見つけもの @ そこかしこ

ちょっと見つけて嬉しい事、そこら辺にあって感動したもの、大好きなもの、沢山あるよね。

April 2018


久しぶりのマクベス。

実はシェイクスピアの作品の中でもよく知られているのに、舞台で観た事って意外と少ない。2−3回かな、、? 今回はマクベス夫人役のAnne-Marie Duffを観たくて行ってみた。
劇場はNT(ナショナルシアター)の中のOlivier、ここはアンフィシアター=円形舞台なので、とても見易い.。どの席も良席と言える。そして高さ5回建で何層にも回せる最新の舞台機能があり、これをどんな風に使った演出になるかも楽しみだ。
Macbeth_march18-2


マクベスのあらすじは比較的シンプル。

舞台はスコットランド。ダンカン王の信頼厚い武将のマクベスは、反乱軍を鎮めて帰途に着く途中、森の中で3人の魔女たちに「未来の予言」を告げられる。「コーダの領主に、そしてやがてスコットランド王になる」と告げられたマクベス。さらに一緒にいた友人のバンクオーにも「お前の子孫がやがて王になる」と予言がされる。半信半疑だったマクベスだが、すぐに自分がコーダの領主に任命されたと知らされると、さらなる予言の成就=王座に野心を抱き始める。
そしてマクベスよりもその予言に執着したのがマクベス夫人だ。王がマクベスの城に泊まった晩、ひるむマクベスを駆り立てて、野心をむき出しにして王の暗殺をそそのかす。そして王を刺し殺た罪の意識におののくマクベスを叱咤激励して後始末の手はずをする。危険を察したダンカン王のの息子、マルコムがイングランドに亡命すると、マクベスは王位に就く。
kinnear-2

しかし王位についても安心できないマクベスは「王を生み出す」と予言されたバンクオーを暗殺し、また、マクベスに疑惑の念を抱いていた貴族のマクダフがイングランドに亡命すると、マクダフの妻子をも暗殺する。不安をぬぐいきれないマクベスは再び森の魔女達にあって、さらなる予言を聞き出すと、「女から生まれたものにマクベスは殺せない」「森が動かなければマクベスは倒されない」と言われ、どちらもありえない事、と安堵する。王の暗殺には冷徹な顔を見せたマクベス夫人だが、やがて罪の意識は彼女を夢遊病にしてしまい、夜な夜な血で汚れた手を洗おうとさまよい歩く。そしてついには自ら命を絶ってしまう。やがてイングランドでダンカン王の王子=マルコムを説得したマクダフは、マクベス討伐の為にイングランドから攻め込む。女から自然な形では生まれなかった=母の腹を蹴破って出てきたというマクダフにマクベスは討たれ、マルコムが次期王として即位する。

マクベスで有名なのが、魔女たちの予言だ。しょっぱなから謎かけのような有名なラインがある。
Fair is foul and faul is fair
これは日本語ではよく「良いは悪いで、悪いは良い」とか「綺麗は汚い、汚いは綺麗」「フェアはファウルでファウルはフェア」と訳されてる。この時にバンクオーに与えられた予言、「王を生む」は、やがて彼の子孫が王女と結婚して世継ぎをもうけることになるのだが、ここでは出てこない。
2度目の予言では
For none of woman born shall harm Macbeth =女から生まれた(自然に)者は誰もマクベスを倒せない

となっているのだが、実はバンクオーは今でいう帝王切開で出てきた、という屁理屈でマクベスを倒す。
そうはいってもあの時代、麻酔も医療技術も無かったのだから、お腹を割いて赤ん坊を取り出すという事は間違いなく母親は死んだのだろう。まさに「母の腹を切り裂いて出てきた」のだ。森が動く=イングランドの護衛軍が木の枝をかぶって前進してきた様子が「森が動く」という光景になる。

ストーリー的には簡単なのだけれど、魔女たちの予言に野心と欲が出て、手を血で染めることになったマクベス夫妻。その後の罪の意識と不安におののく姿がこの芝居の軸なのだけれど、意外と淡々と作られていた。マクベス夫人のAnn-Marie Duffがやっぱりよかったな。殺害の場面では男気がある感じで、その後の夜歩きまでの心情の変化がうまかった。
Macbeth-Preview-26-02-18-Olivier-563


今回のマクベスは時代設定的には明確でない。衣装は軍服にブーツで、現代風ではあるけれど、いきなりセットで生首が木の上に吊るし上げられていたり、とちょっと野蛮な中世の雰囲気も出ている。
マクベス役のRoy Kinnearは何処かで見たな、と思ったら、以前「三文オペラ」でマックをやった人だった。

マクベスはそれほど長い芝居ではないけれど、なんとなくあっさりと話が進んだなあ〜と思ってプログラムやレヴューを見てみると、結構削った台詞も多いらしい。ハムレットのように台詞の下まで覚えているわけではないので、見ている時には気づかなかったけど。

オリヴィエ劇場といえば、やっぱりセットと舞台転換がすごく見ものなのだが、今回は何本も高く作られた木に魔女たちが上ったり生首がかかってたりと、高さをよく使っていた。ただ、最終シーン間近、まさに木をかぶった兵士たちが近づいてきて「森が動く」というそのシーン、途中で回転舞台が動かなくなってしまった!

「なんかこのシーン遅いな」と思っていると、舞台監督らしき人が出てきて「申し訳ありません、テクニカルプロブラムで中断します」 と挨拶。こういうハプニングは本当に珍しいので、拍手喝采。アンフィシアターは幕がないので、裏が全部見える。
どうやら手動ではなんとか動くらしく、スタッフやその場に出てない役者も出てきて、手動で舞台を回して無事続行。 滅多にないハプニングに遭遇できました。

ちょっとびっくりしたのが、、「この人もいいな」と思ったマクベス夫人の侍女役のNadia Albinaという 女優さん、右腕が肘までしかない事に途中で気づいた。あれ?と思ってからも、角度で見えないのかな?と思ったのだけれど、確かに右腕の肘から手がない。身体的なハンデをもつ役者が普通の舞台に出ているのを見たのは初めてだったので、これは結構印象に残った。プロフィールをみると、舞台でも映像でもあちこちで活躍している。新鮮だった。

去年日本行きと重なって見られなかったNINAGAWA Macbethがやっぱりみたいな。私がイギリスに来た頃に、ちょうど話題になっていた作品だ。初演は平幹二朗さんと栗原小巻さん、この二人のポスターの絵はよく見たなあ。DVDになってる再演版を買ってみるかな、、、、 


シーズンものだからあまりカテゴリとしてしょっちゅう書いてるわけじゃないけれど、「まやさん、フィギュアスケート、好きなんだ」という声をいただいたので書きますと、私のフィギュア歴ははっきり言って長いです!

子供だったけれど、札幌オリンピックでのジャネット•リン選手やカナダのカレン•マグヌセン選手達の演技に見せられたのがきっかけ。渡部絵美さんがトリプルで苦労していたのも、佐野稔さんが世界選手権で3位になったのも覚えている。佐野さんは容姿が外国選手と張り合える人だったから、エキシビションでのバック転とか、カッコよかったよね。(いま、解説者になってるあのおじさんの事ですよ〜

今でこそYoutubeで探せば本当に40年くらい前のものだって見つかるけれど、以前は録画が命だった。
こっちに来てからは、オリンピックや世界選手権はこちらのテレビでも放映されていたので、トップ選手たちはなんとか把握できた。でもテレビ放映は主に上位選手(最終グループ)だけなので、PCでインターネットができるようになるまでは日本の選手は世界選手権で最終グループに出ている人しか観られなかった
だから日本人選手が男女共3枠で出られるようになってからは、本当に楽しみが増えた。

昔からタイプの違うトップ選手対決というのは必ずあった。羽生選手のコーチをしているブライアン•オーサー氏とカルガリーのメダルを争ったボイタノ選手、「Battle of Brians」と言われたこの二人で、私が応援していたのはオーサー選手の方だった。その後も男子ではヤグディン選手とプルシェンコ選手もそうだったし、ペトレンコ選手とブラウニング選手も全くタイプが違った。男女共、タイプが違うからこそ、毎回表彰台の立ち位置を交代するライバル選手というのは必ずいる

ちなみにわたしのAll time fevouriteステファン・ランビエル選手と高橋大輔 さん!

高橋大輔さんのようなスケーターは日本人では出ないと思っていた。音とリズムの感性が素晴らしくて、ダンサーとして踊れる、そして彼の演技には芝居心がある。何よりも、日本人男子スケーターには無いセクシーさ・色気、これは海外メディアにもアピールできる魅力だ。完璧な演技をした事はむしろ少なかったかもしれない。でもジャンプを跳ばなかったとしてもずっと観ていたいと思った。

ああ、もうこういう表現力のスケーターはしばらく日本からは出ないだろうな」と思った矢先、まだジュニアで注目されていた宇野昌磨選手の存在は嬉しい期待だった。まだ少年と言っていいのに、そこはかとない色気と周りの空気に色を付けるような表現力に目がいった

 高橋選手の引退後、羽生弓弦選手が、どんどん高い技術と最高に美しい完成品のようなスケートで世界の頂点に登って行くのは本当に痛快だった。「これでもか!」というくらい別次元のスケートを見せてくれるのだが、だんだん「おいおい、周りはどうした!?」という気持ちにもなってくる。やっとジン・ボーヤン選手やネイサン・チェン選手が数種類の四回転を武器に参戦してきて、おまけにシニアに上がってからの宇野選手のびっくりするような急成長で、もうこの2−3年での四回転争いは50年に1度の進化だろうと思う

でもやっぱり私の心を一番引き付けるのは宇野昌磨選手だ。美しい完成品のようなスケートをする羽生選手は今世界一だとは思うけれど、宇野選手のスケートは少しいびつでまだ完成されていなくても心に響く。ただ、とてもシャイで弾けるのが苦手な性格だそうで、う〜〜ん、もっと芝居っ気が出せるといいんだけどな、、、振り付けの幅が広がらないと壁になるかな、、?


そういえば、羽生選手のお父様は中学の先生で、宇野選手のお祖父様は画家だそう。
なるほど!教師の息子と芸術家の孫か、、、
なるほど〜〜!すごく納得。二人のスケートの違いそのまま

パトリック・チャン、カロリーナ・コストナー、ハビエル・フェルナンデス、、、ジャンプだけでなく、美しいスケートと深い表現でフィギュアスケートを魅せてくれた選手たちがみんな引退してしまう、、、
すご〜〜く残念!!

技術で押してくる若い世代に混ざって、美しいスケートをしてくれるベテランがいてくれるのはとても重要な事なのだが、なんだか今年は一気にいなくなってしまう感じがする。プロになった人達のアイスショーが最高に楽しそう!

またルールが変わるということで、来季の振り付けはみんな新しいルールブックをひっくり返しての作業になるのだろう。ジャンプの質の高さと演技構成の美しさが重要になるという事で、宇野選手が口にしていた目標とまさに一致しているし、次に何を持ってくるのか、楽しみだわ。もしかしたらこのルール、羽生・宇野両選手にとって、他の選手よりも有利に働くかも、、、と期待したい!








 

↑このページのトップヘ