パリでのテロ以来、週末のプレミアリーグ(フットボールリーグ)でも試合前にフランス国歌のラ・マルセイエーズを歌う事になって、なんだかいきなり耳にするようになった。イギリスのプレミアリーグで活躍する選手のうち、フランス国籍の選手は72人いる。テロの犠牲になった人達と標的になったフランスに追悼の意を表すると同時に、テロに屈しないという国境を超えた連帯精神(Solidarity)を示すのに、この国歌はかなり有効だといえる。

初めてこの歌詞の意味をちゃんと知ったときには、かなり野蛮なのでびっくりした。当時一緒に働いていたフランス人の同僚にきいたところ、今までに何度か歌詞を変えようという意見があったものの、まだ収集がつかないでいるのだそうだ。

それもそのはず、フランス革命の直後、革命軍とオーストリアが戦争になった際に、兵士達の士気を上げるべくできた「ライン軍の歌」として作られたものだからだ。フランス国外に逃亡した王室メンバーやまだ残っている王統派に便乗してオーストリアが攻めて来る、、、いうまでもなく、オーストリアは革命派から完全に悪者にされていた王妃マリーアントワネットの祖国だ。

武器を取れ、血祭りにしろ」等、本来なら国歌斉唱の場にふさわしくないような歌詞が並ぶ。なにせ古い時代のものだから、「ベルサイユのばら」にもオスカルの父のライバルとして出てくるブイエ将軍の名も5番の歌詞に登場する、、、、

アメリカの国歌もそうだけれど、市民が自由と平和を勝ち取るために戦った証として作られた国歌だから、今でもフランスの人やアメリカの人は国歌を誇らしげに歌う。このラ・マルセイエーズも、「行くぞ〜〜、行くぞ〜!ぶっ殺せ〜〜」みたいな歌だから、 戦争の時やスポーツ大会で士気を上げるにはもってこいだ。「君が世は〜〜、千代に〜〜八千代に〜〜」と歌っても、今の若い人には歌詞の意味もよく解らん!という事になりかねないよね。イギリスの国歌も似たようなもの。国民の為のものではなく、女王/国王を讃える歌だ。「Die for the Queen and the country」なんて言うけれど、本当にそう思って戦っている兵士がどれだけいるのやら、、、、???

あんまり耳についたものだから、とうとう歌詞をみて歌えるようなってしまったラ・マルセイエーズ歌ってみると結構気分が良かったりするから、なんだかちょっと羨ましい。血と汗と涙の末にオリンピックで金メダルを取って「陛下の御代が永遠に〜〜、、、」とは、本当は歌いたくないんじゃないかな、、、 決して王室/皇室に反対しているわけではありません。ただ、国民が自分たちの為に誇りをもって歌える国歌っていいなあ、、という事。
「ラ・マルセイエーズ 対訳」

行こう 祖国の子ら!
栄光の日が来た!
我らに向かって 暴君の
血まみれの旗が 掲げられたぞ
血まみれの旗が 掲げられたぞ
聞こえるか 戦場の残忍な敵兵の咆哮を?
奴らは我らの元に来て
我らの子や妻の 喉を掻き切るだろう!

武器を取れ!市民達!
隊列を組んで
進もう 進もう!
汚れた血が
我らの畑の畝を満たすまで! 


いやあ、、それにしてもフランスを訪問した外国の王室メンバーなんかは、歓迎されてこの国歌を歌われたらちょっと尻込みしてもおかしくないよね〜〜、、歌詞は解らないほうが良いという事か、、??