8月だっていうのに長袖のスーツ着て、それでもバスを待つ間寒くて震えてるって、、、いったいどういう事よ!?ビチャビチャ雨だし・・・・今年は季節感がないなあ〜!「このままもうすぐクリスマスだね〜」なんて冗談で交わす会話も実は半分ちょっとは本気だったりして・・・

さて、竹野内豊さん繋がりで時折メールをもらう人から、「家族以来、もう丸一年観てない〜〜!」という嘆きの言葉と、来年公開の「明日への遺言」でナレーションを竹野内さんが担当した、という喜びの混ざったメールをいただき、「ふ〜む、、、竹野内豊でナレーションか」と考えた。 

良いかも、、!うん、結構良いかもしれないね。 声のトーンやペースにかなりこだわってる部分がドラマでも見えるし、ソフトな低音は芝居の妨げにならずにすう〜っと画面に入っていけるかも・・・・ ナレーションって、台詞をいうのとはまた違うんですよね。登場人物の独白という形のナレーションならまだ演技の一環で創れるけど、第三者としてのナレーションは入っていくのが難かしいし、そこは監督のこだわり方次第だと思うし・・・

映画監督や舞台演出家のこだわりって、回りからすると「何で?」って思う様な所に出て来る事もある。衣装の色だったり、セットの変わり具合だったり、この役者のこの一言だったり、、? 映像は舞台空間とちがって景色の可能性は無限だから、監督のこだわりでどうにでもなる。映像と音との兼ね合い、という意味からすると、ナレーションっていうのは映像を引き立ても、壊しもする・・・・

劇団時代の忘れられない出来事がある。劇団としてでなく、秋の芸術祭参加作品としてミュージカルを共同制作でやった時の事。 私は出演していなかったので、制作の手伝いでバタバタと動いていた。いよいよホールでのゲネプロになり、カーテンコールの段取りや音響のバランスの調整等、まさに最期の仕上げの段階になった。通し稽古の合間に劇団代表で演出のN氏が、「ああ、ちょっと」と私を呼び止めた。

N: 開演と終演のアナウンス、お前さんやってくれない?
私: ・・・客入れの場内アナウンスですか?
N: そう。開演前と、休憩入り、2幕の開演前と終演時の4バージョン、原稿作って見せてくれる?
私: はい、わかりました

まあよくある「本日は、誠にありがとうございます、、、、」というやつだ。 とりあえず、4バージョン作ってみる。「ご来場頂きまして」ではなく、「くださいまして」。「公演パンフレット」じゃなくて「プログラム」という風にいろいろ気を付けながらササッと書いて持って行った。持っていくと客席後部の音響ブースを指して、

N:音響さんにマイクセットしてもらって、ちょっと聞かせてくれ
私:ここで録るんですか、、?
N;いや、生でやりたいから。
私:(内心)へ?!生、、?場内アナウンスを毎回毎回、生でやるの??

多分この時にはN氏なりのこだわりがあったんだとは思う。で、回りでいろんな人達が忙しく立ち働いてる中、マイクを受け取って書いた原稿を読んだ。・・・と、いきなり駄目出し!

アナウンスは台詞の2倍くらいゆっくり。マイクはもっと口に近付けてボソボソと、、。息を使い過ぎると空気の音がマイクに入るから、息は細めに、其の分唇と舌を使って言葉をしっかりつぶ立てる・・・」といった事を独り言みたいにブツブツと言っている。 休憩入りのヴァージョンでは

私:「ただいまより、15分の休憩、、
N: 「た」の音が強過ぎても、高すぎても、今終った一幕が台無しになっちゃうからね。
私:(内心)ええ〜〜・・・台無しなんて、そんな・・!!

と、こんな調子ですべてのヴァージョンにしっかりとダメをくらった後、最期に
N:文章はそれでいいんじゃないか?
私:(内心)はあ〜、どうも・・・

それから毎回公演の度に4回ずつ、音響ブースでわずか10秒足らずの場内アナウンスに緊張した。 特に終演時。カーテンコールが終って、明かりが入り始めてきっかり5秒カウントしてから、今終った芝居を壊さない様に細心の注意で「これをもちまして・・・」と入る、、、なんなんだよ〜〜!?」と思いながらも、これも含めて一つの公演が創られているのだと実感した。他の公演ではアナウンスは録音だった事も多いのに、この時は、(その他にもいくつか)どうして生にしたのかはNさんでなくては判らない。

ほとんどの人は気付きもしなかったと思うけど、中には私が音響ブースでマイクを持っているのを見て、「へえ〜、生なんだ、、」という顔で見ていくお客さんも何人かいた。其の後、ラジオCMの仕事やプレゼン用のナレーションの仕事なんかをもらった時も、この時のダメ出しは頭の隅にいつもあった。

ナレーションは芝居じゃないって言ってしまう人もいるかもしれないけど、映画を創るプロセスのひとつとして、思いきりこだわれる部分には違いない。 竹野内さんの声は静かなトーンが耳に心地良いし、黒沢明監督の後継者として注目される小泉堯史監督の作品で、どんな歯車になって廻るんでしょうね・・・!

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