見つけもの @ そこかしこ

ちょっと見つけて嬉しい事、そこら辺にあって感動したもの、大好きなもの、沢山あるよね。

November 2014


今年もクリスマスの気配がやってきた。11月初めの花火の時期が過ぎると、街はあっという間にクリスマスモードに突入する。
この時期になると、クリスマスNO1を意識するいろんな曲がリリースされるのだけれど、今年はちょっと早めにチャリティーがらみの目玉ソングが相次いでリリースされている。今からクリスマスまでNo1をキープするのは大変だから、あえて、時期をちょっとずらしてでもNo1にしたい、という意図が見て取れる

毎年11月の戦没者記念と近い頃に行われるのがBBC主催の「Children in Need」というチャリティーで、これはその言葉通り、様々な障害があったり、不遇な環境にいる子供達を救う活動をしているいろんな団体をサポートするもの。特別番組の放映以外にもその時期を通じてあちこちでChidren in Needを支援する募金活動がおこなわれている

今回、このチャリティーの目玉としてリリースされたのがセレブ達による合唱で、指導・指揮は「Choir」シリーズでおなじみのカリスマクワイヤーマスター=ギャレス・マローンだ。彼は過去にも従軍兵士の奥さん達を集めたMilitary wives chiorでクリスマスNo1を勝ち取り、エリザベス女王の60周年戴冠記念の特別曲(アンドリュー・ロイド-ウェバーとTake Thatのギャリー・バーロウの作曲)を歌唱指導・指揮してこれも確かNo1になったっけ

それにしても今回選出されたセレブ達はみんな基本的に「歌った事がない」人たちばかりという事で、最初の顔合わせ時にはさすがのギャレスも「僕はミラクルワーカーじゃないんだけど、、、??」と困惑顔だったのが可笑しい。それでも、短い期間で忙しい人たちを叱咤激励して、なんとか本番の日まで引っ張っていった彼の指導力は本当にリーダーシップのお手本だ。見事に先週末のオフィシャルチャートで一位に輝いた


そして今週頭に発売されたもうひとつのチャリティーソング、30年後の新しい「Do They Know It's Christmas」。
1984年にブームタウンラッツ(なんて今の若い人は知らないだろうね)のボブ・ゲルドフ氏が発起人となってアフリカ救済の為に当時のトップアイドルミュージシャン達を結集させてレコーディングしたこの曲はその年のクリスマスNo1となり、その半年後、共感して同じような形でアメリカのミュージシャン達が結集した「We Are The World」と共にロンドンとフィラデルフィアでリレーコンサートを行ったLIVE AIDは伝説となっている

個々のバンドには詳しくなくても、音楽好きの人ならLive aidの伝説は聞いているだろうしビデオやDVDで観た人も多いはずだ。その当時のミュージシャン達はもう50~60代になっているけれど、ボブは今度は新しい人たちを集めてBand Aid 30を結成。大人気のOne Directionほか、オリジナルに参加したベテランも交えて新しいヴァージョンをレコーディングした。歌詞も一部ちょっと変わってるかな。

これも間違いなくNo1を目指してのリリースで、多分だからこそリリースをChildren in Needと1週ずらしたのだと思う。昨日の発売からロケット並みのスピードでダウンロードされているというから、今週末のNo1はこれかな


英国人のチャリティーに対する関心と協力は本当にいつも感服する。ボブが30年前にこの曲で世界中を駆け回ったとき、彼の事を「偽善者だ」と言う人もいた。でも影響力のある人たちが動くからこそ関心が集まり、お金も集まる。この30年間ずっとBand Aidを継続させてきた彼の熱意は、立派に結果を残して来ている。

80年代のミュージシャン達を知らない世代でもBand Aid は知っている、Do they know It's Christmasは毎年この時期になるとクラシックなクリスマスソングと共に町中に響く。新しいメンバーでのこのヴァージョンで、またこの曲がアフリカ救済チャリティーのテーマとして、そしてクリスマスソングとして次の世代に引き継がれて行く。きっとオリジナルメンバーのミュージシャン達が皆いなくなってしまった後も・・・・



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あっという間に秋を通り越してもう冬が来た感じ。とはいえ、今年は9月も10月もまずまずの気候で、お天気も悪くなかったし、良しとするかな。

今年もやって来た戦没者兵士達を弔うremenberance day.今年は特に第一次大戦勃発から100年目に当たるとあって、今年の11月11日は特別な雰囲気になっている。

ロンドン塔の周りは真っ赤なセラミックのポピーで埋め尽くされ、第一次大戦から第二次大戦、それ以降のすべての戦いに関わった兵士達を讃え、弔う催しが話題になっていた。折しも、アフガニスタンから英軍が今年中に完全撤退する事が決まっており、この13年間にアフガンで亡くなった兵士達も含めた追悼の日となった。

日本では考えられない、この戦争・戦没兵士達に対する追悼は、いつもながら私の中では奇妙な感覚だ。いまだに戦争対して悲観的な日本の現状は、戦争で戦った兵士達を誇りに思うという風潮には遠く及ばないからだ。

戦争といえば、悲惨なのもの。2度の被爆で犠牲になった市民達を追悼する儀式は毎年行われているものの、片道の燃料で無意味に敵に向かっていって命を落とした大勢の若い兵士達を讃えるという意識は無い。靖国神社への政府官僚の参拝が問題視されてしまうのだから仕方が無いか・・・「勝てばヒーロー」とはよく言ったものだ。

それでも大地震や火山の噴火等の惨事の度に活躍してくれる自衛隊員達に、もう少し誇りを持ってもいいんじゃないかなと、御岳山の噴火を日本滞在中に目の当たりにして思ったものだ。

もちろんあの当時の日本の戦争の仕方は間違っていたかもしれない。でも彼らの犠牲の後に訪れた和平と、その後70年近い年月の間に日本という国が遂げた経済的・国際的な大成長は、あの悲惨な敗戦があったからこそと言っても良い。もうそろそろ、今の日本の礎になった人達に「ありがとう」と言えるようになってもいいんじゃないかと思う。

無謀で愚かな戦いに負けた惨めな歴史は今さら変える事はできない。それは勝った国の「ヒーロー達を誇りに思う」という意識とはもちろん比べる事はできないけれど、それでもこの季節になると、「負けると解っていた戦いにかり出されて今の日本の礎になった人達」にも、敬意を払ってもいいんじゃないかと思えてならないのだ。

今日は他のヨーロッパ各国(かつての連合国)でもいろんな形で追悼の儀式が行われたらしい。(ドイツやイタリアはどうなんだろうね)
イギリスの人たちはみんな募金で買ったポピーの花を胸につけ、敬意を表して黙祷する。ロンドン塔のポピーは1本1本がすべて手作りで、この後はチャリティーとして売られるそうだ。
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アジアでは今だに慰安婦問題や小島の所有権で事あるごとに糾弾される日本。もちろん責任問題は解決したとは言えないけれど、一度握手をしたらそれ以降は口にしないというヨーロッパ気質とはかなり違う。ドイツもイタリアもとっくの昔にEUとしてヨーロッパ共同体に参加し、戦争中の事を責められてニュースになるなんて事はこの30年近くイギリスにいて一度も聞いた事がない。

ヒーロー崇拝のアメリカみたいになる必要はないけれど、亡くした命の重さは同じだ。日本が終戦記念日に、まだ20歳にもならずに散って行った多くの日本兵達に「ありがとう」と言えるようになるのはいつの事やら。

毎年のRememberance dayになるとちょっと思う事・・・・

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