10年程前、BBCテレビが突然27人ものアーティスト達を集めて、Lou Reed(元ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのルー・リード)の名曲「Perfect Day」を1節ずつ交代で歌っていくというスペシャルヴァージョンを作って視聴者を驚かせた事がある。
参加アーティストはLou Reedを始め、David Bowie、Bono(U2), Elton john, Tom Jones , Boyzone, Suzannne Vega, Joan Armatrading, Laurie Anderson, Brett Anderson(Suede)等のポップミュージシャンから、オペラシンガーやBBCシンフォニーオーケストラまで・・・。ただ一人ずつ順に1節ずつ入れて行くだけなのだけど、Perfect Dayの穏やかな曲にこんなにも多才な顔触れが次々出てくるので、初めて観た時は「何事か・・?」と思った。
BBC及びBBC2の番組の変わり目に繰り返し入れられ、映画館でもトレイラーの合間に映された。 曲の最期に「皆さんの支えに対しての少しばかりのお返しです」みたいなメッセージが入っていた。
BBCは日本のNHKと同様コマーシャル無しの為、番組は私達の支払う視聴料で制作される。 このTV License Feeの取り立てはかなり厳しい。世帯ごとではなくテレビ1台につき課せられる。だから2階と1階の部屋にそれぞれテレビがある家は2台分支払わなくてはいけない。「うちにはテレビはありません!」と主張して支払っていない家に対しては、高性能の探知機を載せた車がある日こっそりやって来て、通りからでもその家にテレビがあるかどうかを見破ってしまう。「視聴料を踏み倒す人は犯罪者です!」といった広告があちこちに出回り、TVアドでは「こんな事で犯罪歴を作りたいのか・・?」と言わんばかり。
だからこのPerfect Dayが公開された時は、「視聴料の無駄遣いだ!」という批判も出た。私も「まさか取り立てた視聴料でこんな豪華な顔ぶれのアーティスト達にギャラをバラ撒いたんじゃないでしょうね〜〜?」と最初はいぶかった。「お金あまってるんなら、視聴料下げてよ」と言いたいのと、でも出来上がった4分程のビデオもまた観たいし・・・と困惑した。
結局参加したアーティスト達は£250(約5万円)相当のヴァウチャーをもらっただけだという事が判明。(それでも150万くらいになるけどさ、、)BBCから皆さんへのありがとうプロモーションという事で次には曲の問い合わせが殺到し、後日、BBCがいつも手がけている子供達の為のチャリティー(Children in need)への寄付を名目に正式にCDがリリースされた。
イギリスというのはチャリティーがすごく盛んな国だ。関心度も参加度も日本では考えられないくらい街中にチャリティーが氾濫している。 小さな善意で助けられる事は確かに多い。でも多すぎるといつも助けてる人といつもいつも恵んでもらってる人との差がどんどん大きくなるんだけどね・・・・・
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