見つけもの @ そこかしこ

ちょっと見つけて嬉しい事、そこら辺にあって感動したもの、大好きなもの、沢山あるよね。

July 2010

馬車馬のように働いているここ数週間、、、いや〜、忙しいのなんの!!
でもそれも多分あと1週間くらいで、8月に入るとパタッと暇になるのもいつものパターンだ。ブログの更新のなかなか進まないうちに、世の中毎日いろんな事が起こってる。

春の選挙で歴史的な連立内閣が誕生してから、なんだか状況があれこれと変わってきている。来年からはVAT(付加値税)が現行の17.5%から20%に上がる。去年の大不況の折には前政府は今年になるまで一時15%に下げてたので、今年の1月と来年の1月で5%の跳ね上がりという事になる、、、これって痛いんですけど、、、、だってこっちのお給料はもう何年も上がってないのよ!! どうしてくれるの?? 

でも欧州圏内ではイギリスのVATはむしろ低いほうで、他の国ではたいてい20%いってるから、仕方ないのかしら、、?でもねえ、収入と支出の釣り合いってものがあって、いきなり払う方だけ跳ね上がってもねえ〜〜〜

いつの間にかアフガニスタンで命を落とした兵士達の数は軽く300を越えて、新政府は早ければ2ー3年内にアフガンからの撤退をめざすと言っている。前政府が戦争を始めちゃった後始末に時間をかけて様子を観ていたのをばっさり切り捨てる決断だ。今でもアフガンで英米の兵士達が毎週死んでいるなんて日本ではきっともう報道もされないのだろうけれど、先週も今週も一人、また2人、、と亡くなっているのだ

そして昨日、今度は定年退職の撤廃が発表された。それまで60歳だった定年が65歳に引き上げられたのも記憶に新しいのだけれど、今回とうとう定年というものが無くなる。働きたい人はそのまま仕事を続ける権利を持ち、雇用主は定年退職通知を渡す事ができなくなるのだ。強制的に退職勧告される事がなくなるというのは、もっと仕事を続けたい人達には人生の糧を奪われる心配がなくなる。定年退職→生き甲斐の喪失→無気力→ボケの図式は避けられる

これは大人達には「勝利」と受け取られているように報道されているけれど、若い世代にはどうだろうか。スキルがあって、経験豊かでノウハウを知り尽くしたベテランがいつまでも居座っていては、大学やカレッジを出たての未経験な若者達が職につけないという事態を招くかもしれない。それでも高給取りの老人達から所得税を取り続ける方が、無職の若者に失業手当を払うより良いという事か、、?

じゃあ、いわゆる年金はどうなるの、、?というと、こちらは受給資格年齢に達した人で仕事を退職した人がもらうわけで、この対象年齢も現在の65から66に引き上げになるらしい。つまり66を過ぎたら退職するか仕事を続けるかの選択ができるようになる。でもその時になって、若い世代が働いてなかったらいったいどの位もらえるものやら・・・???

それにしてもねえ、、、66よ、、、それまで生きていられたら幸せなくらいなのに、昔から言うような「老後のゆったりした人生の楽しみ方」なんて味わう時間がなくなっちゃうね。今人生を楽しんでいない人は、一生楽しむ暇もなく終わってしまうと言う事だわ。 最近は当たり前みたいに人生80年だの90年だのと言っているけれど、70まで元気でいられたら本当に恵まれてると思わなくちゃね。

それにしても、みんな本気で65過ぎても働きたいと思ってるんだろうか・・・ 新聞が書いてるように、本当にこの決断を「年齢による雇用権利の差別を無くす」って喜んでるの? それがマジョリティーな意見なの? 私には一部の人達に過ぎないような気がするんですけどね、、、

私はやだな〜、70まで働くなんて、、、、

最近はめっきりテレビを観る事も少なくなった。こちらのテレビで面白いドラマに巡り会える事はとても少ない。まず、日本のテレビ番組のように、時間枠で決まっていないからだ。いつ放映なのかを把握するのが難しくて、気付いたら見逃してしまったといった具合・・・

だからもっぱらDiscoveryとかNational Geographicとか、History Channnelを観る事が多くなってしまう。あ、あとFood Channnelもね。「事実は小説よりも奇なり」というのは本当で、犯罪の検証とか飛行機事故の原因解明とかといった番組が面白い

ただ、そのドキュメンタリーと呼ばれる番組の信憑性はどう判断すれば良いのだろうか、、?知らなかった事を知るというのは楽しいしエキサイティングだ。でも知らなかった事がどこまで正しく真実なのかは、元々知らなかった側としては知る由もない

何故こんな事を考えたかというと、先日テレビ放映された「The Cove」を観たからだ。The cove=入り江において秘密裏にイルカの大量殺戮が行われているという日本の小さな町を取り上げた去年のアカデミー賞受賞作だ。日本ではアカデミー授賞式のテレビ中継からドキュメンタリー部門がカットされ、インタビューされた科学者は「聞いていた趣旨と違う」と出演シーンのカットを要求し、何度が予定された映画公開は次々と延期/キャンセルになり、ようやく今月から順次に公開されはじめているらしい。(それでも全国一斉ロードショー!とはほど遠いとか)

この映画の内容の賛否両論を言い始めたらきりがない。こっちの普通とあっちの普通の違いは簡単には埋まらないからだ。年間に2万3千頭ものイルカが太地で殺されている、、、彼等がスパイ大作戦よろしく撮影したものだから、これは事実なのだろう。そしてその事をほとんどの日本人が知らないというのも事実。ただこの映画、そこから先が無いのだ。

のっけから「これがバレたら俺たちはマジで殺される」と言いながら大きなマスクと帽子で顔を隠して車で移動している極秘撮影隊。映画の作りが「秘密暴き」に傾いていて、深い問いかけが見えて来ない。「可愛い可愛いイルカ達をこんなに残酷に殺している」という事をやたら同情的に見せている。水銀の含有量の多いイルカ肉を食品として売っている、というのを水俣病と合わせて紹介しているけれど、同じ水銀でもイルカ肉と工場廃棄物ではなんだか比較するのがちぐはぐだ。

この事実をどこにどうぶつけて、どう対処しろと言いたいのかがはっきりしない映画で、正直期待していたよりも映画としても面白く無かった。「日本政府はこの事実を隠蔽している、日本国民も騙されている」と言いたいのか、だとしたら誰にそれを言いたいのか?日本の人に事実を知って欲しいというなら、日本で上映がされないような映画じゃ意味が無い。それとも世界で公開して話題にする事で、捕鯨業と合わせて「日本叩き」のプロパガンダにしたかったのか、、、?

そして日本側の対応もはっきりしない。真正面から映画を見せて、「これは違う!」と討論する構えがない。フタをして公開を先延ばし/限定にすればいいというわけじゃない。警察ぐるみで撮影隊を追い出そうとするシーンがサスペンスタッチで描かれていたけれど、太地町/日本側として理にかなう言い分があるならきちんと映画に対して抗議するべきだ。「臭い物にはフタをする」という日本御得意の逃げなのか・・・?

「こんなに残酷な事をして、その事実を隠蔽しているなんて酷すぎる、、可愛いイルカ達が可哀想、、、、」と涙して、胸を痛める人もいるのだろう。でも私はそれすらも感じなかった。確かに現実にカメラに収められた映像は衝撃的で一瞬言葉を無くす。でも次に思ったのは、映画制作側/日本側両方に対しての「だから、、何?」だった。いったいどうしろって言いたいの?

イルカを殺すのを止めろと言われたら、日本側(というよりこの場合は太地町のみなんだけどね、他の日本人は知らないんだから)は何故イルカを殺さなければならないのかを、きちんと納得出来るように説明できなければいけない。できないなら、殺さなくて良い方法を提示して理解を求めるべきだ。本当に人体に害が出る程の水銀入りの肉が市場に出回っているのか、消費者団体は徹底的に調査して、この映画の裏付けを取るべきだ。もしそれが誇張ならばきちんと反論して映画を訴えればいい

「なんだかここから何処へも向かって行かないような作りの映画だなあ〜」というのが正直な感想。これがアカデミーだけでなくいろんな映画祭で賞を獲ったというのもなんだか腑に落ちない。他にドキュメンタリー映画は創られなかったのか、、? 

しっくりしない映画。日本公開での反応はいかかでしょう??


ネットの使い方は人それぞれだと思うから、何が一番良いという事は言えないけれど、最近ちょっと混乱する時がある

私がブログをはじめたのは、実はMixiなるコミュニティーサイトが私向きではないと判断したからだ。SNSと呼ばれるミクシー系のサイトは友達から友達へと輪を広げてコミュニケーションしていくタイプで、特にミクシーのように招待/承認制というのはものすごく日本的だなと思った。

基本としては、私は友達とは個人的に話します。何もネットに行かなくたって普通に電話やメールで話せば済む事。ただこのコニュサイトの良い所は、グループとして多人数に一度に連絡ができるという事だろう。誰かと連絡を取った人が「そういえばこう言ってたよ」という話しをあっちこっちでする必要がない。ちょっと気になってた人達が今どうしてるかすぐに解るというのは、なんとなく繋がってるような気がして安心できると言う事か

ネットの醍醐味は会えなかったはずの人と袖擦り合う事ができる、という事なので、私はコミュニティーというものに埋もれてしまうのは好きじゃなかった

最近になってTwitterに再び参加し始めた。再びというのは、一年以上前に一度登録したのだけれど、なんと、ものの2ー3週間で止めてしまったからだ。使い方がよく解らなかったといったほうが良いのかな。ず〜っと放っておいたのだけれど、最近になって友人から誘いを受けて「使い方次第かも」と思ってまた始めてみた

まず困ったのが誰をフォローするか。これは手掛かり無しではほとんど探すだけでものすごいエネルギーが要る。最初は友人が紹介してくれた人達のページへ行ってみて、楽しそうな事をつぶやいている人達をフォローしてみる。同感だったりちょっとお返事を、、と思ったら返信してみると、あちらも一言返してくれる。うん、これなら結構気楽にやれるかも

ところが、すぐにまた壁に突き当たった。中には100人も1000人もフォローしたりされたりされたりしている人が沢山いるけれど、これでは交流は不可能だ。そういう人達のツイートは、大抵「誰かへの返信」で埋まってしまって、読んでいても解らない。明らかにフォロワーを増やす事だけに躍起になっている人も沢山いて、ちょっと違うんじゃないかっていう気がする

情報収集という目的での使い方は解る。つまりフォローするのが目的でコミュニケーションじゃなくても良いというパターン。政治家や著名人達のツイートは身近に感じられるだけでも楽しい。

全く関係ないのに、書いた一言で自動的にフォローしてくる人もいるようだ。これもなんだかねえ、、 明らかにちゃんとつぶやきを聞いてないわけでしょう?勝手に拾われて1000人のうちの一人にされても、、それって失礼じゃない?

それでも、普段ほとんど素では表に出てこない俳優さんとか、律儀にもらったツイートにせっせとお返事してくれる人もいるらしい。あまりファンと接する機会の無い人が、そんな風に時間を裂いてコミュニケーションしてくれるのは素敵だ。こういう所にも人柄が出るという事なのだろう

結局、私の場合2つに分けた。一つは日本語で、細々と何人かの人のつぶやきに笑ったりうなづいたりしながら、ブログでくだを巻く程じゃない事をつぶやく所 そしてもう一つはつぶやきは英語で、主に追いかけ専門の場所。追いかけのほうには、ロンドン市長とか、スポーツ選手、役者、人気シェフや歴史家なんかもフォローしている。結構面白い

でもやっぱり人数には限度があるでしょう、、、仕事から帰ってログインすると、もうダダ〜〜っとつぶやき/返信が埋まっていて、しかも私が帰って来る頃は日本時間は夜中なので、今更前日のつぶやきに遅れて返事するのも気が引ける、、、 結局読むだけ読んで勝手につぶやきを落とす、、という形になってしまう。コミュニケーションは難しい。

全く知らないところからいきなり一言返信してくれる日本人はホントにいないのねえ〜〜。英語のほうは、置き土産的に一言返信をくれる人が結構いるけれど。こういう部分もコミュニケーションの仕方が日本人って違うのかしら。知らない所に入って行けないのかなあ〜〜。安全第一の国だから?でも冒険もしないと世界は広がらないでしょ。

疲れてる時や時間がない時は、このTwitterは便利だ。ホントにつぶやくだけ。実は日本語の140字ってすごく沢山書けるのだ。英語で140って、本当に短いのよ。話す音では日本語のほうが一音一字で少ないけれど、書いてみると字数で沢山書けるのね。これは発見!

Twitterで検索するケースも多いらしい。確かに情報収集という意味では無限にいろんな人の所を検索できる。ブログやニュース記事とはまた違う意味で使える。結局はコミュニケーションとしてよりもそういう使い方になっちゃうのかなあ〜。100人も200人もフォローなんて私には無理だし。

Twitterを題材にしたドラマがあったらしいけれど、あまりにも評判が悪かったので結局観ていない。前に竹野内豊さんが出てた「With Love」は、メールで嘘をついちゃった所から始まるドラマで、面白かったけど

ブログやYoutubeやTwitterや、ニュースを読んだり興味あるサイトを巡ったり、ますます時間が無くなっていく!!


Junk mailが増えてる!!

この迷惑メールという奴、ホントに始末が悪い。
まだ自宅にMacを持つ前は、電話とファックスが両方仕えるようにしてあった。同じ番号で電話とファックスと両方受け取れるやつ・・・

ある時期からジャックメールがファックスで送られて来るようになり、その数は日に日に増えていった。紙の無駄、インクの無駄、紙もインクもイギリスでは滅茶苦茶高いのよ〜!おまけに夜中とか明け方にまでやってくるようになり、我慢も限界

車が安い! 地下鉄の忘れ物大放出! といった内容が殆どで、後は広告/宣伝。よくページの下のほうに「メールのリストから外して欲しい場合はこちらの番号までFAXを返してください」とある、これが要注意なのだ!

こういうFAXナンバーに送り返そうとすると、異常〜〜〜〜〜に長〜〜〜い時間がかかって、電話代だけで大変な事になるのだ。こういう場合は無視が一番と聞いていたので、いっさい返信はせずにいたのだけれど、さすがに堪忍袋の尾がキレて、遂にFAXをオフにした。

それでも自動的に送られるようになっているらしく、それからもしばらく電話が鳴った。電話に出ると明らかに向こうがFAXを送ろうとしている音がして、そのまま切る・・・というのを何十回繰り返したか、、、やがて少しずつ減っていった。繋がらない事が続くとさすがにリストから外すのだろう。

今はEメールのジャンクが多い。それでも普段から気をつけてはいるのだけれど、私は結構ネットで買い物をする事も多いので、何かの時にメールアドレスがどこかに渡っているみたいだ

1ヶ月程前から目に見えて激増したのが、「Amazing Watch!!」のジャンクメール。違うアドレスからいくつもいくつもローレックスだのカルチェだのの時計が安い!!というメールが一日に15通も・・・次に多いのがDebt Clearanceとやらのメール。失礼ね、、、私は借金なんて無いわよ クレジットカードの支払いだって、毎月完璧にコントロールしてるし。どうせならクレジットレコードをちゃんと調べてから送って来たら??!

幸いこれらの攻撃にあってるのは自宅のメインアドレスではなくてWeb上のセカンドアドレスなので、即迷惑メールとしてゴミ箱行きだ。それにしても毎日ゴミ箱に20通も入ってる・・・なんでいきなり来たんだろ?

私のPCはMacなので、幸いウィルスには今の所やられていない。もちろん油断は禁物だし、中には気が付かないうちに入り込んでるウィルスもあるらしいのけれど。そうそう、一度だけワンクリック詐欺に遇いそうになったっけ
ネットショッピングが20%オフ とかいう広告をクリックしたら、画面にIPアドレスやらOSのヴァージョンやらがドーンと出てきて、2週間以内に2万円を支払ってくださいとか・・・もちろん完全無視!

要らないセールスは本当に迷惑。もちろんセールスを仕事にしている人達の立場も一応理解はしますけど、私としては、欲しい物は自分で探します!アドバイスが必要な時はこちらから聞きます。だから放っといて欲しいわ〜〜

さて、またメールチェックしてみよう。今日は何通はいってるかなあ〜・・・


厳しいよね、、、でも事実だから仕方ないでしょう。
やっぱりここはスルーせずにちゃんと書いたほうがいいと思うので、あえて惨敗と書きました

6月9日に幕が開いたばかりの宮本亜門氏演出の「Fantasticks-ファンタスティックス」が3週間も経たずに幕を閉じてしまった。

本来は9月5日まで既にチケットが販売されていて、この3ヶ月の評判次第ではそれ以降のロングランも、、、という事だったのに、この3ヶ月すら待たずに3週間弱でクローズというのはあまりにも悲惨、、、
私だって一応今月行くつもりでチケット取ってあったのに、これはあっさりとリファウンド。今までにチケットを取ってあった公演が打ち切りになって返金されたのは「風と共に去りぬ」とこれだけだ。

ニューヨークのオフブロードウェイからスタートしたこのミュージカルはその後ブロードウェイに上がって40年もアメリカの人達に愛されて来た。ロングランの記録を作って来たミュージカルなのに、何故かロンドンでは一度も当たっていない。今までにもロンドンで上演された事はあるのに、いつもヒットにならずに消えてしまっていたのだ

思うのだけれど、このミュージカルはあんまりイギリス人は好きじゃないかもしれない。確かにストーリーのプロットにはシェイクスピアなんかも使われてるんだけど、イギリス向けじゃないのだ。かくいう私も実はあんまり好きなミュージカルというわけではない。でもやっぱり日本人演出家が海外公演ではないロングラン公演を手がける、という事で観てみようと思っていた。

力も実績もある役者が出ているのだし、宮本さんもこの芝居は日本で何度も上演しているので、いろんなアイデアがあった事だろう。でも好かれる舞台というのはそれだけじゃないのだ。感性が合わないとね・・・

逆だってある。ロンドンでは絶賛されて大ヒットになった「Enron」という芝居が、最近ニューヨークに進出して見事にコケた。これはやっぱりこの芝居がニューヨーカー達に好かれなかったという事だ。ヒット作ならなんでも好きっていうわけにはいかない。そのへんを見越して企画するのはプロデューサーの腕なんだけど

だからこそ、この前観て来た「ヘアー」は巧くやったなと思った。もともとアメリカの芝居、初演当時にはイギリスでもその時代だからこそのメッセージとむき出しのパワーで大ヒットになったミュージカルを、今この時代にロンドン再演するのは冒険だ。単純な質問=「何故今Hairなのか?

無意味にロンドン版として再演する代わりに、カメロン・マッキントッシュ氏は去年トニー賞を取ったブロードウェイのカンパニーをそっくり持って来た。初演時に青春時代を送った世代と、今上演している若い役者達と同年代の=噂に聞いていた伝説のミュージカルを観たい観客がどちらも楽しめる舞台として。そして今当たってるよね〜〜、流石は凄腕プロデューサー!

舞台が幕を閉じる原因はいくつもある。最終的にはプロデューサーが金銭的なプラスとマイナスを考えて決めるのだろうけど、90年代の不況の時期には、かなり面白いと思った舞台が次々と幕を閉じていった。まさに「幻の、、、」と名のつく作品はいくつもある。ファンタスティックスだってそのひとつにすぎない。演出が宮本亜門だったからクローズしたわけではないのだ

でもやっぱり残念だったね。いくつか読んだ評の中には、「日本人がウェストエンドのミュージカルを演出する」という事に初めから好感を持っていなかったと思われるものもあった。「誰が演出したか」じゃなくて「どんな演出だったか」でちゃんと評価できないのは書いた人の程度が知れる。まあそんな記事はほんの一部だけど

この前観た「サロメ」だって、演出家は他にいくつものヒット舞台を作っているし、私も観ている。ただあの芝居の演出に関しては同意できなかったという事だ。

宮本さんのファンタスティックスは秋にはまた日本で上演されるそうで、かなり落ち込んでいるだろうとは思うけれど、日本流のミュージカルとして日本のお客さんに好かれる舞台を作ってくれればいいんじゃないのかな。去年日本で観た「三文オペラ」だって、日本以外では到底当たらないとは思うけど、イマドキの日本だから面白いと思ったし・・・

厳しいけど、仕方ないよね。


前回アップしたと思ってたブログ、ワイン飲んでたんだねえ〜〜きっと!アップしてないじゃないの・・・
今さら載せてもねえ、、という事でそれはボツです。ちょっと間があいてしまいました。

おととい観て来た「Salome-サロメ」。オスカー・ワイルドのこの芝居が私は初めて観た時から好きだ。初めて観たのはまだ高校生の時、もちろん日本語訳だった。ちなみにこの芝居はフランス語ヴァージョンが先で、後にワイルド自身の英訳が出版された。この英訳については、彼の恋人だったダグラス卿が手がけたもののワイルドと意見が対立し、結局は自分で訳してそれをダグラス卿に捧げている

芝居=本として好きな戯曲なので今回も楽しみにしていたのだけれど、、ちょっと今回は違った!
セットは鉄パイプと黒い砂、タール色の水で、メタリックな色彩。兵士達の衣装も戦闘服に機関銃で、王=ヘロデは戦闘隊長というカンジだ。そして肝心のサロメもストレス多きティーンエイジャー

今回このサロメを観たかったのは、演出がJamie Lloydだったからだ。Donmer Warehouseの若手演出家として注目されている。私も去年彼の作品を2本観たけれど、今回のはちょっと冒険し過ぎた感が否めない

ず〜〜っとバックにリズムボックスのベースドラムのような音が鳴っている。これが躍動感や心臓の鼓動を表現しているのだろうけれど、私には壁の薄い家のお隣からミュージックのベース音が聞こえて来るようにしか思えなくて、これがなんとも耳障り

水、ワイン(のような飲料)タール、血、、、とビチャビチャ飛び散って、役者達もドロドロになって頑張っているのはいいけど、効果的というより、汚く見えてしまう。顔中に血だのタールだの塗りたくってるので表情だって見え難い。

このチームはHeadlongというカンパニーで、ヘロデ役のコン・オニールが座長だ。このコン・オニール、今でも20年以上のロングランになっているウェストエンドのミュージカル「Blood Brothers」の初演キャストだった人だ。おっさんになったなあ〜〜・・・(当たり前か)

モダンで冒険的な演出なのだけれど、本来この戯曲の持つ「」と全く噛み合っていないのが残念。なんだかMessyでnoisyだ

私がちょっとがっかりした一番の理由は、実は10年以上前に観た「サロメ」が、それはそれは美しい舞台だったからだ。

このプロダクションは鬼才Steven Berfoff(スティーヴン・バーコフ)の演出/ヘロデ王で、パントマイムのような曲線的な動きやスローモーションで役者達の動作がとても綺麗だった。セットや証明も冴え冴えとしていて、何よりも英語の台詞がとても美しく語られた。ゆっくりと語られる台詞は聞き取り易く、英語を美しいと思った芝居は初めてだった。神秘的で、情熱的で、エロティックなこのサロメが、私は今までに観た芝居のうちでも「一番美しいと思った舞台」だと思っている

だからサロメ=美しい芝居という印象でず〜っときていたので、今回の演出はなんだかちょっと何かが壊されてしまった印象だった。悪いとはいわないけれど、まとまっていないのも確かで、本としての魅力も出し切れていない。

予言者ヨカナーンはなんだか怪獣みたいだし(ブラックの役者さんだった)、サロメもヘロデもエロスというより性欲むき出しというカンジで美しさがない。オスカー・ワイルドの美学をもっと出して欲しかったのに。

スティーヴン・バーコフなんていっても日本の人は知らないよねえ、、と思ってちょっと見てみたら、なんとこの公演、日本でやってる・・・ DVDが出てるなんて知らなかった。このDVD、テレビ放映用に東京・銀座セゾン劇場にて収録ってある・・・ツアー公演だったのかな?テレビ用? これは観たい!買ってしまおう、、、同時期に上演したカフカの「審判」や「変身」も凄く面白かった

はじめに本ありきで始まる芝居は、いろんな解釈ができるわけで、それが面白いのだけれど、シェイクスピアのものでも、あまりにもちぐはぐなものになっちゃった作品もあるし、古い時代の作品を今上演するほうが難しいのかもしれない。でも、バイセクシャルが逮捕されて、キリストや聖書の話を芝居にする事も禁じられていた時代にワイルドが書いたこの本の持つ妖しい美は保って欲しかった

役者達はビシャビシャのドロドロになって頑張ってたんだけどねえ〜〜
今回はちょっとハズレでした。

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カフェに座って本を読んでいたら誰かの携帯が鳴った。いつもの事だ。でもちょっと違ったのは、その携帯のメロディーが鳴ったとたん、「あ、帰らなくちゃ!」とせき立てられるような奇妙な気分に襲われて、一瞬自分でも「なんだこれは・・・?」と思ってしまった。

鳴っていた曲は聞き覚えのあるバッハの曲。正確には「バディネリ」と呼ばれる、「管弦楽組曲No2-7楽章」だ。


実はこの曲が私の中に染み付いているのは、遠い昔の学生時代(確か中等部)からで、この曲は学校の下校時刻にかかっていた。これが鳴ると「全校生徒の皆さん、下校時刻になりましたので教室から出てください」という放送が流れる。

なんという事!!
あれからはるか数十年も経ったというのに、今だにこの曲に席を追い立てられるような気分にさせられるとは・・!条件反射とは洗脳の裏返し、、そうか、私達はあの下校時の曲に洗脳されていたんだわ、、!

ちなみに高等部時代の曲は確か、、と思って調べたら、バッハだと思っていたのは実はヴィヴァルディだったと初めて知る。こちらはヴィヴァルディの「ヴァイオリン・コンチェルト A-minor」こっちのほうが出だしがドラマチックなので、よけいに焦燥感をあおられる・・・ いかにもバタバタと出ていかなくちゃならない気分にさせられる。(このブログを書いてからずっと後になって、このヴィヴァルディのコンチェルトはバッハがキーボード用に編曲したヴァージョンがあるのを確認した。バッハだと思っていたのは実は正解だった。私が覚えていたのは確かにパイプオルガンの演奏だったと思う)

この気分はきっとあの頃から身体に染み付いていて、知らないうちにず〜っと洗脳されたままになっていたのだろう。九九を覚えたのとさほど変わらない時期に学校で覚えた「主の祈り」と「詩編23編」もそうだ。九九を忘れないのと同様、これらも今でも忘れていない。なんだかこれって怖くない?

ちょっと想像してみた。例えば私がある日事故にでもあっていっさいの記憶を無くしてしまったとする、、、自分の名前もどこからきたのかもはっきりとしない中で、ある日このバッハやヴィヴァルディーの曲がラジオから流れて来る、、、途端に「帰らなきゃ、帰らなきゃ!!」と立ち上がって、でも何処へ行けばいいのかも解らずに半狂乱になっている私・・・

うわあ〜〜 ぞっとするわ〜〜!

覚えたら生涯忘れないと言われている事、例えば泳ぎや車の運転なんかもそうらしい。やっていないうちにぎこちなくはなっても、忘れるという事は無くて身体が反応する。そうだよね、イギリスで30を過ぎてから取った運転免許、前の車がダメになってから丸3年運転してなくても、レンタカー借りたら何とかなったもんね。(最初はかなりヤバかったけど←車はマニュアルです)

夏の夕べにクラシックコンサート、なんてちょっと優雅にお出かけして、演奏が始まったら「あ、帰らなきゃ」って席を立っちゃったりして・・・
ヴィヴァルディのほうはこちら。

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