未成年で喫煙を暴露され、謹慎中だったアイドルさんが、そろそろ復帰、、、と準備していた矢先にまたも喫煙写真を撮られて事務所を解雇された。 そしてその件に関して庇護的な意見を述べたサイトが賛否両論でオーバーヒートしてしまったそうだ。

日本の「アイドルタレント」と位置付けられる人達は、一種特殊な立場にあると思う。イギリスにもアイドルっぽいイメージで売り出す人達もいるが、ちょっと違う。あくまでも「本業」を売り込む為のイメージなのだ。 歌手が、コメディアンが、バンドが、その歌やキャラクターに合わせた売り易いイメージとして「アイドルっぽさ」を付け足す。 でも日本のアイドルさん達は逆だ。「アイドルである」事が彼等の商品価値であり、アイドルが時に歌を歌い、時に芝居らしきものをし、バラエティー番組でズレた事を言って愛嬌を振りまく。

じゃ、「アイドルの本業」とは何か・・・・ 特に歌が上手いでもなく、まともな芝居ができるわけでも、気の利いたウィットな会話で皆を唸らせるわけでもない、、、アイドルの本業は、「夢を売る」事そのものだ。だから、生身の人間としての素の姿をさらす事はほとんどタブーに近い。
アイドルと呼ばれるのを極端に嫌う歌手も多い。彼等はあくまでも、本業とイメージを本末転倒して欲しくないという意識があるからだろう。 アイドルタレントであるという位置づけは、「歌手です」「役者です」というよりもずっと難かしくて危ういものなんじゃないだろうか。

私生活で何をしてもいいじゃないかーという意見に私は同意する。 もちろん24時間仕事をする必要はないのだから、アイドルが未成年なんだけど煙草をすったり、隠れて異性と付合ったり、皆がやる程度のちょっとマズイ事をしたって、ちっとも不思議でもおかしくもない。 ただし、それを表には出さないというのがプロとしての仕事じゃないだろうか。まあそうは言っても、無理矢理ネタを探し出そうと付けねらうパパラッチに追いかけられた日には、余程がんじがらめの生活でもしていない限り、ほじくり出されてしまうのだから、可哀想だとは思うけれど。

SMAPの木村拓也さんは、私生活では既に結婚されて2人のお子さんもいる。 そんな事はみんな知っているけれど、彼が”キムタク”でいる時は決してそれを見せないし、感じさせない。お父さん臭さを出さずに、いつまでも”カッコ良いお兄さん”でいるからこそ、恋愛ドラマもやれるし、特に嫌われる理由もないので何をやっても当たる。 ご本人の性格や、現場での評判とか、そういった事は私は知らないけれど、彼をドラマやバラエティー番組で観て、「あー嫌だなあ」という印象は持った事がない。

嫌いじゃないから、次に大きな話題になった時に「ちょっと見てみよ」という気になる。木村さん程の人が関わる企画は当然回りもガッチリと固めてあるので、ハズれない。 すごいなあ〜〜といつも思ってる。素で出ている時でも飾らずにナチュラルで、でも余計な事はいっさい言わず、逆に大事な所ではツボを押さえた発言をする。タレントのプロだなあ〜!と感心せずにはいられない。

どこでバランスを保っているのだろう、、、?まあ子供の頃から長くやっているのだし、事務所で教育されたりしたのだろうけれど、御本人はいつも自然にしているように見えるので、やはりタレントとしての才能があったという事なのだろう。 歌も芝居もけっして上手いとは言えないのに「木村拓也がやっているXX」という事でそれなりにきっちりこなして結果を出してしまう。流石です。

いえ、キムタクさんの事を書きたいんじゃなくて、つまりは、「夢を与える」という仕事がどれだけ身を削らなければできない事かーということ。どんな仕事でも、プロになるきっかけは「自分が好きだから」が始まりだと思う。歌が好きだから、芝居が好きだから、サッカーが、野球が好きだからプロになりたいと思うのだ。そしてプロとして認められるだけの技術と人気と地位が出て来て、キャリアが軌道に乗ってきた時、その仕事が本当は自分の為じゃなくて、観る人たちの喜びや幸せの為のものなのだと気付いた人は、そこから先のとてつもなく長すぎる道のりを初めて考えてみて愕然とする。

そんな事を考えない人も多いのだろう。ある低度の認められた実力と知名度で充分やっていける職業プロになれば良いのだ。実際そういう人が多いのだと思う。そこに辿り着いただけでも大変な努力と時間をかけての事なのだから、そこまでいけば普通はきっと充分なのだ。 でも、そこから先、「夢を、幸せを与える」という領域に踏み込んで我が身を削っている人たちは、芸に、その人となりがちゃんと見えて来る。 素の姿なんて見なくても、まともな大人がちゃんと観れば解ります。

一昔前、アイドルさん達は24時間がんじがらめの生活だという話をきいた事があるけれど、やっぱり「夢」を夢のままに保つ為には、人間離れした生活を強いられても仕方がなかったのだろう。 でも思うよね〜 無理矢理に素の姿をほじくり出す必要はやっぱり無いよね。ちょっと遭遇したとしても、大人なら見ちゃった側が目をつぶっててもいいんじゃないかなあ、、、、

ひとつだけ、個人的にずっと思ってる事がある。イギリスではゲイの人が多くて、芸能界、アーティストと呼ばれる人達には特に多いのだけれど、役者にはカミングアウトして欲しくないという事。 何故かというと、それまでは黙っていれば解らなかった人でも、カミングアウトしてしまうと、どうしても直後から「それっぽく」なってしまうのだ。 歌手の場合、歌というのは歌ってる人から切り離して聞くことができる。バラエティー物で活躍する人は、逆にゲイを売りにしてキャンプなキャラクターで攻められる。でも役者はいただけない。本人の姿形が役に重なる以上、ゲイだと認めてしまった後で、ラブロマンスをやろうとしても「それは無理でしょう〜〜! という事になってしまう。だから、男優でも女優でも役者をずっと続けていくなら、カミングアウトしちゃいけない・・・いいえ、、、

私からのお願いです!しないでください!

辛い事かもしれないけど、芸で夢を売る為には、我が身を削って欲しい・・・・そういう人達をずっとずっと応援していきたいから。

1クリックで応援してください

ランキング大