今回の選挙こそお国の一大事を決める事になる 、ということで行われた総選挙。最後にイギリスで12月に総選挙が行われたのは1923年の事で、通常イギリスの総選挙は5月か6月だ。このクリスマスの忙しい時期に投票所の確保や用紙の配布やらも大変だし、投票に行く方も、天気は悪いし暗いし、、という事で気分がふさぐ。仕事の前や後に投票するとして、明るい日の光の中と真っ暗でどんより天気とでは気分が違う、、、、

慌ただしい5週間のキャンペーンでは各党首達が顔を揃えてお互いの悪口を言い合うだけで、本気で「よし!その意見に乗った!」と言えるようなものはなく、、、Brexitはどうなる?という最大の焦点も今更取りやめる方向に行くわけもなく、それを主張した党もあったが説得力には程遠い意見だった。

まあテレビでの連日の討論番組はどれも最後には醜い罵り合いになってしまって、司会者がなんとか収集つけて終わる、、、まあ、政治家の公約はけむに巻いた嘘だからね、、、、もちろん全くのデタラメだとは言わないし、もちろんそれなりに皆さん夜寝ないで考えてるのはわかりますよ。でもやっぱり選挙討論を聞いてると、「本音は言いません大会」なのだ。で、そんな嘘の上手な人たちの、誰に投票しましょうかね、という事になる。

蓋を開けてみれば保守党=Toryの圧勝で、サッチャーさん以来の地滑り勝利だった。ボリス(保守党党首で現首相のジョンソン氏)ははっきりと「Brexitを完結させる」と声高々に叫んでいたから、これで1月末にイギリスがEUからいよいよ抜けることになるのは間違いない。圧倒的な数議席を確保した保守党が党内分裂さえなければこれで決まる。

国民投票からもう3年が経ってしまっている。みんな「もういい加減に早く決着つけてくれ」という気持ちなのだ。前首相のメイさんが取り付けてきた離脱合意案が3度も議員投票で否決されて、らちが開かずに総選挙に踏み切ったボリス氏の賭けは見事に当たった。(選挙前の議席数はもっと分かれていたから、議会で過半数をとるのが難しかった)今週末までに新しいEUとの合意案が多数決で可決されれば、来月末の離脱に向けて一直線というわけだ。

それにしてもびっくりするくらいの圧勝だった。負けた労働党の党首、コービン氏は一晩で一気に老け込んで見える。(元々じじいっぽい人なのだが)まあ、60議席も失ったのだから無理もない。第3党だった自由民主党はこの夏にまだ39歳の女性党首に変わったばかりだったのだが、なんと彼女自身が落選してしまうという負けっぷり。総選挙になった時点では、「これで私にもこの国の首相になれる可能性があるわけです」なんて言っていたので総スカンを喰らったのかもしれない。首相どころか議員でさえ無くなってしまった。

そして大勝利したボリス•ジョンソン氏。この人には不思議なカリスマがあるんだよね。以前はロンドン市長として数々の話題を提供してくれたボリス。ロンドンオリンピックのおかげで、クシャクシャのブロンドにひょうきんなぽっちゃり体型で、吐き出すような独特の喋りをする彼は広く知られるようになった。中にはアメリカのトランプ氏と並べる人もいるけれど、彼がもうずっと英国首相の座を狙っていたのはみんな知っている。

「政治家なんてみんなうそつきだよね」とはよく言われるけれど、じゃあ、どの嘘つきさんが勝つかというと、私はやっぱりカリスマと愛嬌じゃないかと思っている。それに声が大きければ決まり。ボリス•ジョンソン氏はそんな人だ。背比べで勝つのは「カリスマと愛嬌のある、声の大きな野心家」だ。今回の勝利には、賛否があろうと、彼は「1月末にBrexit!」と叫び続けていたことが大きいかも。労働党はBrexitとは言ってもその先のこれといった青写真があるとはとても思えず、自由民主党は「ブレグジット反対」を掲げていたけれどこれも全く現実を見ていないとしか思えなかった。

ただ一つ、スコットランドが完全に離れてしまった。新しい勢力図はイングランドとスコットランドの境界線から下はほぼ保守党の青、でもスコットランドはごく一部を除いて「スコットランド国民党=SNP」の黄色で塗り潰された。SNPの女性党首、スタージェン氏は以前にスコットランドで「英国から独立するか」という国民投票を行い、これは僅差で反対という事になったが、スコットランドは依然EUに残りたがっているので、また英国からの独立を目指すだろう。でもスコットランドが連合王国から抜けるのは、これまた大問題になってしまうので、今の時点でもう一度国民投票を行うのは無理だろうね。

来年になって1月末にはどうなるのか、、、ボリス率いる新内閣に明確な青写真があるのなら良いけれど、いまだに反対派も盛にデモをしたりしてるので、人騒動ありそうだわ、、、、