送ってもらったビデオの中に、観たいと思っていた「ひばり」の舞台中継があった。NHKで放映されたらしい。久しぶりのアヌイの「ひばり」。見始めたら止まらなくなってしまって、一気に観てしまった。

膨大な量の台詞劇だ。アヌイ、ジロドウ、ラシーヌといったフランス劇作家の古典的戯曲は、まさに台詞でできている。 今回の蜷川さんのシンプルな演出と、聞かせるキャスティングは大当たりだ。 台詞を語れる役者が集まった舞台は、まさに「聞く芝居」という感じだ。それがとても心地よく、面白い。

アヌイの作品は、内容は古典的なのだけれど、戯曲としてはちょっとソフトで聞き易い。「ひばり」に限らず、「アンチゴーヌ」や「ユリディス」もそうだ。台詞が膨大なのに、硬くない所が親しみ易い。もちろん翻訳された物しか解らないけれど・・・壌晴彦さん、磯部勉さん、品川徹さん、声と台詞のコントロールの上手さ! 松たか子さんのジャンヌは「いいだろうな」と思ってはいたけれど、やっぱりよかったね。彼女は声が良い。 舞台での声が鈴のように耳に届いて、崩れない。崩れないっていうのは、実はとても凄い事なんだよね。「オイル」を観た時にも思ったんだ。「良い声だな」って・・・・ 台詞で聞かせる芝居を堪能できました。そうだねえ〜、、、若手の役者達が、こういう芝居にキャスティングされる役者になって欲しいな〜と思うのです。声と台詞は役者の技術。磨いてください!

それにしてもこの公演は、蜷川さん、シンプルなセット以外は演出してないんじゃない?・・・・って思う位、役者の力量で出来上がってますね。 普段は「観る芝居」を創るのが蜷川さんなんだけど・・・・先週だったか、イギリスのFinancial Times(いわゆる経済新聞)に蜷川さんの記事が載っていて、(Barbicanでのコリオレイナスを前にインタビューしたらしい)欧州での芝居は、「聞くもの」だけれど、日本での芝居は「観るもの」だという大きな違いがあるという事を言っていたそうだ。 確かに、シェイクスピアにしても、アヌイ、ジロドウといったフランス劇にしても、台詞の量が桁違いだ。日本では、見た目にスピード感があって、衣装や舞台装置の色彩が豊かな物が人気がある。 そもそも蜷川幸雄さんが、日本を代表する演出家として、イギリスでも認められるようになったのは、その舞台の美しさだ。舞台芸術としての演出のセンスが、それまでの古典劇を一新するものだったからに他ならない。

そういえば、今日メールが届いていた。Amazon Japanからで、「ご注文の発送が完了しました」という。一瞬忘れていて、「何の事〜〜?」と思ったら、「オレステス」のDVDだった。 半年前に日本に行った時に、2度観てきたのだけれど、あの芝居の演出もかなり面白かった。「エ〜〜?」という人もいらっしゃるかもしれませんが、本当です。

ギリシャ劇は、はっきり言って面白くないのが普通だ。

現代風にしゃべれば10秒で済む事を延々とまわりくどい台詞で語る。 コロスとよばれるいわゆるコーラス達はなんだか無気味に場面を盛り上げるんだけど、キャラクターとしてはっきりしているわけではない。「オレステス」でも、ラストにゼウスが出て来てチャンチャン!っていう終わり方に、「何だあれは〜〜!」 という意見も多かったようだけど、あれは台本がそうなっているのであって、蜷川さんのせいじゃない。 ギリシャ劇はいくつも観たけど、「オイディプス王」にしても、「オレステス」にしても、蜷川さん演出の舞台は面白かった。大抵の舞台はお経を聞いているような感じで、退屈してしまう。

明日は「コリオレイナス」を観に行く。昨日が初日で、今日の新聞にはまだ評は出てなかったようだけど、明日あたり出るかなあ〜〜 藤原竜也君も初日を観たそうだ。そういえば、彼はセルマさんプロデュースの「Kean」を、わざわざ田舎町のMalvernまで観にいったそうだ。
Malvernといえば、ウェールズとの境近くで、いくつもの丘陵の続くMalvern Hillsがある。山歩きはしたのかな・・・・?

この芝居は5月下旬からロンドンに来る事になっているのに、わざわざ初日に観に行ったという事なのかな? イギリス人でも知らない人がいるような小さな田舎街なのにね。 そういえば、「エレファントマン」も小さなスタジオで再演してるけど、観にいったんだろうか・・・?ロンドンはやってる芝居を全部観ようと思ったら、それだけで数カ月経っちゃうからね〜

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