Play without words を観るために次に藤原竜也君がやってきたのは、High Wycombeという街。ここまで来るともうロンドンとは違うイギリスらしい街の雰囲気がわかるはず。 このあたりからロンドンまで通勤してる人達は、通勤に時間をかけてでも、仕事を離れた自分の生活の場を確保したいというイギリス人達だ。ちなみにロンドン市内に住んでいる75%は外国人で、EUの加盟国が増えるつれて、どんどん増加している。

High Wycombeという街は面白い伝統がある。毎年市長が選ばれて、一年間の市政をとる。任期の初めに中世からの衣装で計りに乗って体重が計られる。(写真) 翌年、任期を離れる時にも同様に体重が計られ、もし増えていたら、市民が汗水流して支払う税金で肥え太ったとみなされ、罵倒されてトマトや腐った果物を投げつけられるのだ。こんなユーモアはイギリスらしい。

さて、出演者のRichardとSamに会うために劇場にやってきた竜也君。「緊張する〜」といいながらも、ピリピリした表情ではなく、内心わくわくしているのが解る。むしろ内心「どんな奴がくるんだ?」と構えていたのは、Richard達のほうだったろう。「Barbicanで15才の時デビューした日本の俳優で、21才でハムレットを演って日本の演劇賞を総ナメにした」位のインフォーメーションは聞いていただろうから・・・握手をした時のちょっと探るような視線、、、


初めに2人の歳を聞き、「一緒だ〜〜!」とちょっと「やられた、、」ムードの竜也君。あれ?本当はこの時はまだ21だったはずだけど・・・・?まあ、1ヶ月くらいサバよんでも良いか!
で、この後の会話で、竜也君は2人の中にするっと溶け込んでしまう。最初の質問が「リハーサルはどれくらい?」この質問、まさに大当たり。余計な自己紹介や挨拶はどうでも良くて、「僕も舞台に立つ人間として、君たちのステージに興味があるんだけど」という意志がこの一言につまってる。これ以降、イギリス人ダンサーの2人が一気に打ち解けてきたのが解る。

21には見えないぜ、、、と思わせる子供のようなキラキラした笑顔の後で、話をするうちに、どんどん真剣な目で相手をまっすぐに見つめて話を聞く竜也君。 彼の表情の変化は当然2人のダンサーにも解ったはずだ。前にも書いたように、イギリス人はシニカルだ。気に入らないと、ジョークとみせかけて嫌みを言う。下手をすると、「日本の役者が、こんなテレビカメラ連れて何しにきたんだ?」といった扱いをされかねない。ところが藤原君は人と会って話をすると、愛されてしまう。

ロンドンでのThelmaさんとの再会でもそうだ。イギリス人は身体に触れられるのを嫌う。余程親しくないと、抱き合ったり、挨拶のキスをしたりしない。(ここが、他のヨーロッパの人達と大きく違う)会うなり、両手を広げてしっかりと竜也君を抱きしめたThelmaさん、「ああ、愛されてるな」と思って嬉しかった。

そして、その愛すべき才能は、鬼才、Matthew Bourneとのインタビューでも同じ。「さあて、インタビューだね」と、ちょっと威厳を見せながら舞台にやってきたマシュー。 彼もまた、「何だ、どんな奴が来たんだ」と内心思っていたはず。そして竜也君の最初の一言、「今日はお忙しい中、ありがとうございます」

ちょっとMatthewの腕に軽く触れながら言うと、一瞬Matthewが、「何だ?こいつは」という目をするのだけど、次に通訳さんの言葉を聞いて、ふっと表情がなごむ。続けて竜也君に「日本のファンもみんな楽しみにしています」と言われた日には、もう嬉しくなってしまって顔がくずれている。(Matthew Bourneってゲイかな、、 まあいいや)この後は、すっかり「お前、可愛い奴だな」といった調子で対等に話をしている。

これは、演技以上の藤原竜也の才能かもしれない・・・・・確か三谷幸喜さんもどこかで言っていた。「相手の中にするっと入り込んで、回りがみんな彼を好きになってしまう。」って。
お世辞や気を使っての事じゃなくて、ごく自然に、本当にするっとできてしまう。

人に対して警戒心を見せないからだろうか。初対面ではまず警戒心を持って接するイギリス人にとって、虚をつかれたようなキャラクターだったに違いない。

Stratfordに行ってからの竜也君は、「聖地」でも訪れたかのような感慨深げな表情で、奇麗な町並みを楽しんでいる。Holy trinity Churchでは、「ここ、お薦めです」って言っていたけど、大丈夫。どのガイドブックにも載ってますって!Stratfordを訪れた人は、みんなここに来ますよ〜

最後にRSTの建物をじいっと見つめていた目が、印象的。まだまだ広い世界のほんの一角を覗いただけなのに、その広さ、大きさをちゃんと解っている目。
ずうっと上に昇り続けるだけなんてあり得ない。停滞や下降もあって、続いていくのがキャリアだ。でも、続けて行く事が一番大切。また別の顔で、イギリスの舞台にも来て欲しい。


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