前回アップしたと思ってたブログ、ワイン飲んでたんだねえ〜〜きっと!アップしてないじゃないの・・・
今さら載せてもねえ、、という事でそれはボツです。ちょっと間があいてしまいました。

おととい観て来た「Salome-サロメ」。オスカー・ワイルドのこの芝居が私は初めて観た時から好きだ。初めて観たのはまだ高校生の時、もちろん日本語訳だった。ちなみにこの芝居はフランス語ヴァージョンが先で、後にワイルド自身の英訳が出版された。この英訳については、彼の恋人だったダグラス卿が手がけたもののワイルドと意見が対立し、結局は自分で訳してそれをダグラス卿に捧げている

芝居=本として好きな戯曲なので今回も楽しみにしていたのだけれど、、ちょっと今回は違った!
セットは鉄パイプと黒い砂、タール色の水で、メタリックな色彩。兵士達の衣装も戦闘服に機関銃で、王=ヘロデは戦闘隊長というカンジだ。そして肝心のサロメもストレス多きティーンエイジャー

今回このサロメを観たかったのは、演出がJamie Lloydだったからだ。Donmer Warehouseの若手演出家として注目されている。私も去年彼の作品を2本観たけれど、今回のはちょっと冒険し過ぎた感が否めない

ず〜〜っとバックにリズムボックスのベースドラムのような音が鳴っている。これが躍動感や心臓の鼓動を表現しているのだろうけれど、私には壁の薄い家のお隣からミュージックのベース音が聞こえて来るようにしか思えなくて、これがなんとも耳障り

水、ワイン(のような飲料)タール、血、、、とビチャビチャ飛び散って、役者達もドロドロになって頑張っているのはいいけど、効果的というより、汚く見えてしまう。顔中に血だのタールだの塗りたくってるので表情だって見え難い。

このチームはHeadlongというカンパニーで、ヘロデ役のコン・オニールが座長だ。このコン・オニール、今でも20年以上のロングランになっているウェストエンドのミュージカル「Blood Brothers」の初演キャストだった人だ。おっさんになったなあ〜〜・・・(当たり前か)

モダンで冒険的な演出なのだけれど、本来この戯曲の持つ「」と全く噛み合っていないのが残念。なんだかMessyでnoisyだ

私がちょっとがっかりした一番の理由は、実は10年以上前に観た「サロメ」が、それはそれは美しい舞台だったからだ。

このプロダクションは鬼才Steven Berfoff(スティーヴン・バーコフ)の演出/ヘロデ王で、パントマイムのような曲線的な動きやスローモーションで役者達の動作がとても綺麗だった。セットや証明も冴え冴えとしていて、何よりも英語の台詞がとても美しく語られた。ゆっくりと語られる台詞は聞き取り易く、英語を美しいと思った芝居は初めてだった。神秘的で、情熱的で、エロティックなこのサロメが、私は今までに観た芝居のうちでも「一番美しいと思った舞台」だと思っている

だからサロメ=美しい芝居という印象でず〜っときていたので、今回の演出はなんだかちょっと何かが壊されてしまった印象だった。悪いとはいわないけれど、まとまっていないのも確かで、本としての魅力も出し切れていない。

予言者ヨカナーンはなんだか怪獣みたいだし(ブラックの役者さんだった)、サロメもヘロデもエロスというより性欲むき出しというカンジで美しさがない。オスカー・ワイルドの美学をもっと出して欲しかったのに。

スティーヴン・バーコフなんていっても日本の人は知らないよねえ、、と思ってちょっと見てみたら、なんとこの公演、日本でやってる・・・ DVDが出てるなんて知らなかった。このDVD、テレビ放映用に東京・銀座セゾン劇場にて収録ってある・・・ツアー公演だったのかな?テレビ用? これは観たい!買ってしまおう、、、同時期に上演したカフカの「審判」や「変身」も凄く面白かった

はじめに本ありきで始まる芝居は、いろんな解釈ができるわけで、それが面白いのだけれど、シェイクスピアのものでも、あまりにもちぐはぐなものになっちゃった作品もあるし、古い時代の作品を今上演するほうが難しいのかもしれない。でも、バイセクシャルが逮捕されて、キリストや聖書の話を芝居にする事も禁じられていた時代にワイルドが書いたこの本の持つ妖しい美は保って欲しかった

役者達はビシャビシャのドロドロになって頑張ってたんだけどねえ〜〜
今回はちょっとハズレでした。

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