見つけもの @ そこかしこ

ちょっと見つけて嬉しい事、そこら辺にあって感動したもの、大好きなもの、沢山あるよね。

March 2020


何と!!ロックダウンで1日家にいるというのに、テレビが突然死んだ!!
夜、普通に観ていていきなりフッと真っ暗になってしまってそれっきり、、、、、うちの彼はエレクトリシャンで、ホテルのメンテナンスも20年近くやっていたからテレビのチェックも慣れている、が、!どうやら単にケーブルやヒューズではなくてトランスミッターに原因がありそうだと言う。「それって直せるの?って言うより、直す価値あるの?」と聞くと、「あんまりないかも」とのことなので、ここは仕方がない、、、新調するしかなさそうだ。

この休職時に何でこうなるかなあ〜〜!!??お給料8割分しか出ないんだよ〜〜!! 


まあ我が家のテレビはほとんどうちの彼用で、私はマックでネットしたりする方多いのだけれど。日本のテレビで今まで見られなかった舞台中継の様な番組が沢山観られるのが嬉しい。昨日観たのは三谷幸喜氏の「日本の歴史」、オリジナルミュージカル。

自分が劇団で芝居をやっていた当時は、「毎日がミュージカル!!」だった。実際に上演していたし、毎日が歌って踊っての日々で、そもそもロンドンに来たのだって、当時の劇場・ミュージカルといえばもうロンドンが世界最高の地だったからだ。 でも不思議なことに、最近はミュージカルをほとんど観なくなった。もちろん好きなのだけれど、「ミュージカル=歌って踊る」という手法を使わないストレートな芝居の方が面白くて、もう何年も観る作品はミュージカルではなく芝居が中心だ。なぜなんだろう、、、歳をとったと言うことか、、、??

何より日本語での翻訳ミュージカルにものすごく違和感を覚える様になった。やっぱり原語で観たものを、何かで日本語訳されてるのを聞くとすごく変に聞こえる。「日本の歴史」がミュージカルと知って「うまく入っていかれるかな」とも思ったけれど、以前観た「オケピ!」は素晴らしく面白かったし、三谷さんなのでそこは間違い無いかな、と期待しつつ観た。

でも心配は無用だった。やっぱりオリジナルはしっくり来るのだね。翻訳して音ハメしようとするから変に聞こえるので、初めから本に合わせて書かれた音楽と歌詞は心配しなくても生き生きと聞こえてきた。

いや〜〜、驚いた!まあ三谷さんだからつまらないものは書かないと思ったけれど、「日本の歴史」とタイトルしてあんな構成にするとは!
まず、これは絶対にミュージカルでなくてはできない。本が成り立たない芝居だ。ミュージカルだからこそ、3−4分の歌と踊りで何十年間を表せる。

何と言ってもたった7人の役者たちが持ち回りで全62役を演じている面白さ。中井貴一さんが今まで見たことのない姿で歌い踊っている!場面場面が寸劇の様で、7人の役者たちの芸達者ぶりに笑いが止まらない。皆さん、本当に楽しそうに生き生きと演じているのがよく判る。

数曲のメロディーが何度も何度も繰り返して使われ、それが歴史の繰り返しの象徴の様に耳に残る。そして何と言っても三谷さんの筆の妙は、歴史に合わせて一家族の物語が並行して綴られていくことだ。歴史の流れの中で、普通に人間が持つ様々な感情、迷いや喜び、悲しみや夢、争いや権力、それらは実は私たちの人生に全て凝縮されている。そして
すっとびの歴史でかいつまんである部分も、よく知られた史実と共に、全く聞いたことのなかった様な人物にまで焦点を当てているのが三谷幸喜さんらしい。

綿密に作られているので唸ってしまう。ミュージカルでなければ作れないストーリーを、日本の歴史とテキサス開拓時代の一家という二重構成で長い歴史を人生の繰り返しに見事に重ね合わせている。

芝居はエンターテイメント、小難しくなくて良いのだ。私は結構重いテーマの芝居も個人としては好きなのだが、やっぱり三谷さんの舞台は、「面白い!」の感想一言でスッキリする。キャスティングが素晴らしいね。歌唱力では女性陣が男性陣を少し上回っていたと思うけれど、芝居、歌、ちょっと踊り、と7人の役者たちのバランスが良くてさすがは当て書き。やっぱりあて書きに勝る本はない。「それをこの人にやらせるか?!」と思う様な事を書いてしまうのが三谷幸喜の魅力。そしてそれに挑戦した役者がまた一味違う顔を持つことに成功するのも。この芝居は一人6-7役をこなしているので、役者の芸の広さに思わず拍手を送りたくなる。

元々ミュージカルは海外からの輸入物から始まった様なもので、私の劇団時代もオリジナルのミュージカルをやっている劇団は本当に少なかったし、「東京キッドブラザーズ」とかが人気があったけれど、どうしても小劇団の「一部マイナー」な粋を出ていない時代だった。だから日本語のセリフのリズム、テンポにちゃんとハマる音楽での一流クオリティーなオリジナルミュージカルが欲しいと思っていた。

日本のオリジナルだって面白いミュージカルになるじゃないの!!

三谷さんは再来年のNHK大河の本を手がける事が既に決まっているそうだ。小栗旬さんの北条義時で、鎌倉幕府時代の話だとか。大河の本ももう3本目、凄いなあ〜。

日本のオリジナルの良い芝居がどんどん出てくる時代になったんだなあ〜と思わずにいられない。私ももう少し頻繁に日本に行かれれば色々と見たいなと思うものもあるんだけれど、、、、まあこればっかりは仕方ない。仕事をリタイヤするまでは我慢して頑張るしかないよね。

現在はロンドンの劇場は全て閉まっている。もちろん映画館やレストラン、カフェでさえ、、、、中には映像でネット配信してくれる芝居も結構あり、普段よりももっとたくさんいろんな芝居を観られる様だ。もちろん舞台は舞台・劇場で見たいけれど、とにかくこのコロナ騒ぎが何とかなってくれるまでは致し方ない。それでもネットとテレビ(新しいのがきたら)があれば、少なくとも退屈はしなくて済みそうだ。



 


とうとうイギリスはロックダウン。仕事も「臨時解雇」状態で、政府が保証した給料の80%でこれからやっていかなくては、、、とはいってもどこへ出かけるわけではないので、切り詰めればギリギリ何とかなるかな〜、、、??

多少のお金を払ってダウンロードした日本のテレビだけれど、普段はなかなか元が取れるほど観られない。今回の3週間(多分もっと伸びるとは思うけれど)は観まくる良い機会だ。

映画チャンネルなんかもあるので連日チェックするとして、昨日はアマゾンのプライムで気になっていた映画を見つけた。「Love Hotelに於ける情事とPlanの涯て」(私は日本とイギリス両方のアマゾンに登録している)

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この映画は三上博史さんの本当に久しぶりの映画だ。チラッと予告編を観た意外に聞いていたのは、長回しで撮影した、という事だけで、監督の事も私は知らなかった。

まず、すぐに「舞台劇のようだ」と思った。なるほど長回しで撮っているし、場面は1室内なので、十分舞台でも成り立つ。芝居のテンポにも緩急があって、話の転換がそのまま場面の転換のように進んでいく。然もありなん、監督の宅間孝行さんは劇団主催者で、本も書き、自身も役者だという。納得!映画監督は初だそうだ。

主な登場人物は4人(プラス二人)。昼間からデリヘル嬢とホテルにしけ込んでいるクズ刑事の間宮。彼は本気なんだということを言って聞かせるが、逆にデリヘル嬢からはゆすり同然にせびられている。そこへ間宮の妻で同じく警官のしおりが踏み込んでる。すったもんだでパニックになった間宮はデリヘル愛人を銃で売ってしまい、死体処理にヤクの売人で中国から逃げてきた男を呼び出す。死体を始末しようとしたところに、デリヘルのマネージャーが「うちの子が仕事終了時間になっても連絡がない」とやってきて、、、

間宮を中心に全員に弱みがあり、その弱みに付け込む強弱の関係がコロコロと変わる。さっきまで勝気に脅していたキャラが一変して許しを乞う側に、、、そして思いもかけない展開。興奮と静寂、ダラダラと緊迫感、ちょっとエロチックでコメディーなおしゃれな本だ。

さすがは長回し、役者達の集中が本当に舞台劇のようだ。三上さんのこんなキャラも結構珍しいかもしれない。大袈裟ではなく、それでいて相変わらずちょっとエキセントリック、やっぱり脚本を書いてもらうというのは役者にとって一番の強みだ。(「渦が森団地」でも思ったこと)バックの中にカメラが仕込まれていて、バッグを別の位置に置くことで視点を変え、密室の中で場面転換をつける、というのも面白い。意図してか、ずれたのか、途中の緊迫したやり取りで二人の顔が画面から切れていて見えない、という場面があった。でもちょっと下から体や手を写すことで、緊迫感が伝わってくる。演じている役者の台詞のテンポも息遣いが見えるようだ。

全員クズのようなキャラクター、でも最後にはそれが穏やかな幸せを求めての事だったのか、、、と思った矢先のラストはまさに「え、、、??!!」だった!因果応報というのか、全員が報いを受けている、という本の構成が面白い。

これ、舞台でも観てみたいなあ〜〜。でも逆にこの手法で撮ったからこその面白さなのかな。途中で、立ち位置が見えなくても姿が鏡に映っていたり、カメラの位置もかなり計算されている。

そしてやっぱり私の大好きな三上さん。舞台らしい役者としての三上さんを観られる機会は本当に少ないので、嬉しい限り。 アクが強すぎてもしらけるし、ちょっと崩れた刑事役(いや、クズ野郎か、、)の三上さんは今回は彼としてはナチュラルだ。一発撮りの中にどれだけのこだわりがあるのだろうか。クズ女の酒井若菜さんも私には新鮮だった。酒井さんのこんな役は見たことがなかったので。デリヘル嬢も役の売人も何ていうか、身体張って演技してるのが伝わってきて、チームワークの強さが支えている。

監督の宅間さんはむしろ役者としての方が知られているそうだけれど、 役者だからこそわかる、という部分を十分に使っている作りだと思う。ブロックバスターな映画ではないけれど、私はこういう作品が大好きだ。後から考えて、「ああ、伏線があったのか」と気がついたりする。舞台劇だったらもう一度見直すという事はできないので、いつも一発感想を大事にしているのだけれど、これはしばらくしてからもう一度見てみるとまた発見があるのかもしれない。

クズにはクズの結末が、、、という感じで、優位と劣勢がコロコロと入れ替わってのラストの0.1秒が本当に効いている。宅間孝行さん、面白い作品を作る人が日本にも出てきたな、と「渦が森団地、、、」の時にも思ったのだけれど、機会があったら舞台も見てみたい。


楽しみにしていたフィギュアスケートの世界選手権も中止になり、今季最初のF1レースも高校野球も、サッカーも、コンサートやイベントが次々と中止になった週末、でもこれからがもっと大変になっていく。

私たちは戦争を知らない世代だ。だから意に反して自分の生活習慣を変えて我慢しなくてはならない状況というものに慣れていない。コロナウィルスが全世界に広がってから、各々の国の対処の仕方も違って、毎日の動きで日々変わる。イタリアやスペインは既に医療制度が崩壊状態で、全国ロックダウンになってしまった。そうかと思ったらほんの3日ほどの間に、ヨーロッパ中があちこちで閉まり出した。

イギリスでは首相のボリス•ジョンソンは科学者・医療科学者の意見を参考にしながら、なんとかNHSの医療制度がパンクしないように慎重に進めている。実はこのやり方は序盤の功を成して、他のヨーロッパの国に比べると感染の進みが遅い。それでもおそらくイタリアから3−4週間くらいの遅れで、時間の問題だと言われている。

毎日ジョンソン首相、ボリスのアップデートがあるのだが、今週からは少し規制がかかり始めた。やはり週末の間に感染数と死者数が急増したので、「次のステージに戦略を移行する」ことにした模様。それによると、
「この週末からは70歳以上の高齢者は向こう12週間家から出ないように」
「家族の中にコロナによる症状を出した人がいたら、家族全員が14日間は家から出ないように」
「パブ、レストラン、劇場・映画館等に行かないように」
等のアドバイスが出され、お年寄りはみんな大慌てになっている。発熱と咳の症状が少しでもある人は7日間は外に出ないようにというのは先週と同じ。家での静養で症状が手に負えないくらい悪化したら111に電話をかけて指示を仰ぎ、自分で医者や病院には行かないように」というのも徹底するように言われている。

70過ぎと言っても普段は元気な人が多い。働く両親の代わりに孫の面倒をみたり、グループ活動で友好の場を広げている人も多い。まだまだ元気なのに、いきなり12週間も外に出るな、と言われても、、、である。ただ、70位上の人たちは、戦争・戦後を経験している。こういう非常時にみんなが連帯して乗り越えるという事をよくわかっている世代だ。スペインとかでも、むしろ無知でおめでたい若い世代の方が、忠告を無視して飲み歩いたりしているらしい。

このお告げを受けて、ウエストエンドの劇場が閉まりだした。パブやレストランも、、、ただ、この状態では経済的なダメージが大きすぎる。これが政府の指示で「閉めなさい」と言われたのであれば保険でお金が下りるのだそうだ。でも今の状態だと、「劇場やレストランに行かないように」と人々に呼びかけただけで、=商売にならないという事なのだが、閉めるのは企業側の決断なので保険金が出ないのだとか。そうか、それでフィギュアの世界選手権をISUがギリギリまで「やる」と言っていて、ケベック州から「中止」と言われるのを待っていたのかな。「決定が遅い」という声もあったけれど。

それでもまだイギリスでは学校は一応閉鎖になっていない。科学者からのアドバイスによると、同じ人たちだけが集まる学校を閉鎖しても感染予防には大きな効果はないとのこと、やっぱり不特定多数の人が来る場所、というのが危ないんだね。まあもう少しでイースター休みに入るから、感染の危険がなければ学校はそれまでなんとか持たせようということだ。うちの近所でも学校によっては感染者と接触があったりした場合は個々に閉鎖している。そういえば朝のバスもいつもより学生達の数が少なかった。

ヨーロッパ(大陸)はもっと大変で、EU諸国はとうとう国境閉鎖に追い込まれたようだ。まあイギリスは1月にEUを抜けたし、元々行き来自由のシェンジェン協定には入ってなかったのだけれど、今回に至っては流石にEU内でも線引きをしないとまずいという事態になってしまった。

パニック買い(英語ではStockpiling)でトイレットペーパーや石鹸はあっという間にスーパーから姿を消し、ハンドジェル、掃除用のスプレー等の棚はもぬけのからだ。それでも少しずつストックは出ているようなので、タイミングが良ければ買うことができる。(朝一がやっぱり狙いのよう)うちは二人だけだし、それほど買い込む事はしないけれど、もし全国ロックダウンになったら、と思うと少し余計に買っておくに越したことはないね。

食べ物はまあ、小麦粉があればパンも焼けるし、乾燥パスタはとっくにスーパーから消えているので、生パスタを買って冷凍庫へ。週末に久しぶりでピカデリーに出たので、お米とふりかけを買ってきた。これがあればとりあえずは何とかなるから。

今日、サッカーのユーロ杯が来年に延期になることが決まった。4年に一度のW杯に次ぐフットボールの大イベントが延期になったことで、東京オリンピックもますます危なくなってきたと言わざるを得ない。
「やります」なんて言っていられる状況じゃないと思うのだが、日本のトップは決められないんだね。もうすぐ聖火リレーも始まる、、、ギリシャでは中止にした。どうするのか、、、??

と、書いたところで、びっくりの訃報!!アイスダンスのクリス•リードさんが亡くなったそうだ。びっくり、、、まだ30歳で競技引退したばかり。これから日本のアイスダンスを盛り上げていってくれる立場の人だったのに、まだ若いのに、どうなるの、、、、日本に来る矢先のことだったそうで、荷物も送り、コロナ騒ぎでフライトの様子をみていたようだ。高橋•村元組はじめ、ジュニアの歌真や、もっと若いこれからのアイスダンスチームを引っ張り上げてくれる存在の人だったのに。

そういえば、ロシアのペアだったセルゲイ•グリンコフ氏も突然リンクで倒れてそのまま亡くなってしまったっけ。鍛えられたアスリートが突然の心臓障害で亡くなるなんて信じられなかったけれど、今回も似たような症例のようだ。どうしてそんなに突然に、、!?コロナどころか、思いもしないところからやってくるんだね。キャシーさんやご家族の無念の思いはどれほどか、、、

だから、コロナももちろんだけれど、もしかしたら明日車にはねられるかもしれないという事を覚えておかなくてはね。トイレットペーパーを山盛り買い込んだところで、明日死んだら意味ないのよ。今できることを精一杯やる、それが一番。
あれ?誰か最近似たような事言ってなかった、、?宇野昌磨くん?






日本のテレビを見られるアプリを入れて一番嬉しいのは、地上波でないチャンネルも入っていること。昔からWOWOWで収録・放映される舞台作品は「ああ、観たい!」と思うものがいくつもあった。もちろん舞台は舞台で観るのが一番で、それは私の中でも絶対なのだけれど、観に行かれない時には最近増えてきたTheatre Liveが頼りだ。 

「渦が森団地の眠れない子たち」の公演に関して聞いていたのは、藤原竜也さんと鈴木亮平さんのダブル主演で小学生を演じる、という事だけだった。
実は鈴木亮平さんの事は私は「精霊の守り人」で観るまで知らなかった。日本にいない身なので勘弁していただきたいのだが、「精霊」でのヒューゴ役を見てすぐに、「この人、誰!?」と思って調べた人だ。ドラマ経歴も長く、年齢ももう30半ば、主にテレビドラマの仕事で出てきた人のようだけれど、元々は学生時代から芝居をやっていたという。体格も所作も舞台向きだし、 声も滑舌も良い役者というのは私はすぐに目が行く。藤原くんとは「安針」で共演したという事だけれど、ロンドン公演にはいなかったと思う、、、、

「渦が森団地の眠れない子たち」がオリジナル作品だというのは今回の放映に際して初めて知った。なるほど、当て書き台本ほど心強いものはない。本と演出の 蓬莱竜太さんはご自身の劇団で本を書き、演出も手がけてきている、でも舞台を観る機会はなかったので、こちらも私は初めてだ。ただ、経歴を見ていて「あ!」と思ったのが、以前にネットで観たテレビドラマの「平成細雪」の脚本を書いたのが蓬莱さんだった。とても独特の空気感のある本だったので覚えている。

さて、小学生だ、、、、地震があったエリアから渦が森団地へと引っ越してきた一家。啓一郎はこのとき初めて、母には(双子の)姉がおり、叔母と従兄弟が同じ団地のどこかに住んでいるらしいと告げられる。 でも関わり合いにはなってはいけない、お母さんによく似た人に会っても無視しなさい、と。
出逢ってしまった従兄弟の鉄志は団地の小学生軍団のキング。ガキ大将で、強くて、強引で、でも親戚がいたことを喜んでくれたので、二人は親友の誓いを交わす。そこから数年、子供たちの目から見た団地という世界の力関係、素直だったり、嘘をついたり、友達の見方になったり喧嘩をしたり、、、その中で、本当は嫌いなのに、本当は好きなのに、勝ちたいのに、やっつけたいのに、悪いと思っているのに、謝りたいのに、、、、と様々な心の葛藤が子供の目を通して描かれる。もちろん子供を見守り、また振り回される大人達の姿も。

メインのキャラクターはほとんどが小学生役で、大人役は鉄志と敬一郎の母親を二役で演じる奥貫薫さんと団地の自治会長の木場勝己さんだ。このお二人がガッチリ支えている。
やっぱり当て書きされた本は役者を十分に生かしていて、藤原竜也と鈴木亮平という全く違うタイプの役者をそれぞれの多面性を引き出していて見応えがある。

鈴木さんはどちらかというと正統派な演技をする人だ。声も滑舌も良いし、演技もなんだろう、、しっかりと構成されている、と言えばいいのだろうか。演技が「きちんとしている」のだ。それに対して藤原竜也という役者はやっぱり技術よりも感性が滲み出て来る演技をする人だ。 竜也くんはう〜ん、掠れ声で叫んじゃうのがやっぱり気になるなあ〜。大人になったら息の使い方も上手くなるかなと思ったんだけど、蜷川さんはあんまりそういうことには拘らなかったんだね。もちろん演技力というか、なんだろう、竜也くんの芝居にはオーラがあって、今回のような当て書き本だとそれが本当に生きて来る。

良い本だ。素直に「良い芝居だな」と思って観た。大人だから判る子供時代の微妙でデリケートな心境、それが子供の目で描かれ、それを大人の役者が演じる、、、、「小学生を演じる」と一言で言うにはあまりにも複雑なのだ。蓬莱隆太さんは素敵な芝居を書くなあ〜。

考えてみたら、今の子供達って、こんなふうに外に出て、戦争ごっことかもうしないんだろうな、とふと思った。今の子供達は家でゲームしたりネットしたり、ガキ大将がキングって呼ばれてるなんて事、今となってはもう架空の世界の事なんじゃないだろうか、、、?それとも、まだ地方にいけばこう言う子供達の姿も少しは残っているのだろうか?

後半は涙が出てしまった。芝居で泣くのって久しぶりだ。そして、芝居の最後に大人になった啓一郎が鉄志の事を懐かしく懐かしく、たまらなく会いたくなる気持ちが判る、、、、

子供達は眠れないのだ。考え、苦しみ、喜び、傷つき、後悔し、わけが分からなくて眠れない、、、、とてもリアルなようでいて、それでいて空想の中の話のような、不思議な空気感のある芝居だ。この感じって、前にドラマで見た「平成細雪」でもちょっと感じた。蓬莱さんの本、良いね。

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