時差の関係で寝不足になりがちなリオ五輪も終わった〜〜。前回のロンドンからもう4年も経ったという事が信じられない。連日寝不足になりながら(日本はもっと大変だった?)も、チラチラといろんな競技を観た。今回のチームGBは、メダルテーブルでなんと 中国を抜いて2位
オリンピックってやっぱりその国の活躍選手を追いかけるので、日本選手達の活躍がなかなか観られなかったけれど、英国もメダルに関わった体操やテニス、陸上では日本の選手が観られた。今までいちどもちゃんと 観た事がなかったフィールドホッケーも初めて観たし。(イギリスが金)
さて、夏に芝居を観に行くのが楽しみなのは、ナショナルシアター(NT)。テムス沿いのサウスバンクになるNTだと幕間の時間にもまだ明るくて、テラスからテムズ沿いのロンドンが見渡せる。
今回は久しぶりの「三文オペラ」。
三文オペラは数年前に日本で宮本亜門氏演出の三上博史さんのヴァージョンを観て以来。ロンドンで最期に観たのはえ〜っと、、、94年、もう12年前かあ〜〜!!実はこの時のDonmar Warehouse のヴァージョンがとっても好きで、オリジナルキャストのCDもダウンロードしてよく聞いていたので、すっかり歌詞をこのヴァージョン で覚えていたのだけれど、実は「三文オペラ」の原語はドイツ語なので、英語での上演もプロダクションによって訳が違う。私が耳慣れている94年版はかなりストレートでちょっとお下品な部分もあるのだけれど、今回のはもうちょっとソフトで解り易くて、この演出に合っていた。
全体のイメージとしては1920年代の大道芸という感じ。幕開けはブラスを中心にしたミュージシャン達が舞台の上で大道芸のように奏でるOvertureで始まる。役者とミュージシャンが入り交じっていて全体でのパフォーマンスという創りはなかなか良い。この戯曲のドイツでの初演は1928年なので、考えてみればこの空気が巧くはまるのも当然か。舞台装置もパネルや骨組みを巧く使って、完全に奇麗な絵としては仕上がっていない感があって、それが結構良い。NTに4つある劇場の中でも、このTheatre Olivierは舞台全体を2重に回せる装置があるのが特徴。それを巧く使っている。
こういう空気というか、匂いって結構好きだなあ。幕開けで言っているとおり、これはたかだか3文のCheapな芝居。ちなみに英語でCheapというのはただ値段が安いという意味だけでなく、質も安っぽいという意味合いがある。安かろう悪かろう、がcheapなのだ。質が良いものが特別価格で安くなっている場合は、「It's cheap!」とは言わない方が良い。
日本語訳だとメッキー・メッサーだけれど、この名前、英語版ではあくまでも三文オペラのオリジナル=Begger's Operaのキャラクター、Macheath(マックヒース)で通っている。実はこの舞台、あまりマックが目立たない。というと語弊があるけれど、マック独りが主役という創りじゃないのだ。あくまでもざわついた大道芸、マック役はその中の一人。そしてこの役者がこのイメージには良いんだけど、私としてはマックにはもっとワルの色気が合って欲しいのだが・・・・魅力はあるんだけど、セクシーさがちょっと足りない?、、、、対して、色気があったのはタイガーブラウン。軍隊仲間だったマックになんとか情をかけてやりたいという男心が垣間見えて良かったなあ。
今回のポリーはちょっとお固い秘書みたいな感じで、ピーチャムの娘としては堅物な感じ。でも本来の堅物が恋をすると突っ走っちゃうんだよね、、、、2幕での女二人の対決=ポリーとルーシーの歌合戦は、黒人女優(ルーシー)の大声量とポリーの高ソプラノで、拍手を取っていた。
キャストを見て気がついたのは、12年前に観たヴァージョンでポリー役をやっていた人が今回の舞台でジェニーを演じていた事。CDで聞いていたポリーでの声より12年経って、ぐっと大人な深みがあった。
そういえば、前回日本で観たときの感想をもう一度読み返してみたけれど(こちら)、やっぱりどうしても日本人がやると匂ってくるようなセクシー感をなかなか出せないんだよね。だから亜門さんのあのブリブリなポリーやキティーちゃんの演出がとても日本っぽくて成り立っていたっけ。
映画、舞台でこの三文オペラも4−5回観たかな。いつも楽しみだけれど、この舞台も面白かったよ。1回休憩の3時間。個人的にはやっぱり12年前のTom Hollanderのマックに軍配が上がってしまうかなあ〜〜。これは歌唱力が大きいかも。セクシーなワルの魅力があったしね!
オリンピックが終わって、次はパラリンピック。そうしたら夏も終わるなあ〜〜〜