教授(坂本龍一氏)のコンサートに行ってきたRyuichi Sakamoto Playing The Piano 2009。今年の春から日本ではツアーを初めて、やっとやっとロンドンに辿り着いたという感じかな。今回のホールはスローン・スクエアーのCadogan Hall、Royal Festivalのような大きな会場ではない分、ピアノ演奏には丁度良い小屋。Wigmore Hallみたいな感じだ

とってもとってもデリケートな音の数々・・・坂本さんの曲は彼本人が弾いて初めて美しいんじゃないだろうか。もちろん作曲家として創った曲を提供するというのは仕事の一部ではあるだろうけれど、今回のピアノ曲を聞いて、一つ一つの音をどんなに細心の注意で奏でているかが伝わってきた

実は出だしはちょっと眠くなった。仕事が終わって南のスローン・スクエアーまで出るには時間ギリギリだった上に、バスを15分待ち、乗り替えの通路が遠回りになり、ナイツブリッジから歩いたのだけれど、出口を反対側に出てしまってさらに時間をロス、、、 電車内以外はまさに走り通して駆け込んだのだった・・・・もちろん何を食べるヒマも水を飲む間もなく。だから、ゆっくりゆっくりと静かなノイズで始まったコンサートの序盤はちょっとだるくなってしまった、、、 教授、ごめんなさい

全体の構成で思ったのは、、まず序盤ではピアノの音が出て来ない。「Playing the piano」とはよく言った!ピアノを弾くのではなくピアノでノイズを出す=play。そのかすかなノイズがバックの水音と重なって音階の無い音楽になっている。そして「ピアノの音が聞きたいよ〜〜!」と思い始めた頃にやっと教授が普通にピアノの前に座って鍵盤に指を置く。

やっと聴けたピアノの音にほっとして数曲を聞く。そしてまた気付く。これらの曲は和音なのだ。和音の連続でできている曲、その繰り返し、そのバリエーション・・・そうして数曲聞いているうちに、たまらなくメロディーが恋しくなる。そして、「お願い!ピアノでメロディーが聴きたいの、、、」と思い始めた頃に静かなメロディーの曲を弾き始めた

BTTBからの数曲をゆっくりと静かに、、、、一音一音がのようで、その形、膨らみ、強さ、跳ね具合、響き、、、、デリケートに一粒ずつ紡いでいく。同じ曲をCDでも以前のコンサートでも何度も聴いているのに、ピアノでしか出せない美しさだ。ピアノの音ってこんなに美しいんだ・・・ 坂本龍一という人は、こんなにも一粒のを愛してこだわっている音楽家なんだなあ〜と思いながら聴いていた。そしてそうするうちに、次の段階が恋しくなる、テンポだ。とてもゆっくりと美しく奏でているので、そろそろもう少しノリの良いテンポが欲しくなる

これってやっぱりそれを狙った構成だったんだろうか、、、まさにその通りに終盤から音とメロディーに今度はテンポが加わって盛り上げて行く。曲構成が抜群! 何度聴いても「Forbidden Colours」と「ラスト・エンペラーのテーマ」は名曲だね、、、終盤にはBehind the MaskLa Femme Chinoise、さらには千のナイフも披露してくれた〜!! 序盤に比べると、後半にいくにつれて観客の拍手の音がどんどん大きくなっていく

ノイズが音になり、和音になり、メロディーになって壮大な音楽になる・・・ピアノという楽器ひとつでできてしまう音楽の魔法だ。だから私はピアノが好きなのかもしれない。とてもとても美しいものを聴いた。

やっぱり私は教授のが大好きだ・・・


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