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最近は日本の友人達からも「今年のロンドンはオリンピックがあるからそろそろ盛り上がってるでしょう?」と言われるのだけれど、実は現地の声としては、オリンピックの事なんて誰も言わないなあ〜〜というのが本音。私の回りでもオリンピックの開会式がいつなのかちゃんと知ってる人はいないかも、、、「7月の最終週じゃなかった?」ってな感じです
それよりも英国民にとっては今年で戴冠60周年を祝うエリザベス女王のDiamond Jubileeのほうが活気のある話題なのだ。イギリスの長い歴史のなかで、戴冠60周年を祝った元首は今までにヴィクトリア女王一人しかいない。エリザベス女王は86歳になった今も英王室の人気を支えている

この週末は4日間の記念行事が続く。昨日の競馬を皮切りに、今日はテムズ川で大掛かりな船のパレードが行われた。馬車での行列は今までにもあったけれど、テムズでの女王はじめ王室メンバーによるプロセッションは初めてだ。イギリス全土から、そして世界中のコモンウェルス(イギリス連邦)各国からの船が集まり、手漕ぎのボート集団にはじまって、スティームエンジン船、モーターボート、カヌーやカヤックのような小ボートから客船(遊覧船)まで総勢1000艘以上の船のパレードだ。女王はまずチェルシーハーバーから小舟で出発点のバターシーブリッジに向かう。
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今日のクイーンは白いコートドレスに白い帽子、帽子はちょっと水平さんお帽子を思わせる形。正確にはシルバーと白のトリミングだそうで、テレビ画面だと光沢が出ていろが浮き立つ。91歳になったフィリップ殿下の姿勢の良い事といったら、クリスマスに心臓の手術をしたとは思えない!!相変わらずハンサムでユーモアのある人だ
バターシーブリッジからいよいよ壮大なパレードの始まり!先導するのはこの日の為に作られた手漕ぎのはしけ船、オリンピックで3度の金メダルを取ったレッドグレイヴ選手初め18人が漕ぐGloriana

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テムズは水流が渦を巻くように強いのが特徴で、常時川底の砂が渦を巻いている為に水が茶色く見える。テムズの色が茶色なのは水が汚いのではなくてこの為だ。これだけの数の船が一度に川を下るとなるとかなりコントロールが難しい。船同士の間隔を正確にとらなくてはならないし、スピードは4ノットを維持、バターシーからタワーブリッジまでの12キロ程を1時間半かけて下る。当然今日の為に数カ月あるいは一年前から訓練してきた人達による壮大なプロセッションだ
王室メンバーを載せた船はThe spirit of Chatwellという船で、この日のために特別に作られた。女王初めロイヤルファミリーが集う中央は金張りの覆いで雨よけの屋根を作り、女王夫妻、皇太子夫妻、そしてウィリアム王子夫妻の為の赤いベルベットの椅子が設けられている。

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女王は乗船するとベルベットの椅子の後ろ側に立って四方を見渡し、すぐに家族達と談笑しながらこの壮大なパレードを楽しんでいる様子。この時にはまだ雨は霧雨でそれほど強くはなかったものの、風は結構強くて川縁は寒かった筈だ。ケンブリッジ公夫人になったケイトのドレスはクリムゾン。帽子もバッグもおそろいで、なんだか結婚してからいっそう痩せた感じの細身の身体がますますシャープに見える。ここでも長身のフィリップ殿下は姿勢を崩さず時折女王と談笑している。決して堅苦しくない、リラックスしたファミリーの集いといった雰囲気だ。

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途中から雨足が強くなってきて、ボートの人達はずぶぬれの筈なのに、この日の為にと準備してきたその心意気は雨にもそがれることはなかったようだ。それは沿道の人々も同様で、テムズ沿いの道や橋、立ち並ぶ億ションのバルコニーにも窓際にも人々が溢れて、その歓声が止む事は無かった。そして何よりも女王自身ボートにあつらえられた椅子に座る事が無かった。チェルシーハーバーから実に3時間近くの間、座る事なく雨風にもめげず、目の前を行く船の一つ一つ、沿道からのメッセージの一つ一つ、どれも見逃すまいとするように目を凝らしていた。86歳のおばあさんだよ、、60年のキャリアで慣れているとはいえ、決して楽では無かった筈だ。それでも人々の前に立ち続けて答える姿に「ああ、だから彼女は今でも国民に愛されているんだ」と思わずにはいられない。女王が座らないので他の王室メンバーも結局最期まで立ち続けだった。きっと椅子の陰のほうが寒い風を凌げて良かったのかもね。

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パレードの最期はタワーブリッジ。ここで後から来た大勢の船からの祝福を受け、最期はロイヤル・フィルハーモニック・オーケストラを載せた楽団船の演奏でフィナーレ。タワーブリッジから花火が上がり、雨にも負けず今日の壮大なパレードは終了した。

生憎のお天気だったけれど、この光景はもう一生に一度のものに違いない。明日も明後日も祝賀は続く。おかげで4連休ですわ!