見つけもの @ そこかしこ

ちょっと見つけて嬉しい事、そこら辺にあって感動したもの、大好きなもの、沢山あるよね。

August 2014


3連休明けで仕事に行くと、私のデスクになんと新しい椅子がある
もうだいぶシートの生地がほつれかけていて、私はともかく向かいに座っていただくお客さんにちょっと恥ずかしい状態だったので、ボスが私用とお客様用を両方新調してくれたのだ。(ドケチなうちのボスにしてみれば12年ぶりの事だわ、、、
皮で覆われたシートはいかにもプロフェッショナルなイメージで黒お偉いさんのデスクのようで、座ってみるとなんと心地よいクッション!どっかりと体がおさまって背もたれもいい感じ、小さめの肘掛けもついていて、上下もスムーズに調節できて楽チンだ

わーいわーい!とひとしきり喜んで、さて仕事を始めたのだけれど、ものの2−3分で、なんとなく使い勝手が良くない気がしてきた

私の仕事はしょっちゅう立ったり座ったりする。接客のデスクと横のワークトップを両方使うので、椅子をちょっと動かして行ったり来たりする。ところがこの椅子、座り心地は良いものの、いちいち動かしにくい

椅子をよく見てみるとクッションは奥に向かって斜めになっているので、自然と体が背もたれに向かって沈むようになっている。足でも組んでドッカリと一日座っているのなら快適なのだろうけれど、立ったり動いたりするには今ひとつなのだ

横の肘掛けが邪魔になって椅子を上下するレバーに手が届きにくい。私の仕事ではお客様に眼鏡を処方する際、フレームをかけてもらって調整したり、フィッティングの測定に目線を合わせてちゃんとした位置から測らなくてはならないので、椅子の上下は無意識のうちに一日に何十回も繰り返す。
なんだかやり難い・・・ちょっと椅子を高くすると足が床に付く感覚が安定しない、、、

私があれこれと椅子をいじっているのをみたボスが怪訝に思ったのか、「How are you feeling?」と聞いてきた・・・
やっぱりここは仕事し易さが一番なので、「一日ドッカリ座っているには最高だけど、ちょっと動き難い」と言うと、「それは困るね〜、、(笑)」という事で、やっぱり前の椅子に戻す事にした。3脚あった中で一番コンディションの良いものを戻して、新しい椅子は2脚ともお客様用という事になった。

この件で思い出したのが、数年前に日本から戻ってきた時の事。
私が一人で里帰りから戻る時は、たいていはうちの彼が空港に迎えにきてくれるのだが、この時は彼が仕事で来られないというので、キャブ屋を頼んでおいてもらった。(正規の黒いタクシーよりも安い個人経営のミニキャブはロンドン生活で必須だ)てっきりいつも使っているところに頼んだものと思っていたら、この時は気を利かせた彼が奮発してショーファーサービスを頼んでくれたのだ

空港で出迎えてくれたドライバーはいつものカジュアルな兄ちゃんではなく、いかにもおかかえ運転手といった感じの制服・制帽の上品な紳士。ミニキャブだと兄ちゃんが白いコピー用紙にマジックでMrs XXXと手書きした紙を持って待っているのだが、このときはきちんとボード板に私の名前がフルネームで印刷されたものを掲げていた。「こちらでお待ちください」と駐車場の車寄せで待っているとやってきたのはメルセデスベンツの大型車だ

シートはピカピカの革張り、小型の冷蔵庫も付いていて、紳士が中の飲み物とビスケットやケーキを指して「Please Help yourself」とにっこり。「こりゃ、いくら払ったんじゃい、、、??」と思いながらも、日本からの長旅を終えた私の為に彼がプレゼントしてくれたのが嬉しかった

ところが、、ところがです!!

大きな車の革張りシートは奥が深い。小柄な私が深く腰掛けてしまうと足先に安定感がないのだ。おまけに走り出すと振動でスカートが皮のシートにスルスル滑ってしまう・・・・体がシートの上で滑るのをこらえていると重心が取れずに車がちょっと曲がる度にコロンと転がってしまいそうになるのだ

なんだなんだこの乗り心地の悪さは!!!

スルスル/グラグラ/ヨロヨロをこらえているのはもうメチャクチャ緊張して、ただでさえ12時間のフライトで眠くて仕方がないのに、いっその事シートに横になってしまおうか、とさえ考えた。そのほうがどれだけ楽か・・・

結局、家につくまで1時間弱の間、私はシートの隅で足がしっかりつくようにちょこんと前に腰掛け、体を安定させるためにドアハンドルにしがみついている羽目になってしまったのだった

やっぱりね、レザーシートの大型車なんて体の大きな男の人か中年太りのマダムにはちょうど良いんだろうけど、私みたいな153センチ程の小柄な人間には不向きなのよね。バスの後部座席に座った子供が曲がる度にコロンコロン転がりそうになってるようなもんだから・・・

どんなに高くて上質でも、結局身の丈に合っていなければ豚に真珠、猫に小判、、、あれ?ちょっと違うかな??

本当のラグジュアリーというのは、自分の身の丈にあった高級品を特注する事なんだろうなあ〜〜と実感したのだった


また陸上?、、、と思わずテレビを観てみると、今は陸上の欧州選手権(Europian championship)が始まっている。つい2週間前はスコットランドのグラスゴーで開かれていた英連邦競技会(Commonwealth Games)で盛り上がっていたばかりなので、なんだかこの夏は2年前のオリンピックの乗りが再来した感じだ。もちろん規模的には違うのだけれど。

4年に一度、世界中からトップアスリート達が集まるオリンピックはなんといってもすべての選手達の大きな夢な事は違いない。でもそこまでの道は本当に厳しく、メダルを取る事はおろか、出場権を手にするだけでも人生のすべてがかかっていると言ってもいいのだろう。英連邦は旧大英帝国に属していた世界中の国々が、(今でも英国王・女王を元首とする国と独立主権を持つ国の両方)集まって作られた国家連合だ。アメリカやアイルランドは加盟していないが、それでもこのコモンウェルス・ゲームの参加国は71カ国にも及ぶ。

コモンウェルスゲームの面白いところは、カナダ、オーストラリア、アフリカ各国やアジア諸国と世界中の大小の国が参加していて、オリンピックメダリストももちろんの事、オリンピック代表には惜しくも選ばれ損なったクラスの選手達も多いところだ。

ちなみにイギリスは、イングランド、北アイルランド、スコットランド、ウェールズに分かれて参加しており、そしてなぜか法的には英連邦に属していないはずのマン島(Isle of Man)までが独自に参加している・・・ 今回は開催がグラスゴーだった事もあり、スコットランドの選手達も大奮闘していた

スコットランドといえば、9月には大きな国民投票が行われる。
スコットランドが英国から独立する事に同意するか?」という、独立への第一歩を国民に問いかける投票だ。

スコットランドは昔から独自の王を持った長い歴史のある国だった。1707年にイングランド王国と統一して以来、事実上ブリテンという名の元にイングランドに吸収合併されたような形だった。1999年には独自のスコットランド議会が再開され、税率や一部の法律を独自に設定できるようになっている。今でもスコットランド意識は高く、スコットランド出身の人は自分を決してEnglishとは言わない。イギリスで、英国人はみんなEnglishだと思っていると即座に否定される。

そんな国民調査を前にして盛り上がったコモンウェルス、青地に白のSt.Andrew Crossの旗を誇らしげに掲げ、今回獲得したメダル数は過去最高の53個。競技開催中は私も「これは来月の投票に拍車がかかるかもなあ〜〜」と思ったものだ。
ちなみに2年前のオリンピックの追い風か、今回はイングランドがオーストラリアやカナダを抑えてトップ、174ものメダルをさらった。28年ぶりらしい。

私の旧同僚に、ご主人がフェンシングの選手だった人がいる。かなりのレベルでオリンピック出場を目指していたのだけれど、惜しいところで代表権を逃してしまった。でもその彼もコモンウェルスゲームには2度出場して、見事に銀メダル/銅メダルを獲得し、メダルを見せてもらった事がある。これはイギリスがイングランドやスコットランドに分かれて参加しているからで、グレートブリテンの代表には惜しくももれても、イングランド代表には選ばれたからだ。きっとそんな選手達が世界中に沢山いるのだろう。英連邦の選手達にとってはオリンピックに次ぐメダルの、または参加のチャンスでもあるのだ

英国でもなくEUにも加盟していないマン島がなんで参加しているのかはよく解らないけれど、マン島の選手達にとっては大きな舞台に出場する絶好の機会なのだろう。

スコットランドの独立に関してはまだまだ先の道のりは長いし、現実には懐疑的な意見も多い。盛り上がった勢いで長い将来を見誤る事の無いように投票していただきたいものだ。ちなみに前首相のブレアー氏もブラウン氏もスコッツだ。他にも各分野でトップクラスの位置にいるスコッツの人たちは沢山いる。もし本当に独立国になったら英国全体が大変な事になってしまうかも・・・・

第一、国旗だって変えなくちゃいけなくなるよね。英国の国旗(ユニオンフラッグ)が変わってしまう!! さらにはユニオンジャックを国旗の一部に入れている他のコモンウェルスの国だって国旗を変えなくちゃいけなくなるよ・・・??

コモンウェルスの勢いで始まった欧州選手権、またまた毎日テレビで陸上競技が繰り広げられている。夏はやっぱりスポーツの音がいいね。日本でいうなら、テレビから聞こえる甲子園の野球の音、といったところか

コモンウェルスゲームの次にはおなじみのエジンバラ・フェスティバルが始まったスコットランド。またまた世界中から人が集まるお祭りの幕開けだ。

スコットランドよ、どこへ行く・・・・

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