全くイマドキの若い子は、、、

なんて言葉を吐くようになったらもうおばさん中のおばさん、、、、と思っていたのに、今やすっかり毎日の口癖のようになってしまったのだから、人生は恐ろしい。 それが、ましてや私達の世代を「イマドキの、、、」と呼ぶもっと上の年代の人にしてみれば、今の世の中真っ暗闇に違いない。

仕事で毎日いろんな人と接するけれど、80代、中には90代でも独りでチャキチャキと出歩いているバイタリティーのある人達も結構いらっしゃる。今日のおばさまもそうだ。お年は82歳。若かりし事はブロンドだったと思われる髪は見事なホワイトで、それでもフサフサしている。話す声も燐としていていかにも古き良きイギリスに育ったという感じのレディーだ。まだまだお元気そうなのだけれど、やっぱり身体は少し軋むらしく、椅子から立ち上がったり座ったりする時は身体の痛みを騙しながら背中を庇うようにしてゆっくりと動いている。

学校も終わり、夏休みになるとあって、この1〜2日はホリデーに行く前に検査や眼鏡の受け取りに来る子供達が多かった。検査待ちの子供達を見ていると本当に育ちの違いが一目瞭然だ。この北ロンドンのエリアは、地元の人達はちょっと裕福でミドルクラスなイギリス人が多い。ミリオンクラスの家が立ち並ぶ住宅通りもあり、しつけも教養も行き届いている感じのイギリス人家庭の子はお行儀もよく、自分の意見で話をし、ありがとうを必ず言うし無作法なマネはしない。でも今や外国人のほうが地元のイギリス人より圧倒的に多くなってしまったエリアなので、中には英語が満足に話せないだけでなく、子供のする事に無関心、さらには子供に教える事を放棄してしまったようなどうしようもない若い親も結構いるのだ

東欧系の若いお母さんに連れられてきた8歳の女の子が、時間待ちに退屈しているらしいのは私達にも解った。そのうちショーケースに指文字でなにか書いたり、ストックを収納してある引き出しを開けたり、ウォータークーラーの水を出したり止めたりし始めた。広い店内を跳ね回りながらあちこちに触って遊んでいる。お母さんは、、と見ると全く無関心のようで、携帯をいじっている。そのうちサングラスを棚から取ってはかけて、そのまま放って遊び始めたのでさすがにレセプションのL嬢が注意した。言われるとムスッとしてお母さんの所は戻るのだけれど、また1分も経たないうちに席を立って遊び始める。私とL嬢だけでなく、その場にいた数人の人達も女の子とお母さんをあきれ顔で交互に見やっていた。

検査が終って出て来たおばさまが背中が辛そうだったので、「こちらに掛けてお待ちください」と椅子を差して、「あ、、!」と思った。3つある椅子の真ん中の席に女の子が横向きに座って隣のお母さんに上半身をもたれかけ、足を反対側の椅子に載せて半分寝転んでいる・・・! 私が椅子を空けてくれるように言おうとした時、私よりも先におばさまがキレてしまった

あなたは学校に行ってないの?!

鋭い声で女の子をまっすぐに睨んで叱り出した。それでいて、しっかりとお母さんに聞かせるように・・・

あなたは学校で何を習ってるの? 椅子に足を乗せる事が無作法だって誰も教えなかったの!?どうしてじっと座っておとなしく待っていられないの!? 汚い靴を椅子に乗せたら次に座る人が不愉快でしょう!?

女の子は明らかに不愉快な顔でおばさまを見ている。でもお母さんはおばさまの顔を見上げても何も言わない。軽く娘の身体を自分のほうへ引き寄せただけだ。英語は解っているはずだ。さっき私達と話したのだから。でもおばさまの事をエイリアンでも見るような表情だ

誰も教えてくれないのなら、私が行った事を覚えておきなさい。
その足をどけなさい! どけるのよ


母は強し、というのはもう昔の事なのだろうか、、いや、このおばさまの年齢だと、母の母の母くらいか。でもこの凛としたお説教に、母の強さを見た。母の強さ、それは子供を守ろうという事だけでなく、生きる事を教える強さ、正しい道に導く逞しさだ。誇り高く、他人の子だろうと間違った事は人前でも堂々と指摘する。今の世の中から無くなってしまったよね。

下手に注意して刺されて死んだ人も沢山いる。我関せず、危うきに近寄らず、社会の規律が崩壊するのを見て見ぬふりをしてしまっているのが今の世の中だ。電車の座席に足を乗せて音楽を大きな音で鳴らしている人、用事があるからではなく、バスに乗ってる時間潰しにず〜〜〜っと携帯で大声でしゃべり続けてる外国人、集団で舗道を塞いで大声でわめきながら歩いている学生達。みんながキレそうになってるのに、いつの間にか我慢する事に慣れてしまった

戦前の保守的なイギリス中流家庭に育ったらしいおばさまにしてみれば、まるで火星にでも住んでいるような気がする事だろう。後で私が検査結果の相談をした時、「戦争が終わってアメリカからの兵隊達が来た時に私ははじめて黒人を見たのよ」と言っていた。開かれた欧州という名のもとに今やロンドン人口の8割近くが外国人になってしまった。
私も外国人なので偉そうな事は言えませんが、、、」と前置きして、「私がイギリスに来た頃は、この国のシステムに馴染もうとして、それが面白かったりしましたよ。キュー(Queue=バス停やお店で来た順にまっすぐ1列に並ぶ習慣)からはみ出しちゃいけないな、、とか」と私が賛同の意を示すと、

あなたのように、外国から来てもこの国に同化して、パスポートを取って女王陛下への忠誠を宣誓した人はいいのよ

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いや、、、私はまだ日本国籍ですし、、別に女王陛下に忠誠を誓ったわけでは、、、(陰の声)

でもおばさまの怒りは本当によくわかる。実は女の子をお母さんの前で叱り飛ばした時は胸がす〜っとした!!
帰り際に言ったおばさまの一言、

私はこの国がこれ以上ひどくなるのを見ないうちに逝くからいいけれど・・・

なんだか淋しいなあ〜〜、、、来年のオリンピックに向けて最悪の不況からの脱出を計りたいイギリスだけれど、先日の記事では新しい仕事のうち4つに3つは外国人にいってしまうそうだ。でもそれじゃあ英国経済永久に復活できないんじゃない? 出稼ぎで来たどこぞのヨーロッパの人達が貯めたお金を全部国の家族に送っちゃってるんじゃあね、、、
イギリス人に仕事が無くて、どうしろっていうの??!