デジタルテレビのセットボックスのおかげで、今年はスケートの世界選手権をミスらずに済んだ
先週はすっかりベッドの人だったので、ふと気が付くと3月末。「ワールドはいつからだったっけ!?」と慌ててチェックしたら丁度のタイミングだった。ペアやダンスも一通り観られたのは久しぶりだ。

今年は先月のヨーロピアンも観ていたので、ダンスの3メダリスト達は良い勝負だと思ってた。私としては3位になったフランスのペアが好きだなあ〜。2週間前に鼻を折ったという事で、鼻にテーピングをしていたけれど、気合い入ってたよね。オフリンクでも旧チャンピオン達が客席やコーチ席にいて、アンジェリカ・クリロヴァとか相変わらず綺麗だった。競技会から引退してもコーチや振り付け等で後輩の指導に当たっていくというのは、選手としてとはまた違うものがあるのだろう。

どんなスポーツでもそうだけれど、何年キャリアを積んで成績が上がっていっても、絶対に自分が一番になる順番というのは無い。最初のライバルが引退しても、必ず次の新たなライバルというのが出て来てしまうのだ。そんな中で何年にも渡って何度もチャンピオンの座につける圧倒的に強い選手というのは実は少ないのだ

女子で初めてワールドチャンピオンになったカロリーナ・コストナー選手は、もうヨーロッパ選手権では御馴染みで何度も表彰台に上がっている。にもかかわらず、この10年間いつもいつも世界選手権やオリンピックの大舞台ではどうしても最高の力を出せずに辛酸をなめてきた選手だ。その間、アメリカのミッシェル・クワンやロシアのスルツカヤ、日本勢の台頭にキム・ユナ/浅田真央といった若手の陰になって慎ましくはあっても大輪の華になりきれずにいた。そして今年、万を期してグランプリファイナルで優勝、そして世界チャンピオンになった。今年のプログラムではスケーディングのクオリティーの高さを見せてくれた。ただ滑るだけでもエッジの深さとなめらかさ、長身をフルに見せてのスパイラル、いつもどこかで失敗のあったジャンプも今年は綺麗に決めて、技術の質の両方で勝ち取った一位だ

数年前にはキム/浅田の双璧で他はライバルにならない、位の勢いがあった浅田真央選手は、今回はみていて気の毒なくらい精彩を欠いていた。いつもなら大技のジャンプに失敗しても他で取りこぼしをしない、強い闘争心を見せて来た彼女が、今回初めて演技の途中であきらめたような消失感があった。去年から自身を取り巻いていたいろいろな事をそれでも滑る事で乗り切ろうとした彼女が、最期に直前で糸がキレたか、、、という印象だ。そして不調な彼女の前にはまた新たな若手のライバルが次々と出て来ている

男子は面白かったね。ベテランの強さ、今まさに大波に乗っている旬の強さ、そして新星の勢い溢れる強さ。日本の高橋大輔選手は本来なら一番波に乗っていた旬の強さを発揮していた時期に1年間を怪我で潰してしまった。オリンピック出場/メダルの夢は無理かと思われたギリギリの所でそれでもなんとか追いついて銅メダルになったものの、高橋選手のピーク時にはほど遠かった。それからさらに2年かかって、今年ようやく彼の4回転ジャンプが戻って来た。怪我から3年だ。

スポーツ選手が怪我をするというのは本当に過酷なものだ。今年の高橋選手を観てると、来年あたりは怪我前の強いジャンプとさらに磨きのかかったスケートでもっと上にいけそうな気がする。その反面彼はもう26歳になった。身体のピークをどこまで維持できるかが、ソチを決める。ペアやアイスダンスは30近くてもトップでいられるけれど、シングルではどうだろう、、、?でも今年はカロリーナが25、鈴木明子選手も27だし、同じく27歳のブライアン・ジュベールも4位に入ってる。ワールドには来なかったけど、ヨーロピアンで優勝したプルシェンコ選手は29だ。相変わらず4回転をバンバン跳んで強引にヨーロピアンチャンピオンになってしまったよ。本気でソチに行くつもりかな・・・?

このままいったらソチの頃には凄い選手になってるかもしれないのが、羽生結弦選手だ。17歳で初めての世界選手権。SPでは緊張からか硬い演技で伸びなかったものの、フリーでは高橋選手よりも高い得点で表彰台に上がってしまった。ジャンプだけでなくスピンもレベルが高いし、表現力や曲との一体感なんかはこれから数年で磨かれていくだろう。17歳のステファン・ランビエール選手を世界選手権で観た時の事を思い出した。今から20歳までにどんな選手になれるか・・・!彼にはソチとさらにその次のオリンピックの可能性もあるのだから、息の長い強い選手になってくれるといいな。

今年こそは!、次はこの人だ!、、、そう思っていても毎年違った勢いのある人達が出て来てしまう。どんなスポーツでもそうだけど、本当に現役でいる間はライバルには終わりがないね、厳しいよね〜〜・・・