11月第2週の日曜日は、Remembrance Sundayといって、戦没者記念の日。もともとは第一次大戦の終った11月11日にちなんで始まったものらしいけど、今はこれまでのすべての戦争で亡くなった兵士(英雄)達を讃える行事だ。どの街にもエリア毎に戦没者記念碑があり、亡くなった人たちの名前が刻まれている。彼等はローカルヒーローなのだ。10月末の花火の時期が過ぎると、胸にポピーの花をつけている人たちを沢山見かけるようになる。「赤い羽」のように、街角や駅で小銭で買える。

私はどうしても、この戦争絡みの行事になると居心地の悪さを覚えずにはいられない。 この国で暮らすようになって、多分一番驚いたのが、「戦争に勝った国と負けた国は、こうも違うのか」という事だった。そう、イギリスは昔から戦争に負けた事がないのだ。ナポレオンだってイギリスを制覇する事はできなかったし、2つの世界大戦もそれ以降の紛争や戦争でも、敗戦国になった経験がない国なのだ。 Remembrance dayでは黙祷の間こそ厳かで沈痛な一時があるものの、全体の雰囲気はみんな誇りに満ちている。この「名もなき祖国の英雄達を称え、偲ぶ」という空気は、悲惨な原爆という最期で敗戦を迎えた日本の戦争に対する偲び方とは全く違う。

お昼に近くのイタリアンでピザを食べた後タウンセンターをうろついていたら、丁度パレードが始まった。このサービスとパレードは全国の確エリアで行われる。うちのほうはまだまだローカルな雰囲気のたっぷり残る郊外なので、道行く人たちも足を止めて、今は車椅子にのっている、かつてのベテラン兵士を拍手で送る。当時はまだ若く、ハンサムだっただろう老人達は、正装で胸にいくつもの勲章をつけ、鼓笛隊の音楽と共に誇らしげに進む。何故が思わず涙がでてしまった。

今さら私を見て「お前は日本人だろう、お前達のせいで戦争中は・・・」なんて事を言う人はいないけれど、やっぱり終戦記念とか、VJ(Victory over Japan)Dayとかっていう日には、私としてはきまりの悪い思いをしてしまう。 VJ Day50周年の時、テムズ川の周辺で大きなパレードがあった。あんまり深く考えない彼が「行こう」と言うので行ってみると、いかにも「日本軍と戦いました」みたいな退役軍人らしき人がいっぱいで、家族や友人に支えられ、または車椅子でやっぱり胸に勲章をいくつもつけて人々の拍手を受けていた。 その後はテムズ沿いで大花火大会。街ではラグタイム音楽のバンドが昔なつかしい曲を演奏し、「日本に勝った日から50年」を祝うその雰囲気にさすがに私は行った事を少し後悔した。 彼に言うと、「今さら気にする事ないよ、どうせあの凄い花火だって日本製なんだから」・・・・成る程、そんなもんかなあ〜〜??

日本では毎年終戦時になると、お涙頂戴もののドラマが作られ、「悲惨な出来事を忘れてはいけない」みたいな重重しい空気になる。日本の歴史の中で、戦争は悲しみであり、汚点であり、恥であり、みたいな?・・・もちろん「繰り返してはいけない」というメッセージは大切なのだけど、勝った国と負けた国でこうも人々の意識が違うとは・・・・勝てば英雄、とはこういう事なのだ。

さて、明日からはいよいよ家の修複工事だ。仕事から戻ってどんなになってるか怖い、、、でも仕方ない、2週間程の我慢だ。せめて今日はゆっくり寝よう。

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