謎の芝居「Accomplice=共犯者」に行って来た。
観て来たというより、参加してきたと言うべきか・・・

どこまでネタバレして良いものやら、、といってもここは日本語サイトだからあんまりこれから観に行く人はいないと思うけど・・・でもやっぱり良識をもってするなら、内容の詳細は明かさないのが賢明だ

事前に解っていただけの事がすべてと言っても良い。(前回のブログを参照)集合場所はテムズ川の南岸某所。ここは人が沢山いる場所なので、指定された所に行ってもどの人がインなのかまるで解らない。時間きっかりに、人相の良く無い男がいきなり参加者の名前を呼び上げて「ついて来い!!」と足早に私達を脇へ集めた。あたりをはばかるように、それでいてさりげなく団体の観光客に説明をしている振りで、「事件」のあらましを私達に話し始める

私達のグループは9人。これはすべて参加者で、この中に役者は混ざっていない。この第一の男が客達がこの芝居に入っていけるかどうかの鍵を握っている。彼の役目は演じる事でも見せる事でもなく、「参加者を引きずり込む」事なのだ。ここで参加者が乗ってこないとこの後が続かない・・・あたりをはばかるように、何度も私達の場所を移動させてその都度「観光グループ」の振りをしながらしっかりと必要事項をまくしたてて行く。第一の男はひとしきり事件の概要を説明すると、私達を秘密の任務=オペレーションZ に送り出した。万が一の時連絡できる携帯のナンバーと、最初の謎解きの封筒を渡されて私達は任務遂行の旅に出る・・・

最初のタスクに結構時間がかかった。暗号を説いてメッセージを読み出すというもので、この時点からさっそく2ー3人ずつに別れての暗号解読。人に頼っている余裕は無いので、早くも全員がタスクに集中する事になる。このメッセージを解読してテムズ南岸のロンドンに足を踏み出す頃にはすでにチームが出来上がっていた。

この後私達は殺された男の昔の友人という6人の人物に出会う。どこにいるかはまちまちで、指定された場所で待っている人もいれば、通りすがりを装って普通の人々に紛れ込んでいる人もいる。この6人から私達は新たなメッセージを受け取り、それを解読して先へ進む。

私達のチームにはこのエリアに住んでいる人がいて、少なくとも方向を間違うような事がなく、次の指定された場所までの移動が簡単だった為比較的早く進んだ。でもグループによっては間違った方角へ進んでしまって迷ってしまうケースもあるらしい。テムズ南岸には面白い建物が沢山あって、途中寄ったパブの造りなんかもユニークだった。ちょっとしたロンドン下町観光も兼ねている

楽しかったね〜〜宝探しか演劇か、、、というのが微妙な所だけれど、殺された男の6人の共犯者達はみんな独特の個性があって、私達に殺された男の話をしてくれる。これが最終的なキーワードのヒントになっているのだ。

こういう観客参加型の演劇は、すべての回で同じ物が無いというのが特徴だ。私が参加したのは日曜日だったので、午後から30分刻みで別のグループが出発する。6人のキャラクターにアウトラインはあっても、実際に私達とやり取りする会話はまったく本がないアドリブという事になるのだ。受け答えも反応も千差万別。これに役者達がどう対応するか、、で芝居が成り立って行く

6人のキャラクターのうち、私達に説明だけをしてやり過ごしてしまった感のある人もいれば、細部に渡って自分の創ったキャラクターを貫いて演じ切っていた人もいた。丸一日、同じ場所で30分毎にやってくるグループをさばくのは役者にとっても楽ではない。ずっと外で市民の振りをして待っているのは集中力が持たないだろう。でもそこで自分のキャラクターをしっかり出してくれないと芝居にならない。それがないと、単なる宝探しアドベンチャーになってしまうからだ。

最期に二重の結末になっているのもなかなか粋だった。最終地に辿り着くという私達の目的は達成された。でもオペレーションZの結末は・・・???!

全く知らない人とチームになっての2時間半程の時間、楽しかった! 天気も暑過ぎず雨も降らず、歩き回るにも丁度良かった。長年ロンドンに住んでいても殆ど来た事のなかったエリアだったから、ロンドン再発見にもなったしね。途中ではビールやカクテル、ポテトフライ等も用意されていて、おそらく早くて2時間、遅くても2時間半くらいで終了できるだろうコースは、無理もなく易し過ぎず、充分楽しめた

70年代〜80年代にあったような、寺山修司さんが試みたような市街劇とも少し違う。でもファミリーアドベンチャーと体験演劇を区別するならば、参加者に入り込んで来る6人の役者達が鍵になる。第一の役者は私達をオペレーションに引きずり込む事に全力を注いでいた。途中で暗号をくれる人達もそれなりに自身のキャラクターを維持しつつ、さりげなく参加者を誘導し、殺された男のストーリーを少しずつ語ってくれる。ロンドンのテムズ南岸の一角に、確かに芝居出現し、その芝居のある所に小さな劇場が出現した。

寺山修司さんの演劇論集にあったっけ。「役者は見せるのではなく、巻き起こし、引きずり込むのだ」「芝居のある所が劇場になる

まさにその通りだね。今回はそんな楽しい体験ができた