久しぶりのミュージカル。なんだか最近はミュージカルよりももっぱら芝居の方が面白くて、なかなか「観たい!」と思う ミュージカルに出会わなくなっている。今だってもちろんミュージカルも好きなのだけれど、なかなか新作でピンとくるものが少ないのだ。大掛かりな(いわゆる観光客がお土産に観にくるタイプのもの)舞台は再演ものがほとんどで、しかも異常なほど値段が高い 最近観たのはミュージカルでも小劇場ものが多い。
で、行って来ました。The Wild Party
-Photo-Credit-Scott-Rylander


原作は1928年にJoseph Moncure Marchという人が書いた物語詩で、ポエムの形で書かれたのだが、あまりにも過激な内容で、発禁処分になってしまったそうだ。この作品が2000年に、ほぼ同じ時期にブロードウェイとオフ•ブロードウェイで2つのミュージカル作品になって上演されている。今回ロンドンで初演となったのは、ブロードウェイで公開されたMichael John LaChiusaのヴァージョン。
クイーニーは、ブロンドの踊り子で 、パートナーのバーズは同じヴォードビルショウに出演している芸人だが、少しヴァイオレントで危険なタイプの男。クイーニーとも時々激しく争う関係だが、クイーニーはおそらくこういう少し乱暴で危険な男が好きなのだ、、、ある日、二人はお互いの関係をリフレッシュするためにも、久しぶりにワイルドなパーティーを開くことにする。
少しさわりを、、、


 

パーティーのゲストが次々とやってくる。 レズのストリッパーと彼女の新しい恋人で重度のモルヒネ中毒のサリー、sexは誰でも何でもOKでお金持ちのジャッキー、オスカーとフィルは近親相関風な怪しい仲良しの兄弟。プロデューサーとしてアップタウンへ行こうとしているユダヤ系の二人組、黒人ボクサーと白人妻、その妹のナディーンはブロンドに憧れる16歳、、、、
ワイルドなパーティーが始まり、みんなで浴びるように飲み、踊り、コカインを吸いまくって大盛り上がりだ。そこへクイーニーの長年のライバルでもあり親友でもあるケイトがジゴロのブラックという男を連れてやってくる。

ゲストの一人一人を紹介する形で、役者たちが交互に歌い踊る。とにかくタイトル通りのワイルドなパティーだ。乱痴気騒ぎとはまさにこのこと!役者たちは所狭しと歌い踊り、そのパワーがとにかく凄い
このThe Other Palaceという劇場は以前はSt.James Theatreと呼ばれていたのだが、最近ロイド•ウェバー氏が買い取り、創造的なミュージカルの発信地になるような場所にしたい、と再オープンした。このThe Wild Partyは新しくなったThe Other Palaceのこけら落とし公演となる。舞台は半プロセニアム型(=舞台から客席が階段状にせり上がっていく形)で、段差が高めなので、どこに座っても前の人の頭で舞台が遮られることがない。これは本当に見やすくてありがたい。客席数は300ちょっとで、舞台と客席が一体感を感じられる空間だ。役者たちのエネルギーが劇場全体の空気になって客席を包む。良い劇場だわ〜〜

主演のクイーニーを演じるフランセス•ルフェルを始め、役者たちの力量がめちゃくちゃ高い。どの役者も一流の演技者で、シンガーで、ダンサーだ。もともとブロードウェイ版を作った時に、最高の技量を持つ役者たちが集まる事を前提として企画したそうだ。

パーティーは派手に続く、、、、お酒とドラッグで日常の仮面が剥がれていくにつれ、あちらこちらで淫らな乱行が始まる。今欲しいものを目の前で捕まえて、誘い、奪い、ジンのお風呂にコカインを撒き散らし、ほとんどオージーパーティーだ。その結果、皆がパートナーと言い争いになり、嫉妬と激怒で怒鳴り合い・殴り合いになっていくのだ。最後にはsexだけでなく、本当にロマンチックな関係になりそうなクイーニーとブラックにキレたバーズがピストルを持ち出す••••

人間の仮面を引き剥がすような、スキャンダラスな話だ。パーティーに集まってきた、かなり変な人間達が、やがてお酒とドラッグで日常の関係とは全く違う関係に発展していってしまう。メチャクチャな乱痴気騒ぎのあとには、昨日とは違う現実が待っているような終わり方で、前半の汗が飛び散るようなパワーが、後半ではジワジワと心が寒くなるような怖い空気になっていく。人間って、、こんなに簡単に揺さぶられてしまうのか、、、??

パワフルで、セクシーで、スキャンダラスなミュージカル。上に貼ったビデオでも、雰囲気を感じていただけると思う。エネルギーをもらえる舞台は本当に良いね!それでいて人間の心の闇を少し覗いてきたような気分。スキャンダラスな舞台って、大好きだわ〜〜