なんだかこの3日間、夜になるとサーバーの具合が悪くて異常にネットが遅いけど、週末だけで元に戻ってくれるのかしら、、?なんのメンテナンスの連絡もないし。夜にならなうちに更新してしまおう

先月里帰りした時に観て来た、藤原竜也君の「オレステス」がやっと終盤らしい。 ずぶぬれになって重い感情表現を維持しつつ、肉体的にもかなりの負担になるだろう舞台なので、出演者の疲労はかなりなんじゃないかなあ〜 でも私には、今まで観たギリシャ悲劇と名のつく舞台の中で、一番面白かった あと2日、どうかどうか怪我をしませんように・・・・

 藤原竜也君は、「近代能楽集」を観て こいつは化け物か、、と激しくショックを受けて以来、「ず〜とどんな役者になるかを観続けて行きたい」と思った役者だ。「天才」と呼ばれる人が確かにいるとすれば、私は大竹しのぶさん以来の天才じゃないかと思った。
なんていうのかな、うまく表現できないけれど、「役者になりたい」と思って日々頑張っていた時代のあった自分としては、「こんな子がいるなんて、不公平だと嫉妬にも似た気持ちだった。

何年も努力を惜しまずに訓練して、毎日稽古して、頭には浮かんでいるのに、どうしても表現できなくて、大勢の役者達が苦しんでいる事が、ふわっとできてしまう・・・ 蜷川さんと出会って10年の間に、舞台で得た評価は言うまでもないけれど、むしろこれからが正念場だろうな。天性の勘で独特の表現ができた10代は過ぎ、10年キャリアの役者としてこれからもっと伸びていかなくちゃいけないのは、苦しいよ。
私が本当に後悔してるのは、彼のデビュー舞台、「身毒丸」のロンドン公演に行かなかかった事。

公演の事は知ってた。ちらしを観て、「え?蜷川さんが寺山作品、、藤原竜也 誰?知らないな」と思ってた。いつもなら絶対に行くはずだったのだけど、当時、私は職場を変ったばかりで、しかも誘われて立ち上げ、という形だったのでとにかく毎日忙しく、7時からの公演に行ける状態じゃなかった。 で、「う〜ん、まあ今回は仕方ない、パスだ」と軽い気持ちで 行かなかった あの公演の事は、本当に一生の不覚としか言い様が無い

映画、「Battle Royale」のDVDに入っているメーキング映像の中に、深作監督がちょっとダメ出しをして撮り直す場面があった。親友が死んだ事を知った典子が「めぐみ・・!」と泣いてしまう所で、多分台本は、

 典子:めぐみ・・・(泣き伏す)
 秋也:ここは禁止エリアになる、もっと南に行こう

ってなってたんだろうけど、監督から、「典子が泣き出してしまった事に対して、何かくれよ、受け止めてやってくれ」という指示が出た。で、ちょっと考えた竜也君が次にやった芝居をみた時、私は思わず「うそだ〜〜!」って叫んでた。

彼の演技、、、何の動作もしてない。ハッと身体を引くとか、肩に手をかけようとするとか、そういった動きはいっさい付け加える事なく、泣き伏した典子をほんの一瞬だけ見て次の台詞を言うんだけど、その一瞬の間に、ちゃんと受け止めたのが見えた、、、、、、

  もちろん天才少年も年齢を重ねると10代の透明感は薄れていく。俳優としての技術を磨かないと柔軟な芝居ができないし、それに何よりも、人としての引き出しを沢山を作っていかなくては、人間を、人生を演じられない。 辛口なダメ出しをすると、私は彼の滑舌で、鼻濁音と無声音ができないのが、ものすご〜〜〜く気になる、、、「戦国自衛隊」での「出陣〜!」という台詞は耳を塞ぎたかったし、ハムレットでもロミオでも、芝居が素晴しいだけに、鼻濁音と無声音がきいてないのが耳障りになってしまった

でも彼の事はずっと役者として観続けたい。 またロンドンにも来てくれると信じてるし、日本での舞台はさすがにいつもは行かれないけれど、里帰りを合わせられる時はなるべくそうしたい。それにしても役者の素質のみならず、あの天性の愛されキャラは特異だよね〜〜