今年もクリスマスの気配がやってきた。11月初めの花火の時期が過ぎると、街はあっという間にクリスマスモードに突入する。
この時期になると、クリスマスNO1を意識するいろんな曲がリリースされるのだけれど、今年はちょっと早めにチャリティーがらみの目玉ソングが相次いでリリースされている。今からクリスマスまでNo1をキープするのは大変だから、あえて、時期をちょっとずらしてでもNo1にしたい、という意図が見て取れる。
毎年11月の戦没者記念と近い頃に行われるのがBBC主催の「Children in Need」というチャリティーで、これはその言葉通り、様々な障害があったり、不遇な環境にいる子供達を救う活動をしているいろんな団体をサポートするもの。特別番組の放映以外にもその時期を通じてあちこちでChidren in Needを支援する募金活動がおこなわれている。
今回、このチャリティーの目玉としてリリースされたのがセレブ達による合唱で、指導・指揮は「Choir」シリーズでおなじみのカリスマクワイヤーマスター=ギャレス・マローンだ。彼は過去にも従軍兵士の奥さん達を集めたMilitary wives chiorでクリスマスNo1を勝ち取り、エリザベス女王の60周年戴冠記念の特別曲(アンドリュー・ロイド-ウェバーとTake Thatのギャリー・バーロウの作曲)を歌唱指導・指揮してこれも確かNo1になったっけ。
それにしても今回選出されたセレブ達はみんな基本的に「歌った事がない」人たちばかりという事で、最初の顔合わせ時にはさすがのギャレスも「僕はミラクルワーカーじゃないんだけど、、、??」と困惑顔だったのが可笑しい。それでも、短い期間で忙しい人たちを叱咤激励して、なんとか本番の日まで引っ張っていった彼の指導力は本当にリーダーシップのお手本だ。見事に先週末のオフィシャルチャートで一位に輝いた。
そして今週頭に発売されたもうひとつのチャリティーソング、30年後の新しい「Do They Know It's Christmas」。
1984年にブームタウンラッツ(なんて今の若い人は知らないだろうね)のボブ・ゲルドフ氏が発起人となってアフリカ救済の為に当時のトップアイドルミュージシャン達を結集させてレコーディングしたこの曲はその年のクリスマスNo1となり、その半年後、共感して同じような形でアメリカのミュージシャン達が結集した「We Are The World」と共にロンドンとフィラデルフィアでリレーコンサートを行ったLIVE AIDは伝説となっている。
個々のバンドには詳しくなくても、音楽好きの人ならLive aidの伝説は聞いているだろうしビデオやDVDで観た人も多いはずだ。その当時のミュージシャン達はもう50~60代になっているけれど、ボブは今度は新しい人たちを集めてBand Aid 30を結成。大人気のOne Directionほか、オリジナルに参加したベテランも交えて新しいヴァージョンをレコーディングした。歌詞も一部ちょっと変わってるかな。
これも間違いなくNo1を目指してのリリースで、多分だからこそリリースをChildren in Needと1週ずらしたのだと思う。昨日の発売からロケット並みのスピードでダウンロードされているというから、今週末のNo1はこれかな。
英国人のチャリティーに対する関心と協力は本当にいつも感服する。ボブが30年前にこの曲で世界中を駆け回ったとき、彼の事を「偽善者だ」と言う人もいた。でも影響力のある人たちが動くからこそ関心が集まり、お金も集まる。この30年間ずっとBand Aidを継続させてきた彼の熱意は、立派に結果を残して来ている。
80年代のミュージシャン達を知らない世代でもBand Aid は知っている、Do they know It's Christmasは毎年この時期になるとクラシックなクリスマスソングと共に町中に響く。新しいメンバーでのこのヴァージョンで、またこの曲がアフリカ救済チャリティーのテーマとして、そしてクリスマスソングとして次の世代に引き継がれて行く。きっとオリジナルメンバーのミュージシャン達が皆いなくなってしまった後も・・・・