夏頃から少しずつVCDやDVDで観比べていた竹野内豊シリーズも、ほとんどの作品が観られた。

よく、「役者同士の相性なんて言い方をするけれど、スクリーンの中、あるいは舞台の上で、相手役との間に行き来するケミストリーが見えるような組み合わせは、演技としてすごく説得力を持つと思う。

台詞の掛け合いのテンポとか、間の取り方とか、そういう事ではなくて、相手の言葉(台詞)をしっかり聞いて受け止め、そしてそれに対して自分の言葉(台詞)を相手にきちんとに届かせる という作業?

演技の練習ではよく「ちゃんと相手の台詞をきいてろよ!」「相手の動きや表情をちゃんと見ろよ!」なんて事を何百回も怒鳴られたりするけれど、これが本当に上手い役者って、案外少ないと思う。

竹野内さんは、それがすごく自然にできる役者だな(=になったなあ)と思った。
「氷の世界」までと、その1年後の「真夏のメリークリスマス」で、演技の深さがまるで違っているのは、彼にとっての転換期だったんだろうか・・・?

「真夏の、、、」での中谷美紀さんとの相性は絶品だったなあ〜。 二人の間にオーラが行き来してる。 画面いっぱいに愛が溢れてて、二人の気持ちが心に響いてくるようだ。泣けるよね〜

彼が自分の役を、深く掘り下げて演じているのが良く解る。その深さが、けっこう尋常じゃないかもしれない。台本に書いてあるのか、演出家の指示なのか、役者自身の演技なのかは、出来上がったものを観ているだけの視聴者には解らないけれど、「なるほど、、」と思う説得力のあるシーンがいくつもある。

私の中で、すごく好きなのは、「真夏の、、」で、ずっとずっと、悲しくてもぎゅっと唇をかんで涙を押し戻していた涼兄ちゃんが、最期の最期に「兄妹じゃない」と解った時に、初めて顔を両手で覆ってボロ泣きする所。
あと、「サイコドクター」の最期の「お父さん」の一言。観ながら、この一言を何時言うか、どんな風に言うか・・・と思ってた。 「輪舞曲」でのジウさんとの相性も良かったな。ジウさんは、「プロだなあ〜」と思いましたよ。

竹野内さんの演技は決して自己主張をしていない。

もちろん主役が多いのだけれど、いつも相手役をしっかりと見て、受け止めている。そして自分の役を素直に相手に返している。この、静かだけれど決してはずさないキャッチボールのような演技は、実はやろうとすると、かなり難しい。 そしてそのキャッチボールは、主役じゃない場面でも変らない。だから、どんな役でも場面でも、安定感があるんじゃないかな。

大体にして、役者なんて人種は自己主張したがるもので、また、しなくちゃいけない部分も沢山あるのだけれど、竹野内さんの芝居は、各々の役で、ひとつひとつの全く違う人生を見せてくれる。

俳優・竹野内豊が出しゃばっていない。だから、「失敗の演技」があまりないんだね。「竹野内にあの役は失敗だったね」と言われるような事がほとんどない。  視聴率とか業界にとって必要な評価は別の話です。

もしかして、普段から回りの人とかもあんな風に観てるんだろうか・・・?  役を掘り下げる作業っていうのは、オタクに似た部分があると思う。 台本を読みながら、その人物の仕草、話し方、笑い方、怒り方、、、そういったものを、ああでもない、いやこうじゃないか、、とひとつひとつ創っていく作業は、正解が用意されていないからきりがない。 でもそこをちゃんと創っておかないと、観ている側に伝わらない、、、、
やっぱりオタクじゃないと、役者はやれないって事かあ〜?!

一つ、私の中で定義付いてる事。それは、、、

良い芝居のできる人は、車の運転も上手いはず。

芝居勘の良さっていうのは、運転の勘の良さと同種のものなんだよね。
免許取った時に痛感しました。





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