何年ぶりかでEastendersを観た

Eastenders(イーストエンダーズ)というのは25年前にBBCが始めた連続テレビドラマで、ソープオペラと呼ばれる類いの人気番組だ。その名の通り、ロンドンの東、Eastendにある架空のエリア、アルバート・スクエアーの人々を描いている。Eastenders/ソープオペラについては以前書きましたので、何の事か、、、と思う方はこちらへどうぞ

さて、どうしていきなり数年振りで観たかというと、なんと25周年記念エピソードはスペシャル版という事で、ライヴ=生放送するというのだ。去年のクリスマス、アルバート・スクエアーの中心となるパヴ=Queen Vicで、アーチーという男が殺された。この男はアルバートスクエアーでは悪名高い男で、とにかく敵が多い人物。彼が何者かに、バプのカウンターにあったヴィクトリア女王の銅像で殴りつけられて死んだ

このクリスマスエピソード以来、「アーチーを殺したのは誰か」論争が繰り広げられた。何しろ彼を憎んでいる人間はアルバートスクエアーにはゴマンといる。誰にでも動機があると言って良いくらい。1〜2月中ずっとその謎を引きずって盛り上げた所で、BBCは「2月19日、ライヴ放送にて真犯人が判明」と大々的に宣伝をする。真犯人探しに加えてドラマの生放送という事で、久しぶりに盛り上がったのだ

ドラマの生放送というのはかなりきつい。30分のエピソードだけれど、観ていただけではほとんど解らなかった。でも舞台裏は相当大変だったらしい。後で裏番組をやっていたけれど、カメラは40台近く、各セットに設置し、セットからセットへ役者を移動させるゴルフ用のバギーが3台、各セットは隣り合って作られてるとはいえ、外でのシーンもあるし、各シーンはストップウォッチとにらめっこだ

役者達は今までにないくらいの緊張感で、これがみんな気合いが入って凄い演技をしてくれた。台詞をトチッてる暇などもちろんない。感情極まって声が掠れてしまっても撮り直しはきかないから、喉を振り絞って台詞を言い切らなければならない。泣いてメイクが剥げても直せないし、1カット数秒の間に素早くスタントマンと交代したり、、、とその舞台裏はスタッフ/キャスト全員が緊張の連続だ。舞台なら当たり前のような事でも、いつもはもっとリラックスして現場に来ているだろうソープスター達には過酷な試練だったことだろう。

おまけにこのアーチー殺しの犯人は、あくまでも当日まで極秘の極秘という事で、ものすごいバリアが張り巡らされていたとか。真犯人を知っていたのはプロデューサーはじめたったの7人、もちろん役者達にも知らされていなかった。ただでさえ生放送の為の入念なリハーサルを何度も何度も繰り返す大変な状況なのに、御丁寧に10種類のエンディングシーン=真犯人が「自分がやった」と告白するカットを用意して、それぞれの役者達にリハーサルさせたという。本当の犯人役の役者が「君だよ」と言われたのは、生放送開始の30分前だったそうだ。他の人達は最期のシーンをモニターで観て初めて知ったという事で盛り上がっていた

まあ、観ているほうとして思ったのは、テクニカルなミスもなかったし、タイミング/放送時間すべてうまくいったと言って良い。(ちょっと滑った台詞とか、小さな事はあったようだけど)そしてやっぱり役者達の緊張感が凄く良い。ストーリーとしても、とにかくあちこちで、お前だろう、」「あんたが殺したのね、」「白状しろ」、、、というシーンの連続なので、その緊張感も倍増だ。Eastenders25周年記念エピソードとしては、語り草になることは間違いない。なんでも1700万人近い人達が観たという統計が出てるらしい。犯人当ての賭け率もいろんな役に分散していた

お気に入りの役がアルバートスクエアーを去ってからずっと観てなかったうちに、ティーンエージャーだった子が結婚してたり、「この子誰、、、?」と思ったら子役が大きくなってただけだったりして、たまには覗いてみるのも面白い。新しいキャラクターも、何回か観てればすぐに追いつけるしね、そこがソープオペラの凄い所。

とりあえずは成功したライヴ放送、スタッフ/キャストはもうこりごり、、、って思ってるかもしれないけれど、たまにはこれくらいの緊張感で視聴者引きつけて欲しもんです