここまで、、?」と思うくらい、キリストを血だらけのボロボロに見せていたけれど、今回のApocalyptoは、私は丁度良く収まってると思った。残酷な現実を直視できるギリギリのところ。これでもダメな人も多いかもしれないけれど、私はどんな残虐なシーンでも直視できる人間なので、これくらいは平気だ。

ここは父が狩りをした森、今度は自分が息子と一緒に、そして自分亡き後は息子がその息子と一緒に狩りをする森。」滝の下で誇り高く立ち上がって叫ぶジャガー・パウの、たった今大地から生まれたような透明感は素晴らしい。彼が笑顔を見せるのは、前半の村のシーンで妻と息子とのほんのちょっとシーンでだけだ。まだ若い。奥さん役の女の子は10代にさえ見える。(撮影時は20歳とか)この女の子もダンサーだそうだけれど、子を守る母親の顔を見せる。母としての強さ

久しぶりに目を奪われる映画を観た。見せたいものが伝わってくる。ちょっとの空気の動きや風の音が観ていて伝わってくるのだ。メル・ギブソンもこんな映画を撮る監督になったのか・・・ それぞれのキャラクターにちゃんと意味があって、皆さん映画は初めてっぽい人達ばかりなのに、ちゃんと個々のキャラクターが生きている。これって、役者なのか、監督なのか、カメラなのか・・・? メイキングの様子が収録されていて、マヤ側の追手を演じた役者が、「演技する必要はなかった。メイクを施し衣装をつけたら、歩き方からにらみ方までこの男になっていた」と語っていた。

役者に演技力がないというのなら、どうしてこんなにも表現豊な映画になるのか・・・ホントに映画って、見事に嘘がつけるんだよね。でもそれが素晴らしい。 舞台では出せない映画の魅力だ。こんなに語りかけてくる映画は久しぶりだった。表現っていうのは、いろんな方法があるのだ





前作の「Casino Royale」が007シリーズ中ぶっちぎりで最高の興業成績になったダニエル・クレイグ(Daniel Craig)のジェイムス・ボンド。第二弾のQuantum Of Solaceを観て来た。私は元々007シリーズの特にファンという訳じゃなく、正直今まで一度も映画館で007を観た事は無い。私はどうもSFものとか、アクション/娯楽ものはお金を出してまで観たいとはあまり思わないもので・・・

でも昔からボンドシリーズはしょっちゅうTV放映されているので、かなりの作品を一度は観ている。個人的には初代ショーン・コネリーのボンドが結構好きだ。ロジャー・ムーア以降はおそらく時代のせいもあったのだろうけど、やたらと色男なハンサムで、女の扱いが巧くてあれこれ奇抜な武器を操るスマートなボンドが続くティモシー・ドルトンピアース・ブロズナンもそうだった。私としては特にどうってわけじゃなかった007なのだけれど、Casino Royaleを観たうちの彼が、「今度のボンドは良い!今までで一番良い!」とあまり言うので、DVDを借りて一緒にCasino Royale を観た。確かにこれはすごく面白いと思ったら、世界中で大ヒットになった

007シリーズは数多いけれど、ストーリー的には、フレミングの原作に近づけようとした作品と、思いっきりエンターテイメントに突っ走って、「ありえねえ〜〜!」路線でヒットしたものに分かれる。興行的には後者の作品群のほうが成功している。だから一時の低迷期から好調な盛り返しを見せていたブロズナンのボンドを打ち切って、プロデューサーが新しいボンドを発表した時はブーイングの風が巻き起こった。

Daniel Craigが6代目James Bondにキャスティングされた時、かなり意地悪なコメントが飛び交った。背が低すぎる、ブロンドのボンドなんてあり得ない、顔が醜い!?等々・・・さらには、指輪物語に出てくるゴラムと、ロシアのプーチン大統領の「そっくりさん」として写真を並べられた事も。全く無名という程でもないけれど、比較的地味な俳優生活を送っていたダニエル・クレイグにとってはかなり傷ついたんじゃないだろうか・・・

ところがフタを開けると、Casino royaleは大絶賛を受ける。まず作品のストーリーが原点回帰という事で、フレミングの第一作目を元にしているという点。突拍子もない武器やレースクイーンのような女を侍らせるという事もなく、人間ボンドとストーリーを大切に創った作品だ。そして、ダニエルはあっと言う間にJames Bondとして受け入れられていく。ポスターやピンナップにふさわしいハンサムな顔立ちではないけれど、ダニエルのボンドは深いオトコの魅力がある。

チャーミングなマダムキラーというわけでもないし、見てドキドキするようなタイプでもないけれど、何か拒めない色気があって、それがすごくひきつけるものを持ってるのだ。深いブルーの目は、信頼して間違いないと思わせるような、広い包容力をたたえてる。そしてこのボンドはいつも傷だらけだ。肌も汚れ、いつもどこかに血や傷をつけている。スマートにドレスアップしていても、「戦士」の影を持っている。この「傷だらけの戦士」の雰囲気がまたオトコの渋ーい魅力。さらに今回は命を投げ出して自分を愛してくれた女を失った事で心も傷ついているボンドなのだ・・・ ラフな格好の時は余計に小柄に見えて、またガラッと印象が変わる。

CGなんて無かった頃のアクション/娯楽映画としては、派手で非現実的な物に、夢を見られるという楽しみがあった。でも21世紀の今では、派手なアクションやCGは、逆により自然に見えないとおかしいと感じるようになり、非現実的な世界のオトコより、もっと人間らしいジェームス・ボンドが求められたという事か・・・?

日本での公開は来年1月とか。邦題は「慰めの報酬」か・・・成る程。内容はあまりネタばれしないようにしておきますが、時間があったら観る前に前作のCasino Royale を観ておくとすんなり入れるはず。

新作のQuantum Of Solaceでも、ダニエルのボンドはクールだ。ボンドガールとして出てくる女性達も派手では決して無く、イノセントな面影を残して自然な感じだ。ストーリーは前作のCasino Royaleから直接続いていて、冒頭の壮絶なカーチェイスは前作のラストシーンから1時間後という設定。今回はアクションがたっぷりで、カーチェイスあり、空中戦あり、地上戦あり、爆発ありと盛り沢山だ。敵役のドミニク・グリーンを演じるフランス人俳優のMathieu Amalricは、「潜水服は蝶の夢を見る」の人だ。大きすぎる程の目が印象的だが、彼のフランス訛りの英語はどうしてもチャーミングに聞こえてしまって、悪役として憎みきれない所が良い

うちの彼いわく、ダニエル・クレイグはゲイの男性の間で大人気なのだそうだ。なる程、彼の持つsexyな匂いというのはゲイの男性を刺激するタイプのものなのか・・・ どっちかっていうと、低いところからじわじわと昇ってくる感じですものね。ちなみに私は筋肉質でマッチョな男は好きじゃない。でもゴラムやプーチンに似た、背も低めの筋肉隆々のクレイグ・ボンドがだんだんSexyに見えてくるのは何故・・・・
男の色気って底が深いわ・・・・


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もうず〜〜っと「あれは何だったのだろう?」と思っていた映画があった。それを観たのはまだ中学生だったと思う、、とにかく夜中にテレビで放映されていた。家族はもう寝ていて夜更かし屋の私一人で観ていた。

3部作になっていて、覚えているのが、第一話=ジェーン・フォンダと馬、第二話=アラン・ドロンのドッペルゲンガーの二役、そして3話=少女と風船、ラストでころがる男の首・・・・今ではストーリーは覚えていないのに、この3話目がとにかくキョーレツに怖かったという記憶がインプットされて、思い出すだけでぞっとした。「世にも奇妙な物語」みたいなタイトルだったと思ったけれどはっきりしなくて、たまにホラー映画とかの話題になると「あれは何だったんだろう?」と思い出しては3話のラストがよみがえってきてまたゾゾ〜っとしていた。

最近になってこの映画の日本語タイトルは「世にも怪奇な物語」だったと知る。エドガー・アラン・ポーの原作をオムニバスで3人のヨーロッパの監督が撮ったもの。1話の監督はロジェ・ヴァディム、2話がルイ・マル、そして3話がフェデリコ・フェリーニという顔ぶれ。3話のあの男テレンス・スタンプ氏だった事も判明そうか〜、、そうだったのか!とまさに目から鱗状態で、早速オンラインDVDレンタルで借りて観た。ちなみにオリジナル言語はすべてフランス語、英語でのタイトルはSpirits of the Deadになっている。

3部作なのだけれど、1〜2〜3の順にクオリティーが高くなっていく。中でもやっぱり3話が別格だ。1作目はジェーン・フォンダが高慢で我が儘な貴族の娘をそれでも可愛く演じているけれど、それ以外には演技的に特筆する事はない。ピーターフォンダとの姉弟共演だったのだけれど、彼の演じる男爵がちょっとインパクトに欠ける。それでもちょっと怪奇なストーリーに、という動物の持つエロティシズムと乱れた貴族生活の空気がなんとかうまく融合してる。出来としてはイマイチだけど、最後の炎のシーンなんかは今だったらCGでもっとインパクトのあるものになったんだろう。

2話のルイ・マル監督の話は結構面白い。アラン・ドロンはとてもハンサムな俳優で、彼の目は優しい光と残酷な光の両方を見せる。この役では後者。特に後半にブリジット・バルドーが登場してからは、画面にぐっと力が増す。美しく、プライドが高く、強い女。そんな女をカードで一晩かけて敗者にして自分に屈服させる・・・ 男の持つサディスティックな欲望とブリジット・バルドーの涙がとてもエロティック。1話の馬と美女の関係もそうだけど、こういうエロスはヨーロッパ特有のものじゃないかな。SexyじゃなくてErotic 自分と同じ顔、同じ名前のドッペルゲンガーに人生の要所要所で邪魔をされ、自分の分身を殺して破滅してしまう・・・ストーリーも摩訶不思議の世界だ。

3話はずば抜けて秀作。これだけはポーの原作から大きくはみだして、フェリーニ監督の世界になっている。まず私がす〜っと「怖い」と思っていた記憶とはちょっと違っている。あんなに強烈だった白い鞠(風船じゃなかった)の少女は合計3回しか出て来ない。でもその3つの顔がホントに怖い! テレンス・スタンプのToby Dammitは凄く良い! 一昔前は人気者だったけど今はアル中で仕事を干され気味のイギリス人俳優の役。 ちなみにこの名前が笑える・・・「Damm it」は英語で「コンチクショウ!」や「くそったれ!」といった吐き捨ての言葉
青白い顔が透き通ってる、、目が死んでいる、、乾いた金髪の髪からアルコールと薬で腐ったような匂いがしてきそうだ。 若い頃のテレンス・スタンプは黒髪と思ってたので、この蝋人形のようは彼はそれだけで不気味。

最初の空港のあたりからして、なんだか異次元な空気だ。何かがずれている。そしてこの話は全体の空気に香りがある。ざわついた空港の空気、テレビスタジオでのかわいた埃くささ、パーティーでの、人々の化粧やヘアスプレーの匂い、、、さらにニーノ・ロータの音楽も、現実かどうかわからないような不思議な世界にコロコロと響く。終盤からフェラーリでイタリアの路地をとばすと、そこここにレストランの前でコックの人形が手招いている。 それがそのままTobyを死へ導いていく・・・台詞のかわりに響くフェラーリのエンジンの音、ドライバー目線での路地の疾走は、光と闇とぶつかる寸前の壁の連続。

3話で唯一のエロスはフェラーリのハンドルをなでさするシーンのテレンス。数秒のカットでの恍惚感とその直後のあっという間の切り替えが監督の巧い所。それにしても、やっぱり例の少女の撮り方が巧いよ! フレームの端に斜めからの角度で、ばらつく髪の間から鋭く死の光を放つ目、、、白いボールを掴む子供の手には真っ赤なマニキュア、、たったこれだけのカットで、私は今までの人生の大半の時間を「怖い!」と思い続けてきたのだ。ラストの首を拾い上げるシーンは「サロメ」を連想させる、、、この男の首が欲しかった、、、??

言語がすべてフランス語だけど、1話のジェーン・フォンダは実際にフランス語の台詞をしゃべってるように思える(口の動きが)。そのまま本人の声か吹き替えかは解らないけど。ほとんどナレーションで、長い台詞無いし・・・ 3話は完全に吹き替えになっててちょっと残念。でも途中、バーティーのスピーチシーンでトビーがシェイクスピアの台詞を一部披露する部分は、テレンスが実際にやってるんじゃないかな?テレンス・スタンプのシェイクスピア台詞が聞ける唯一のシーン。この人はとても良い声をしてるので、舞台でも良いだろうななんて昔思ったけれど、全くやらないね。

う〜ん、でもやっと正体がわかってすっきりしたこれだったのね〜! ちなみに3話のToby DammitだけYoutubeに上がってた。英語字幕ですがこちらから。65年の映画だけど、古さはあまり感じない。一度テレビでみただけの映画をずっとずっと覚えていたという事は、やっぱりそれなりのものがあったって事なのかな。フェリーニのToby Dammitは「覚えてないのに強烈に覚えてた」っていうのがすごいよね。


前回映画の話をしたところで思ったんだけど、よくDirector's cutとか完全版といった名目で編集の違うバージョンが公開される映画がよくある。 前に書いたけど、映画と舞台が決定的に違うのは、映画は完成品として保存されるということだ。ところが映画がDVDで発売されるようになって、やたらと特典という形で違うヴァージョンが入っていたりする事が多くなった。

映画は製作に関わる人や機関が多いからね、興行を見越して上映時間をけずったり、スポンサーの意向があったり、監督一人の意見じゃ通らない事も多いんだろうね。そういえば、ウォン・カーウァイ監督の「2046」は、出来上がったばかりでプレミア公開したカンヌ映画祭のバージョンと、その後編集し直して正式に劇場公開されたものでは全く違っていたというのは有名な話。

この別ヴァージョンが成功しているものもあれば、余計な事を・・・という作品もある。私の記憶で最初にDirector's Cutというのが物議をかもしたのはリドリー・スコット監督の「ブレードランナー」だった。 公開時には興行は振るわなかったものの、通の間でカルト的な人気が出たこの映画のファンは多いはず。SF/未来ものには本来あまり興味がない私もこの映画は好きだ!これのルトガー・ハウアーは観たら忘れられない

Blade runnerには後にDirector's cut, さらにFinal cutとあり、観た人に賛否の議論をかもし出した。ただ未公開シーンを足して長くなったというだけでなく、人間VSレプリカント(アンドロイド)というこの映画の根本を揺るがす解釈が出てしまったからだ。 後に監督のリドリーと主演のハリソン・フォードが各々のインタビューで異なる主張をしてますます議論を醸し出した。私的には、やっぱりデッカードは人間じゃないと・・・?と思うんだけど、、、

前回ちょっと触れた「Betty Blue」のDirector's cutはオリジナルよりも1時間も長い。オリジナルがウワア〜〜!と突っ走って、Bettyの激情が破滅していくのをゾルグがそばで見届けているという感じだったのが、監督のヴァージョンではさらに1時間かけて二人のストーリーが解り易くなっている。特にオリジナルではベティーに押され気味のゾルグが、長い話の中で男の側の激しさとストーリーを見せている。  初めに受けた激情の嵐のような胸の痛みがたまらない・・・という人はオリジナルでも充分好きだと思うし、オリジナルで「なんかちょっとよく解らないし、エッチばっかりでついていけない」と思った人にはDirector's cutで「なるほど、そういう話か」ってなるんじゃないかな。

私も、オリジナルで何でベティーがあんなに子供の事に執着するのか??と思ったけど、長いバージョンでは解り易くなっていた。ちなみに私のゲイの男性の友人は、この映画を観て「ヒステリーな女はホントに面倒だよね」と言ってたっけ・・・!「あんたには、男と女の激情はわかんなくていいよ」と思ったのでした、、、

バトル・ロワイアル2」は初めからリベンジ版で公開すればよかったのにね。あれだけの人数が出てちゃスポットがどこにも当たらない・・・深作監督が亡くなってしまって、健太監督には本当に気の毒だったけど、監督の迷いがもろに出てしまってる。 カットを撮り過ぎてしまって決められない・・・というのが映画にでてしまっていた。 だったら最初から長いのを覚悟で解り易くしたほうがよかったと思う。切り捨ててすっきり仕上げられないなら、長くして説明するしかない、という見本のような映画だ。

「バトル・ロワイアル2」がもうひとつ損をしてしまった理由は、この映画はこちらでは18指定になっている。実際の客層も20代後半から30代の男性が9割方を占めていた。これは日本とは決定的に違う。そしてその客層に見せるには、出来上がった映画があまりにも子供っぽ過ぎたと思う。子供達の戦いを通して大人達に訴えるものがあった1作目との大きな違いだ。

最近イギリスで話題になったのが「Caligula=カリギュラ」の完全版だ。80年代初めに公開されたこの映画、実は主役に「時計じかけのオレンジ」のマルコム・マクドウェル、その妻に若きヘレン・ミラン(去年、映画「エリザベス」でオスカーを受賞)父帝にピーター・オトウール、その忠実な友にサー・ジョン・ギールグッドという強力な出演者達だ。ところが歴史大作映画にするには資金調達に苦しみ、とうとうPenthouseが出資する形になった。出来上がったのは、中途半端な歴史ものにハードコアポルノがくっついたなんともいえない代物。

この映画はポルノ雑誌「ペントハウス」のボブ・グッチョーネがプロデューサーになった事から、監督、製作同士で食い違い、出演した役者達は自分達の出番でない所で超ハードコアなポルノシーンが撮影されていた事も知らなかったという。 過去28年の間にいくつものカットがあちこちであり、短い物は85分、長いものが158分というバラエティー。この完全ノーカット版というのがとうとうイギリスでこの夏にDVD発売された。Imperial EditionというこのセットはDVD3枚で3ヴァージョンの映画本編と、カットされた未公開シーン等を集めたフィーチャーが入っている。

これはねえ〜・・・裏切りだよね。 主演のマルコムはこのカリギュラ役を一生懸命人として演じているのが解る。残虐な殺戮や欲望渦巻く宮廷内のエロティシズムとしての描写は許せるけれど、まさに内緒で撮って付けた意味のないハードコアシーンになんの意味があるんだろう・・・俳優達への裏切りだ 実際ドラマとしてちゃんと観ると、結構悪くない。カリギュラが少しずつ欲と殺戮に目覚めて行く過程、妻をもらいながらもずっと愛し続け、信頼し続けた妹との純粋な恋愛、妹役も妻もちゃんと役を演じている。グッチョーネ氏がもう少しこの映画を愛してくれていたならもっと良いものに仕上がったんじゃないのかな。

マルコム・マクドウェルの代表作「時計仕掛けのオレンジ」は初上映直後に監督のキューブリック自身によって本国イギリスでの上映が禁じられ、監督が亡くなった1999年までイギリス国内で上映される事はなかった。さらにこの「カリギュラ」もポルノシーンのせいで長く完全版が出なかった。俳優にとっては不運としか言いようがないが、マルコム自身は「このカリギュラ役は誇りを持って演じた」と語っている。監督が「これはポルノじゃない」というなら、いいでしょう、芸術作品ってことでちゃんと観てみましょうよ・・・・・


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