イギリスの体操界が荒れている。最近になってニュースに取り上げられた「いじめ・しごき」スキャンダルだ。チームGBとして国を代表する選手達からも次々に声が上がっている。 まだ10代の選手達に過酷なトレーニングを強いるのはトップアスリート養成にはもちろん必要な事ではあるけれど、度の過ぎたしごきや体罰といったものは選手達の身体を壊し、精神を壊し、その後の人生を壊す。

日本だって昔はスポーツといえば「スパルタ式」が定番で、それこそ「血と汗と涙のど根性」というものが お決まりのようだった。けれど、それを必要なトレーニングの一環として自分の中で納得させていける範囲を超えてしまうと「虐待」になる。

オリンピックでメダルを獲った チームGBの女子体操選手は、骨折しているにもかかわらず試合に出させられ、激痛に倒れそうになりながら演技しなければならなかったと涙ながらに語る。体操クラブでまだ10歳そこそこの子供を、失敗するたびに縛り付けて食事を与えず放置した、というような話は本当に気分が悪くなる。スポ根じゃない、完全に虐待だ。

体操選手やフィギュアスケートの選手達は、まだ10代前半の身体の変化が始まる時期から、徹底した体重管理を強いられる。 ザギトワ 選手も体重は1日に何度も計り、100g単位で管理していると話したことがある。体罰やしごきは別としても、薬を使って成長を抑制するのは国によっては当然のように行われているはずだ。

初めてISUが作ったSkating Awardsなるもので、ベストコーチにロシアのエテリ•トトベリーゼ氏が選ばれたけれど、私は疑問だ。確かに生産工場のように次々とメダリストを育成してきた実績はある。でもそれが本当にアスリート達を結果を求めるためだけでなく育ててきたのだろうか、、、?わずか18歳で摂食障害で競技活動を引退したリプニツカヤ、オリンピック後に「あなたのキャリアはもう終わり」と言われてアメリカのクラブに移籍した時には身体を健康に戻すことから始めたというメドヴェーデワ、 去年の世界選手権でシニア女子で初めて4回転を成功させてから、次のシーズンは怪我の為全く見なかったツルシンバエワ、みんなエテリコーチの門下生だ。私は次はアンナ•シェルバコワ選手が心配だ。あの身体はどう見ても接触障害みたいで、滑っていてもちっとも綺麗じゃない。疲労骨折だってしていそうだし、、、

最近になってエテリチームから何人もの選手が移籍した。筆頭は4回転ジャンパーのトルソワ選手。4回転を跳ぶだけでは同門のライバル達になかなか勝てず、これからの身体の変化でジャンプが跳べなくなったら、、と考えたら、場所を変えて違う指導を仰ぎたくなるのも納得だ。 ロシアはいまだに「旧ソ連」を引きずっているから、表に出なくてもきっとメダリスト製造のためにはいろんな事が行われていると思う。ドーピングなんてまだ解りやすいかもしれない。

まあ、個人を批判するつもりで書いているのではないので一般論に戻ると、スポーツで何を育てるのか、という事だ。結果を出すトップ選手に、何が必要なのか。体操やフィギュアのように選手生命が短いスポーツは、引退後の人生の方が遥かに長い。その後の長い人生を、スポーツで世界のトップになった身として何を伝えて、残して生きていくのか。数年後に、涙ながらに虐待されていた事実を訴える姿はあまりにも悲しい。「大好きだった体操が大きな心の傷になっている」なんて、メダリストの口から出るなんて、、、、

体操界でのスキャンダルって言えば、アメリカでは性的虐待が問題になった。これもひどい話で、フィギュアでもアイスダンスの選手がゲスな写真を若い女子選手に送りつけたとか、あったよね。 もちろんそんなことはごく一部の話だとは思うけれど、コーチが選手を、、というのは本当に許されるべきでない裏切りだ。本人だけではない、まだ若い選手達の家族はコーチ陣を信頼して子供達を預けていたはず。選手の成績が上がるのを隠蓑にするなんて本当に許せない。

受け手のメンタルにもよる。これはセクハラと同じで、された方が「被害を受けた」と自覚するかどうか、というのが境界線だ。昔の日本やソ連では、「それくらいはよくあること」とされていたので、被害を訴えることはされなかったということだ。でもそれはもう通用しなくなっている。親でさえ子供をしつけるために叩いたら暴力になるという今の世の中に「そこまで、、、??」と疑問に思うこともあるけれど、要は、された側の受け止め方をきちんと理解しているかどうか、なのだ。された側がへっちゃらなら「被害」にはならない。でもそれが心の傷になっているというのは明らかに間違いだ。 

チームGBのコーチがクビになったけれど、これで済む問題なのだろうか、、、まだ大人になっていないのに世界のトップクラスとして活躍している選手達が、本当に幸せなスポーツ人生を送る事ができるように 心から願ってやまない、、、、