これは、、、なんですか・・・?

と思いながら、つい観てしまいました。チャン・ツイイーが好きなもので、、
それにしても何とまあ色彩の美しい画面だろう! まあ鈴木清順監督ですからね〜さすがです。

あれ、、、歌ってる。そうか、オペレッタだもんね。おまけに踊ってるよ〜、ミュージカルか・・?
ツイイーの身体の動きは本当に奇麗だ。 身体中にスキがない。これは「Crouching tiger Hidden dragon」でも、「The house of Flying daggers」でもそうだったけれど、’身体の動きを見せるプロ’だなあ〜。おまけに本当に可愛い! 身のこなしはオダギリさん、完全に負けてます。

それにしても、この色使いの衣装は確かに昔見た事がある。この絵,,,絵本だ。オダギリジョーさんの若侍姿、確かに昔見た本の中にあった絵と同じ。そうだ、桃太郎だ! あれ、、、一寸法師だったかな、、? まあどっちでも良いや。飛び出す絵本なんていうのが丁度私が子供の頃あったけれど、なんだか踊る絵本の実写版という感じです。

なんなんだこれは〜〜!と思いつつ、でもよく映画の創りを見てみると、かなり面白い撮り方をしてる。 がらさ城のシーンは、まるで舞台での演技をカメラに納めているような感じ。後で特典映像の「Making」を見てみると、成る程このシーンを撮ってるスタジオ、かなり広い。 舞台さながらの平さんの大見え芝居に、衣装が、メイクが、照明の色が見事に乗って行く。びるぜん婆の髪も、照明でパープルになってるあたり、センス良いなあ〜

CGが頼りの映画というのは、実際にスタジオで撮影をしている段階では、どんな絵になるのかは誰にもわからない。その絵が出来上がっているのは、おそらく監督の頭の中だけだ。どういう頭をしてるんだ〜!とスタッフの誰もが思ってるにちがいない、、!

薬師丸ひろ子さんの声が良い。歌も台詞も凛としていて、一番芝居らしい演技ができたのは、このおはぎ役だったかも。最近の薬師丸さんは、クドカンさんのドラマでも良い味だしてるし、(「木更津キャッツアイ」や「タイガー&ドラゴン」)「Always 3丁目の夕日」もすごく良かったし、40過ぎて光ってるね〜!タイミングなんだろうな。

特典に、ロンドンのICAでの監督へのインタビューがあった。けっこう長いけど、良いインタビューだ。酸素補給器をつけた監督の姿はちょっと痛痛しいけど、受け答えはしっかりしてるしユーモアたっぷりに面白い話をしてくださる。 戦後の混乱期に映画会社に監督として就職したものの、自分の思う様な映画など創れるはずもなく、会社が用意したものを言われた通りに撮るしかできなかった事。いろんな制約の中で前任者達が試みていないような映画を創るには、色の使い方などをかなり奇抜にしてみる必要があった事。このオペレッタ狸御殿は、監督にとって構想20年だったそうだ。

監督のお年と、身体のコンディションを考えると、もしかしたらこれが最後の作品になるかもしれない、、、なのにあえてこのばかばかしくも、訳のわからない、それでいてなんだか楽しくて、画面の絵がやたらと印象に残る映画を今になって創った鈴木監督の心意気が、なんだかとっても好きになってしまった。

唐の国から来た狸姫は、カタコトの日本語と中国語をしゃべっている。何故か、中国語の台詞に字幕が付いていない。英語のサブタイトルにもしてみたけれど、やっぱりない。映画の中で雨千代が「知らない言葉なのに解る」と言っていたから、なんとなく解った事にしてしまって良いのだろうか、、、? インタビューで、「何故狸姫が中国語を話すのか?」と聞かれた監督の答えは一言、「チャン・ツイイーさんは、中国の人ですからねえ」 なんでそんな事を聞くんだと言わんばかりの監督の飄々とした答えに笑いました。

DVDを返す前にもう一回みてみよう。これは何、、?と思って見始めた映画ですが、なんだか好きになってしまいそう。

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