見つけもの @ そこかしこ

ちょっと見つけて嬉しい事、そこら辺にあって感動したもの、大好きなもの、沢山あるよね。

March 2015

The end of The Trio-Top Gear


イギリスのテレビ番組で何が好きかと聞かれたら、いくつかある中でも真っ先にあげているのがBBC2の看板番組「Top Gear」だ
Top-Gear-3

車を扱っている番組なのだが、これがただのカーマニア向け番組とはちょっと違う。毎週いろんなカテゴリーの車を紹介したり比べたり、スペックやメカニカルな事と同時に、車を使って数々の事に挑戦したりする。イギリスのみならず世界中のいろんな分野からスター達をゲストに呼んで、インタビューの後には3週ラップに挑戦させてその記録を番付する、、、、

このBBCの人気番組を仕切っているのがユニークな3人組、Jeremy Clarkson, James May, Richard Hammondで、なんといってもこの番組の一番の魅力はこのキャラクターの違う3人の大人子供のような男達のチームプレーだ。それぞれのジョークや反応が微妙に違うがためにこの3人のケミストリーがTop Gearの鍵だった。

何百万というファンを毎週釘付けにしてきたこの番組の、3人の中でもリーダー的存在で人気のあるJeremyが、今回とうとうBBCの忍耐を切らせてしまう事態になってしまった・・・・

ジェレミー・クラークソンは今までにも何度が失言が取り沙汰されたり、放送禁止用語をいってしまってカットされたりと物議をかもす事件を起こしてはいた。でも今まではやっぱり何と言っても看板番組のトッププレゼンターという事で、首が繋がってきたのだが、今回はなんと酔った勢いで番組の上司のプロデューサーを殴ってしまったという

ニュースになるや、賛否両論が巻き起こり、「いい加減にスター気取りの鼻をへし折るべきだ」という意見や「いや、やっぱり彼無くしてTopGearはありえないのだからここは許してやってくれ」といった署名嘆願が集まる等、これからの番組がどうなるか、みんな固唾を飲んで見守ってきた。とりあえず先週の放送は急遽中止になり、首相のキャメロン氏はじめ、番組のファン達はなんとか彼を復帰させてくれるように祈っていたのだが、やはりBBCとしてはこれ以上の温情はかけられないという事になってしまったようだ

きついジョークというのはイギリス独特で、日本的な感覚だと思わず息を飲んでしまうような発言でもイギリス人は大笑いしてやり過ごす。言われたら言い返す機転をきかせられる者が認められるのだ。だからこのトップ・ギアという番組は、そんなイギリス式ジョークを3人の男達が飛ばし合いながら、世界中をまたにかけて車を使って馬鹿な事をやり、無謀な挑戦をし、BBCは莫大な予算を使って番組を制作してきた。この10年、私もずっと見続けて来た

スタープレゼンターとして君臨するジェレミーが、今までにも何度が暴言や失言を吐いてきた事は番組のファンでない人に「こんなヤツがのさばるのは許し難い」と言われても仕方がない。何かしでかす度にニュースになり、「今度はどんな処分か、降ろされるのか??」とファンをヒヤヒヤさせてきた。でもやっぱり上司に当たる人にパンチをくらわせたというのは、いくら酔っていたとはいえちょっとやり過ぎちゃったよねえ〜〜、、、

結局は番組はBBCものだ。一契約社員は会社組織にはかなわない。一般社会に例えれば解る。販売課の契約社員で、売り上げはトップ、業績も次々に出して顧客も一番多いサラリーマンがいたとする。時折会社に文句を言ったり取引相手に失礼な事を言ってしまったとしても、比較的大目に見てもらえる。でもさすがに酔って上司に脅し文句をぶちまけながら殴ったらやっぱりこれは首になっても仕方ないよね。しかも今まで何度も警告を受けていた果ての事なのだから、、、

それにしても寂しいよ、、ジェレミーのいないTop GearなんてTop Gearじゃないよ〜〜番組は残ったジェイムスとリチャードで続行するようだけれど、中心になっていたのがジェレミーなので、どうなる事やら、、、2人にとってもものすごいプレッシャーだろう。ファン離れも気になる所だし、それでもやっぱりBBCの力で番組はどうとでもするんだろうか、、、

本当に、本当に残念だ〜〜〜数少ないイギリスでの楽しみだったのに・・・
ジェレミー自身からはまだ発言がないけれど、ずっと黙っているとは思えないので、彼がどう出てくるかも大いに気になるところだ。何百万というファンからの署名嘆願がBBCに殺到しているというし、しばらくしてほとぼりが冷めたらまた、、なんて期待してしまう。

でもやっぱり大人の社会では超えてはいけない一線だったんだよね。ホントに馬鹿だなあ〜〜〜
あ〜〜あ、、この虚脱感、どうしてくれるのよ〜〜

Incredibly Hilarious!! - Light! Camera! Improvise!


抱腹絶倒の即興劇だった
芝居の出来が、とか、役者がとか、本や演出がどうのとか、そういう次元ではないのだ。とにかく全てがぶっつけ即興の笑いっぱなしの舞台。仮のタイトルはLights!Camera! Improvise! それ以外には作者も演出家もストーリーも無い。

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先日観て来た芝居、「The play that goes wrong」を上演中のカンパニーが、毎月第一月曜日に同じ劇場でこの日は「その場で作る即興映画」なるものを上演している。このMischeif Theatreはもう数年前からこの手の即興劇をエジンバラフェスティバルやツアーで演じていて、固定のファンがいるようだ。行く前に解っていたのは、その日の演目やジャンルは観客が決め、総上演時間は休憩無しの2時間弱という事だけだった。

まず、始まる前から観客層がちょと違う。ツーリストのような人たちはいなくて、みんな服装もカジュアル。場内は開演前から活気にみちたおしゃべりの声でざわめき合っている。年齢層は20代から60代、男女比率は半々だ。

始まると、進行役(今日作る映画の監督役をする)の役者が観客に「皆さんのリクエストで今日の芝居が決まりますので、どんどんアイデアを出してください」と語りかけると場内はもう参加気分満々だ。一通り盛り上がると、本題の作品決めに入る。

「最近観た映画でどんな作品がよかったですか?」と問いかけるともう場内はものすごい勢いで皆が口々に映画のタイトルを叫ぶのだけれど、ひときわ多かったのが「Fifty shades of Grey!!」の声。これは絶対出るだろうなとは思ってたけれど、圧倒的だった

続いての、「どんなジャンルの映画にしましょうか」にはあちこちから「Porn!」の絶唱が・・・これには進行役もさすがに「いや〜、今日の観客は変態ばっかりか〜〜」と苦笑していると、2階席からひときわ大きな男性の声が「Western~~!」と叫んだ。これには一部の観客がブーイングを起こして場内爆笑。それでも誰かが中間を取って「Western porn!」と言うと一斉に大拍手がわき起こる・・・

すると客席中央から「ちょっと待ってくれ、子供と来てるんだ」の声がした。「いくつだ?」「16」。これが進行役を救った形になった。「まあ、ポルノは置いておいて、ウェスタン・ロマンチックという事で、、、」と取りなす。

次にはストーリーの中にどんな要素を取り込むか、を決める。ここでも場内割れるような大声が飛び交い、進行役がいくつか拾って「ウェスタン、ロマンチック、スリラー・ミステリー、ボリウッド」が組み込まれる事になった。進行役の役者はそれまで書き取ったメモを見ながら「これは役者達にとってはボリウッド(インド映画、インドのボリウッドダンスが特徴)が一番の難関になりそうだな、、」とつぶやく

そして最後にタイトルを決める時には、一女性の大声で満場喝采。この日のタイトルは「Fifty Shades of Hay」。これらが決まるとカンパニーの役者達が舞台に出て来てスタンバイに入る。進行役がタイトルや要素の確認をしながら観客を盛り上げている間、役者達は暗転の中でものすごく真剣な顔でスタンバイしていた。みんな必死で考えているのだろう。舞台袖で役者達が相談して筋書きを決める時間は全く無かったのだから、、、

最初の役者の台詞でストーリーの背景が決まる。
「大丈夫?ジェイソン、今週はもうロデオの落馬が3度目よ」
これで、この男優の役名はジェイソン、ロデオのライダーで何度も落馬している駄目選手という事が決まってしまった。女の子のほうはお隣に住む幼なじみでひそかにジェイソンを思っている様子

監督(進行役)は役者の台詞で少しストーリー背景ができる度に「ポーズ!」と叫んで場面を止め、「では、どうしてそんな事になったのか見てみましょう」と言って、役者達に次の場面を提示していく。メモを取っては、ストーリーに食い違いがないように、でも即興なのでちょっとずれてしまった時は「実はその真相は別の所にあったのです」等と言って話を作るように仕向けて行く。このチームワークが素晴らしい

この劇団がやっているのはコメディーだ。次から次へとどんどん出てくる場面やキャラクターにもう場内は大爆笑の連続。セットは無く、舞台には3つの大きさが違う箱があって、それを並べたり積み上げたりして必要に応じて使っていく。音はギターとキーボードの2人が場面に応じてそれらしい音楽をつけて行く

ロデオ一家に生まれたジェイソンはなかなか上達しないため、かつての名選手でコーチの父にも認めてもらえずに自信を無くしていた。名選手だった兄が落馬事故で死んで以来、なんとか自分が、、とは思うものの、父には相手にされず、いつか認めてもらいたいと努力するものの、うまくいかない。そんな彼を見つめて(実際にいつも家の窓からのぞいている)励まし続けるお隣さんのスーザン。兄が死んだ事故は落馬した際に頭から積んであった干し草の束におちたのだが、運悪く積まれた干し草の下に固いバスケットボールがあって、頭を強打してしまったのだ。でもジェイソンはその日に馬具装備をした自分の責任だと思っている。
一方、ロデオに命をかける競技会荒らしの女ライダー、アン・ウェルは恋人も作らずとにかくロデオの勝つ事だけに執念を燃やしている。やがて全国大会が催される事になり、アンは勝つためにジェイソンの馬具に細工をするように仲間に命じるのだが、、、


次々と新キャラクターが登場する度に、監督が裏付けを提示して、どんどんストーリーにも深みが出てくる。最初は足を折っただけなはずの父親が、いつの間にか上半身も両手も首さえ不随になっていて、グダグダの身体を他の役者が操り人形のように動かしたり、落馬したら確実に死ぬように干し草の中にボーリングのボールを10個隠したりと、コメディーのセンスが半端じゃない

それでも即興のデュエットがあったり、もちろんボリウッドダンスも盛り込まれた。デュエットの場面は歌詞も曲も即興なのにちゃんとハーモニーになっていて、バックコーラスも最高のチームワーク。監督役を含めて9人の役者達がそれぞれに出しゃばらず、相呼応して各キャラクターをしっかりと演じてストーリーを作っていく。役者の言った事を監督が素早くキャッチして文字通り、ウェスタンでロマンチックでサスペンス(ミステリーというよりは)ボリウッドも踊る、立派な1時間半の映画が出来上がった

芝居の稽古では「相手の台詞を聞け」と何百回も言われたものだ。覚えた台詞を言うのではなく、相手の言葉を聞け、と。会話の中からストーリーが生まれ、そこに感情が生まれ、人間関係が出来上がって行く。芝居はこうして生まれるのだという最高傑作のお手本だ。抱腹絶倒とはまさにこの事!

毎月の第一月曜日にやるそうなので、また行きたい







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