ドキドキしていた男子のフィギュアスケート、高橋大輔選手は銅メダルを獲得した
本人は満足ではなかっただろうけど、去年一年を棒にふった大怪我からの復活でオリンピックの銅メダルというのはすごいアチーヴメントだ。男子のフィギュアスケートでオリンピックのメダルは初めてだ。初の快挙を成し遂げる意味は大きい。でもホントはゴールドメダルが欲しかったよね。SPの後にあの位置にいたら、当然欲しいのは金色のメダルだった筈だ

ショートプログラムの後に上位3人が語った「4回転談」、プルシェンコの「チャンピオンなら4回転をとばなくちゃいけない。20年前の技術で優勝するなんて遅れてる」という言葉が、4回転は跳ばなくても優勝するスケートはできるという意向だったライサチェックをチクチクとつついていた。4回転は必要か、、、という論争は、競技としてのフィギュアスケートに対するスケーター達の価値観の違いだ。高橋選手はモデストに「男子競技の醍醐味でもあるし、ボクのプログラムには必要」と発言。

さて、結果は・・・
4回転を跳ばなかったライサチェックが、それでもミスの無いジャンプ、要素で高い点を取って逆転優勝、4回転は跳んだけれど、他のジャンプでアヤシかったり表現/構成点が伸びなかったプルシェンコは2位、4回転に賭けて、降り切れなかった高橋君はその分は大きく響いたものの、それ以外の構成点では他の2人より高得点を出して銅メダルになった

チャンピオンたるもの、一番高い技術を持って表彰台に乗るべき、というプルシェンコ選手の意見には私も賛同している。ただ、、、彼の場合はこの後がちょっといただけない・・・ 試合後のロシアテレビ局へのインタビューでの発言、、、

「4回転を降りたのに、自分が優勝じゃなかったのはジャッジ達のアンフェアな細工のせいだ」、と言い出してしまった・・・さらには、「カナダはアメリカ大陸の国だから、アメリカ選手との癒着があるような気がする」とまで・・・
ライサチェックを真のチャンピオンではない、とまで言ってしまうのはどうかね・・??

2002年のソルトレイクでフィギュアの採点に裏取引=不正が発覚し、スケート界に大きな波紋を呼んだ。その後採点法を変えて再出発した新しい得点の計算法に、やっと馴染んできたところ。一つ一つのエレメントを細かく採点評価する今のシステムは、以前の主観的な6点法よりずっと計り易くなった

演技を観たけど、ライサチェックはステップもダイナミックだったし、安定した素晴らしい演技だったと認めざるを得ない。ジャンプでのプルシェンコは無理矢理踏ん張ってしまうものもあった。(回転中の身体の軸が倒れているのに、着氷の時に腹筋/背筋力で踏みとどまってしまう)演技の流れや振り付けなんかは素人が観たって高い点はつけられないよね。高橋選手が4回転を綺麗に降りて、回転不足無しですべてを飛んでいたら、間違いなく金メダルだった点数だ

さすがに自分が金メダルじゃなかった事をそんな風に言い出すというのは、ちょっと自分を貶めてるように見えて醜い。チャンピオンには品格ってものも必要だと思うのよ。フィギュアの得点は技術点と芸術点の2つで構成されているのは何故かをよ〜く考えて欲しい。これはもうずっと昔からの話で、これがフィギュアスケートというスポーツのユニークな魅力なのだ。

表彰式で1位の台を踏んで行くなんてもってのほか!これは勝者に対する冒涜だと思うんですけど・・・

4回転の技術が無い者と同様に、品格の無い選手もチャンピオンになるべきじゃないね

今回はちょっと行き過ぎだと思うよ、プルシェンコ・・・もう一人4回転を決めた小塚選手に、後で握手をして健闘を讃えたというのは素敵なジェスチャーだし、4回転に挑んで銅メダルを穫った高橋選手を「チャンピオンらしい姿勢だと尊敬する」、というのも嬉しい発言だけど、「自分は差別された」発言はちょっとねえ〜〜

表彰後の高橋大輔選手のインタビューはとても品格があってよかった。失敗してしまった4回転をそれでも「はじめから跳ぶと決めていましたから」と、きっぱり言い切った。残念だけれど後悔はしていない、という事か。自分では納得できなかったと言いつつも、オリンピックでの銅メダルを誇りに思い、日本男子初の快挙というひとつの達成に自信を持つ。1年ちょっと前にはオリンピックに行けるかどうかも解らない暗闇にいた彼が、試練を乗り越えて手にしたメダルの重みは、他人にはとても量れない

プルシェンコ自身、3回のオリンピックに出場して、という結果は他の誰も寄せ付ける事のできない偉業だ。威厳を持って誇らしくしていればいいのに・・・あまりにアロガントな発言は、せっかくの彼の偉大な経歴さえも黒くしてしまう

残念な事・・!!