イギリスのテレビ番組で何が好きかと聞かれたら、いくつかある中でも真っ先にあげているのがBBC2の看板番組「Top Gear」だ
Top-Gear-3

車を扱っている番組なのだが、これがただのカーマニア向け番組とはちょっと違う。毎週いろんなカテゴリーの車を紹介したり比べたり、スペックやメカニカルな事と同時に、車を使って数々の事に挑戦したりする。イギリスのみならず世界中のいろんな分野からスター達をゲストに呼んで、インタビューの後には3週ラップに挑戦させてその記録を番付する、、、、

このBBCの人気番組を仕切っているのがユニークな3人組、Jeremy Clarkson, James May, Richard Hammondで、なんといってもこの番組の一番の魅力はこのキャラクターの違う3人の大人子供のような男達のチームプレーだ。それぞれのジョークや反応が微妙に違うがためにこの3人のケミストリーがTop Gearの鍵だった。

何百万というファンを毎週釘付けにしてきたこの番組の、3人の中でもリーダー的存在で人気のあるJeremyが、今回とうとうBBCの忍耐を切らせてしまう事態になってしまった・・・・

ジェレミー・クラークソンは今までにも何度が失言が取り沙汰されたり、放送禁止用語をいってしまってカットされたりと物議をかもす事件を起こしてはいた。でも今まではやっぱり何と言っても看板番組のトッププレゼンターという事で、首が繋がってきたのだが、今回はなんと酔った勢いで番組の上司のプロデューサーを殴ってしまったという

ニュースになるや、賛否両論が巻き起こり、「いい加減にスター気取りの鼻をへし折るべきだ」という意見や「いや、やっぱり彼無くしてTopGearはありえないのだからここは許してやってくれ」といった署名嘆願が集まる等、これからの番組がどうなるか、みんな固唾を飲んで見守ってきた。とりあえず先週の放送は急遽中止になり、首相のキャメロン氏はじめ、番組のファン達はなんとか彼を復帰させてくれるように祈っていたのだが、やはりBBCとしてはこれ以上の温情はかけられないという事になってしまったようだ

きついジョークというのはイギリス独特で、日本的な感覚だと思わず息を飲んでしまうような発言でもイギリス人は大笑いしてやり過ごす。言われたら言い返す機転をきかせられる者が認められるのだ。だからこのトップ・ギアという番組は、そんなイギリス式ジョークを3人の男達が飛ばし合いながら、世界中をまたにかけて車を使って馬鹿な事をやり、無謀な挑戦をし、BBCは莫大な予算を使って番組を制作してきた。この10年、私もずっと見続けて来た

スタープレゼンターとして君臨するジェレミーが、今までにも何度が暴言や失言を吐いてきた事は番組のファンでない人に「こんなヤツがのさばるのは許し難い」と言われても仕方がない。何かしでかす度にニュースになり、「今度はどんな処分か、降ろされるのか??」とファンをヒヤヒヤさせてきた。でもやっぱり上司に当たる人にパンチをくらわせたというのは、いくら酔っていたとはいえちょっとやり過ぎちゃったよねえ〜〜、、、

結局は番組はBBCものだ。一契約社員は会社組織にはかなわない。一般社会に例えれば解る。販売課の契約社員で、売り上げはトップ、業績も次々に出して顧客も一番多いサラリーマンがいたとする。時折会社に文句を言ったり取引相手に失礼な事を言ってしまったとしても、比較的大目に見てもらえる。でもさすがに酔って上司に脅し文句をぶちまけながら殴ったらやっぱりこれは首になっても仕方ないよね。しかも今まで何度も警告を受けていた果ての事なのだから、、、

それにしても寂しいよ、、ジェレミーのいないTop GearなんてTop Gearじゃないよ〜〜番組は残ったジェイムスとリチャードで続行するようだけれど、中心になっていたのがジェレミーなので、どうなる事やら、、、2人にとってもものすごいプレッシャーだろう。ファン離れも気になる所だし、それでもやっぱりBBCの力で番組はどうとでもするんだろうか、、、

本当に、本当に残念だ〜〜〜数少ないイギリスでの楽しみだったのに・・・
ジェレミー自身からはまだ発言がないけれど、ずっと黙っているとは思えないので、彼がどう出てくるかも大いに気になるところだ。何百万というファンからの署名嘆願がBBCに殺到しているというし、しばらくしてほとぼりが冷めたらまた、、なんて期待してしまう。

でもやっぱり大人の社会では超えてはいけない一線だったんだよね。ホントに馬鹿だなあ〜〜〜
あ〜〜あ、、この虚脱感、どうしてくれるのよ〜〜