大変な事になってる。
つい数日前までは、「元ロシアの保安庁スパイで、イギリスに亡命した元中佐が、どうやら毒殺が目的の中毒症状で入院している」という事件だったのが、今日になって、「プーチン政権による暗殺、国際的政治批判?」になっている。

事の起こりは11月1日。元ロシア保安庁中佐で、スパイとして活動していた事のあるアレクサンドル・リトヴィネンコ氏が、中毒症状で北ロンドンの病院に入院。

リトヴィネンコ氏は、元ロシア保安庁のメンバーで、プーチン政権を強く批判したため、6年前からイギリスに亡命していた。
先月モスクワで暗殺された、同じように反プーチン政権の女性ジャーナリストの死の真相を解明すべく、資料を集めていたそうだ。

1日、元KGBの職員だったロシア人2名とロンドン中心地のホテルで会い、 その後、ピカデリーの寿司Bar(最近あちこちに進出してきた、カジュアルな日本食もどきのレストラン)で、イタリア人ジャーナリストと会っている。 この際、このイタリア人ジャーナリストから、リトヴィネンコ氏本人と、彼の友人の名前も含まれた「プーチン政権による暗殺予定リスト」を見せられて警告される。

その数時間後、体調の不良を訴え、北ロンドンのバーネット総合病院に入院。

その後、ロンドン大学病院に転院し、毒物による中毒の疑いで治療を受けるが、21日頃から容態が急激に悪化。
この頃からニュースで「元ロシア保安庁のスパイが、毒物を飲まされた疑いで入院中、薬物の解明は今だされていない」といった情報が出回り、人々の関心を集める。容態悪化に伴って、プーチン政権との関連が囁かれるものの、毒物の解明がされないため、「このまま亡くなっても、うやむやにされるのかな」と思っていたら、24日にとうとう亡くなった事で、事態は一転。

亡くなって一夜明け、リトヴィネンコ氏が死を前にした床で書いた声明文が、友人によって読み上げられた。
3週間にわたる苦痛の末に、自身の死を悟った同氏が、はっきりと、この毒殺の黒幕として、現ロシア大統領のプーチン氏を名指しで批判しているのだ。
おまけに、氏の体内から多量のポロニウム(サリンなんかよりもずっと毒性の強い放射性物質で、入手は非常に困難、且つ入手ルートはごく限られるという物)が検出された事で、一気に「暗殺」の色が濃くなってきた。

イギリスにとってこの事件が複雑な色を持つのは、単に「毒殺/暗殺事件」というだけではない。
6年前にイギリスに亡命してきたリトヴィネンコ氏は今は英国籍を正式に取得した英国民だ。

つまりこの事件は「英国市民が、英国内において、何者かにより非常に毒性の強い、かつ入手困難な放射線物質により毒殺された。さらに被害者本人が、死を前にして、現ロシア大統領をその暗殺の黒幕として名指しで非難している」という、国際政治問題に発展してしまった事だ。下手をすると両国間の国際関係にも大きく影響する。

今の所イギリス政府は、事件の解明を警察の手にゆだねているけれど、この事件、どんな落ちになるのかすごく興味深い。 一亡命者の死が、謎のままうやむやになってしまうのか、国際的世論も巻き込んだ大問題として提示されるのか・・・・??

まさに、事実は小説よりも奇なり、だ。
残された奥様と12歳と息子さんが、真実を手に入れられるよう節に祈ります。

真実は、、、、明らかにされない場合が多い。それは私も経験している事だから・・・・・