裏技のお試しで日本のテレビが観られるというのに登録してみた。スルスルと観られる。リアルタイムの番組はもちろん、2週間前まで遡って観る事ができるので、結構な量だ。地上波だけでなく、BSやCSの一部も入っているので、WOWOWのライヴとか衛星中継とかスポーツチャンネルとかも
探しているときりがない。これはもう1日が50時間あっても足りないかもしれない、、、、!!

日テレBSで、「氷艶2019-月光りの如く」をやっていた。前回の歌舞伎から平安絵巻になった「氷艶」高橋大輔さんが光源氏を演じるというのはずっと前から宣伝されていたので知っていた。しかも演出が宮本亜門さん、出演者達を観ても、これはアイスショーではなく、「氷上舞台劇」になるだろうな、と期待していた。ちなみに私は高校時代に選択授業で源氏物語を原文で読みたかったのだが、人数が少なくてクラスが無くなり、円地文子さんの訳で読んだ。でも宇治十帖がどうしても入っていけなくて、ちゃんと通して読んだのは源氏がいなくなる「雲隠れ」までだけど。

実際にこれは「源氏物語」とは全く別物のストーリーだ。いや、人物設定や名前なんかはそのままなのだけれど、「光源氏」の話ではあるけれど源氏物語ではない。だからタイトルにも入っていないのだろう。
なんというか、舞台演劇とスケートと、ミュージカルとエンターテイメントが全て合わさって確かに見応えは十分な公演になっている。で、ストーリーがちょっと宝塚、、、まあ重くないという点ではこの本もありなのかな。

亜門さんは少し前まで入院していたのを知っていたから、大丈夫なのかしら、、と思ったけれど、本当に昔からとてもエネルギー溢れる人だから、ニュースで観た稽古風景を見て安心した。スケーター、役者、スタッフとこれだけ多方面からの仕事をまとめて演出するのは大変だっただろうけれど、よく出来上がったと驚いた。

どうしても芝居を観る目線で観てしまうので、このプロジェクトがいかに大掛かりなものだったかは想像がつく。出演者達が一丸となってお互いの得意分野を分かち合っているのがよくわかる。役者達はスケートを練習し、スケーター達は役者から芝居の台詞を学び、平原綾香さんの歌を聞いて学び、柚希礼音さんの宝塚式の大舞台での堂々たる振る舞いを目の当たりにし、ノイズのように脇を固める人達が支えている。場面場面での民衆達の「ノイズ」が蜷川さんの舞台を思い出させた。蜷川さんは脇を固める役者達でノイズを造るのが本当に巧かった。今回の亜門さんの演出でもそれを感じた。

プロジェクターを使ったセットに代わる背景創りは見事だ。後ろ正面とリンク全部が大きな舞台になって、色も鮮やかに空間を邪魔せずに場面を創っている。 歌詠みのシーンでステファンと大輔さんのスケートに合わせてリンク上に筆書きの歌が描かれていく発想には唸ってしまった。

それにしても、みなさん本当に頑張ったのが見える。大輔さんは稽古の時にはセリフをいうのも一苦労だったようなのに、やっぱり役に入り込むと表現したいものが出てくるんだろうな。台詞や歌の技術はもちろん役者ではないのだから仕方ないとしても、短期間でここまで持ってきただけでも凄い。朱雀帝のステファンや弘徽殿の荒川さん、紫の上のリプニツカヤ嬢も朧月夜の鈴木明子さんも、セリフはなくても表情や体の動きで十分に観客に伝わる表現力を持っているのは流石だ。織田さんの陰陽師がハマりすぎてて怖い、、、!!平原さんはシンガーだからお芝居は、、?と思っていたら、なかなかしっかりとした芝居をしていて高橋さんを引っ張っている。滑舌と声がいいな〜と思ったら、ナレーションの仕事も結構されているんだ、、、納得。みなさんの持つ別々のケミストリーががっちり合わさった感じだ。前回の歌舞伎バージョンよりずっとずっと良いね。

それにしても源氏物語の設定はなくてもよかったんじゃないのかい、、、?と突っ込みたくなるくらい源氏物語ではな〜〜い!!でも別物と納得して楽しめてしまう作品になっていたのは間違いない。 たったの3日間というのはこれだけのプロダクションを創る事を考えたら短すぎるね。でももうこのメンバーでの再演なんて無理だろうし、DVDにもならないだろうしね、残念だわ。まあ、DVDで見返すかどうかは別問題だけど、「観に行きたかったのに行かれなかった」という人たちにもっと観てもらえるといいね。

「氷上音楽劇」という呼び方、ぴったりだわ。それにしてもストーリーの「あるある」な感じがちょっと??だったけど、難しい事言わずにエンタメとして楽しむにはあれくらいでよかったのかも。 もちろんもっと突っ込んだ意見を言うこともできるけれど、私としてはこれで十分楽しめた。会場で観たらもっと大きな舞台として観られたんだろうな。スケートの持つスピード感はいろんな場面で通常のミュージカルなんかでは出せない躍動感がある。創る側は大変だろうけれど、もっと定着して行くと、引退後のスケーター達にも幅ができるんじゃないだろうか、よくあるアイスショーだけじゃなくて。

さーて、そうは行ってももう9月、スケートはぼちぼち競技シーズンが始まるね。まだ現役の高橋選手、今年はどんな 演技を見せてくれるのか、、、羽生君や昌磨君はもちろん、若手も競争率高いよね、島田高志郎君や山本草太君、友野一希君、、、ベテランの刑事くんも。どうなることやら、、、、女子はもっと凄い戦いになるしね、、、う〜ん、女子の方はわからないな、4回転少女達もこの一年で身体が変わって行くだろうしね。みんな怪我無く良い演技を見せて欲しいな。