やっと観て来た、シアターライブのアンコール上映、Les Liaisons Dangereuses(危険な関係)。 前回はリアルタイムのライヴ上映で楽しみにしてたのに、映画館の中継レシーバーの不具合でまともに観られず、返金してもらってトボトボ帰ってきたのだった、、、

4801

本当にね、革命数年前のフランスで皆が表紙を隠して読んでいたというのがよく解るわ〜〜
私がこの芝居を最初に観たのは86年の初演、ヴァルモンは先日亡くなったアラン・リックマン、 マルテュイユ夫人はリンゼイ・ダンカンというキャスティングだった。

何よりもこのクリストファー・ハンプトンの戯曲はその後に映画化されたヴァージョンがすごく良い。ジョン・マルコヴィッチとグレン・クロースのコンビは観ていてゾクゾクする程非情でセクシーで、貴族の恋愛ゲームのいやらしさ満開だった。同じ戯曲は世界中で翻訳されて、(日本でも上演されたはず)中には設定をもっと現代風したプロダクションもあったみたいだけれど、今回のDonmar Warehouseの芝居は本が書かれた18世紀の 貴族の館をセットにしていて、衣装といい、シャンデリアといい、館の小部屋での室内劇=Chamber Playのような空気を再現している

マルテュイユ夫人は男に恋をして甘える女ではない。男に恋をさせて自分にひざまずかせる事に喜びを見いだす女だ。そして聡明で、美しく、 セクシーで毒を持つ。同じように女を次々と落として恋愛ゲームを楽しむヴァルモンと、初めは同等のようでいて、やがてそれが崩れて行く様は、数年後に起こる貴族社会の崩壊を暗示するかのようだ

心をもてあそび、元彼への当てつけに純真な少女の純血を奪う。貞淑な妻の心を砕き、本心を押し隠して残酷な仕打ちをする、そして最期に滅びたのは男のほうだ。

Les-Liaisons-Dangereuses-3

マルテュイユ役のJanet McTeerはまさにはまり役。映画のグレン・クロースを超えられるか、、、?と密かに思っていたのだけれど、素晴らしかった。いや、美貌でいえばむしろグレンに勝っている、、?ヴァルモン役のDominic Westは以前に他の芝居で観たときにはあんまり、、、と思ったのだが、これまた凄く良くて、かつチャーミングだ。セシル役のMorfydd Clarkとテュルベル夫人のElain Cassidyのお二人は、修道院学校出の純情な15歳 / 信仰厚い貞淑な妻から、ヴァルモンの手に堕ちるや一転して、艶やかな、夜を待つ女のような顔になる変貌ぶりが目を見張る

Donmar Warehouseはその名のとおり、客席200に満たないスタジオ劇場だ。その空間の中で繰り広げられる恋愛・性愛ゲーム。やっぱり舞台で直接観たかったなあ、、、でも中継上映でも充分このプロダクションの魅力は味わえる。

好きなのよねえ〜〜この芝居!

もともとラクロの原作小説は「手紙の寄せ集め」という形式で描かれている。物語を綴るのではなく、登場人物達の間でやり取りされる手紙の内容によってストーリーが繋がっていく。私は初演を観た後に英語版で読み始めたけれど、あの当時はまだイギリスに来て1年目、ちょっと古めかしい言葉遣いだし、誰から誰への、いつの日付の手紙なのかを把握しながら読むのに結構 時間がかかってしまって、半分くらいで中断していた。そうしたら映画版ができて、なんだか「危険な関係」といえばハンプトン氏の戯曲、という意識になってしまった

ちゃんと本で読んでみようかな。だってこんなにセクシーで残酷な恋愛ゲームを 、人の手紙を盗み読む事で追っていくなんて、やっぱりゾクゾクしちゃうものがあるよね。マリー・アントワネットの図書室にもカバーを隠してあったというのは有名な話。堕落した貴族達の貞操観念がそのまま貴族の滅亡(革命)に繋がっていったのかも・・・・