英王室のハリー王子の発言が物議をかもしている
チャールズ皇太子の第二王子であるハリーが、3年程前にパキスタン人の士官学校仲間を侮蔑の語であるパキと呼んでしまった事で、にわかに問題にされてしまった

パキスタン人を「パキ」、あるいは日本人を「ジャップ」と呼ぶのは、その語の意味としては侮蔑的であり差別用語とされている。英陸軍においては、女王陛下の名の元そうした差別的発言や言動はいっさい禁じられており、ましてや皇室メンバーである彼が実際に口にしてしまっているビデオが放映されたとあってはしめしがつかない。タブロイド紙のNews of the worldに掲載され、ビデオが公開されるや避難の的となってしまい、王子は報道されるや迅速に謝罪の声明を送った。

確かにPakiは差別用語だ。その言葉を使ってしまった事は軽卒であったとしか言いようが無いし、ましてやフィルムに残ってしまっているのだから言い訳のしようがない。これはもう謝罪するしかないというのは当然なのだけれど、私にはちょっと矛先が違うんじゃないかという気がしてならない

軍隊というちょっと特殊な集団の中では、一般とは違う、ハードな男達といったような言動を取る事はよくある事だという。今回のビデオもあくまでもプライベートなものだ。ビデオを通して観てみると解る。士官候補生だった彼等が演習の為にキプロスに移動する道中での事。空港で飛行機待ちの間にハリー王子自ら軍友とカメラを回して撮影しているものだ。その中で、毛布に包まって仮眠をとっている仲間を映し、「our little paki friend」と呼んでいる。でもその呼び方に侮蔑の意図は感じられない。使ってしまった言葉は間違いだけれど、けっして友人を貶めるような意味合いで発せられた語ではないのは明らかだ

軍隊に近い人達の意見でも、軍隊内では独特のニックネームのようなものがあり、一般にはかなり無礼に聞こえるようでも、仲間内ではあだ名として受け入れられている呼び方というのがあるものだという。ハリー王子自身も赤毛の事でジョークにされたりニックネームにされたりという事もあったという。ましてやこのフィルムは3年前のものだ

3年位前のハリー王子はこの他にも軽卒な言動でひんしゅくをかった事があった。パーティーにナチスの服装と腕章で出かけてしまって非難囂々浴びたりもした。けれどここ2−3年での彼の成長振りは多くの人々に好意的に受け止められてきた。9歳で両親が離婚、11歳で母を亡くしたこの王子は10代の頃は不安定な時期を過ごした。失語症になったり、未成年での飲酒やドラッグ等、父であるチャールズ皇太子や回りをやきもきさせた事件もいくつかあった。

けれどここ2−3年での彼の成長振りは顕著だ。今では亡きダイアナ妃の息子として、「容貌はウィリアム、性格はハリーに受け継がれている」との声が高い。去年のダイアナ妃の追悼10周年礼拝での彼のスピーチはそれをしっかりと示していた。3年前の時点では確かに軽卒だったかもしれないけれど、悪意があったかどうかという点では、ピントがずれている

今回公開されてしまったこのフィルムは明らかにプライベートなものだ。移動の途中で、空き時間に身近な仲間と一緒にフィルムを回して撮ったものだ。何故3年も経って、このフィルムがよりによって低俗タブロイド紙のNews Of The Worldになんか渡ってしまったのか、、、? 明らかに誰かが、それも王子に近い人物がビデオを売ったのだ。その事のほうが余程卑劣な行為ではないのか? 生死を共に、と一緒に軍隊生活を送った仲間の誰かがお金と引き換えに友情を裏切ったのだ。何故その事を誰も問わないのか・・・?!

迅速に謝罪する以外に彼に何ができただろう・・・もちろん軽卒な行為は反省しているだろうし、事の重大さを今さらながら実感しているはずだ。でも言葉の意図するものをちゃんと考えてみれば、悪意や侮蔑の意味が無かったのは明らかだ。実際、パキと呼ばれた当の兵士も、それがニックネームとして使われた事は承知しているし、王子とは良い友人関係だったという。わめいているのは当人達のもっと回りの政治団体だ。

この件で傷ついたのは誰よりもハリー王子自身じゃないだろうか。身近な誰かが彼を低俗新聞紙に売ったのだ。それでも国際的な避難を受け、謝罪しなくちゃいけない立場の彼にこれ以上何ができるだろう・・・? 陸軍では事の重大さは無視できず、軍の規定にそって調査が行われるという。規則は規則だからね

でもなんだかすごく気分が悪い。ちゃんと、ちゃんと見てみろよ!って叫びたい気分だ。


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